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2009.9.15 内容(「BOOK」データベースより) 八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。 この小説、どう感想を書いたらいいのか難しくて、読んでからずいぶん経ってしまった。 8本の連作短編集。 すべてがそれぞれの短編とどこかでつながっている。 そして、すべての短編のタイトルが「○ール」の韻をふんでいる。(この手のお遊びは私好み) 「終末のフール」を書いてから「○ール」考えたと思う。 8年後に小惑星が衝突すると予告され、混乱、暴動が起こって5年が経過して、それなりに人々は落ち着きを取り戻した状況下での家族のお話。 すぐに死ぬわけではない、かといって3年先までしか将来がない。 死を意識した時に、人はどう考え、どんな行動をとるのか、家族はどうなるのか。 ・・・という話。 相変わらず特異な8つのシチュエーションを設定して観客を惑わせてくれます。 それに、相変わらずのとぼけたユーモアを交えているからタチが悪い(笑)。いい意味ですよ。 ・「終末のフール」 「フール」という単語が、終末に関係した難しい英語の単語だとばかり思い込んでいた。 間違いだった。 単純に「ばか」という言葉の英語だった 主人公の父親が、妻が何か言うといつも「お前は馬鹿だ」、子供が何か文句を言うと「馬鹿!」と言うところからフールがつけられている。 父親は長男を馬鹿呼ばわりして、長女は「お父さんは兄貴のすごさがわからない馬鹿だ」と言う。 父親は「和也のどこがすごいんだ、失敗作じゃないか」と言ってしまい、長女は家を出て行った。 最後に「失敗作」と言ってしまって、そのあと、息子は自殺した。 あれから、10年ぶりに、長女は家に帰ってきた。 「お父さんのせいで結果ばかり気にされてつらかった。人を馬鹿にして、兄貴が死んだのもお父さんのせいだ。」 「長男はスペシャルな馬鹿だ」と父親。 長女は父親を許すのか? あと3年だから、あと3年しかないから。 ほんとにハーピーエンド? ・「太陽のシール」 妻が妊娠した。 3年後に地球が滅亡するのに、子供を産むのか産まないのか。3年しか生きられないのに。 神に試されていると主人公は考える。 子供を諦めたら小惑星の衝突を受け入れることになるのではないかと。 ・「冬眠のガール」 暴動のため両親が人を殺してしまい、そのことを悔んで自殺してしまう。 自分だけ残して。 「お父さんとお母さんを恨まない」 「お父さんの本を全部読む」 「死なない」 この三つを目標にした。 そして、娘は父親の自殺の理由を知りたくて、父親の書籍を4年間読み、ようやくすべて読み終えた。 次の目標は「恋人を見つける」 はたして恋人は見つかるのか? ・「鋼鉄のウール」 キックボクシングジムの苗場さんは衝突が発表されて5年後も、変わらずにトレーニングをやってい た。 5年前タイトルマッチも小惑星のため中止された。それでも、精神力も鋼鉄の苗場さん。 ひきこもりの父親を殴ってしまった主人公。 苗場さんはすごい。 「明日死ぬとしたら、生き方が変わるのですか」、感動的なセリフ。 ・「天体のヨール」 主人公の自殺の途中で、電話が鳴った。 それはまわりから敬遠されていた天体オタクの二ノ宮で、20年ぶりに会った。 小惑星が衝突することを楽しみにしていると。 間近で見られることがうれしい、それには夜、ヨールでないとその瞬間は見れないと。天体好きで俺は幸運だ。勝ち組というわけだと言う。 5年前に主人公の妻は自動販売機騒動で亡くなった。 昔、二ノ宮に教えてもらった方法で望遠鏡を作り、星を眺め、月を眺めた。さあ・・・。 人の「価値観」とは一体何なの。 ・「演劇のオール」 両親が薬を飲んで死んでから、色んな家で色んな役を演じている。 今日は、家族4人で自殺して置いていかれたお婆さんの孫を演じている。 また別の家では疑似妹もいる。 また違う家では「偽お母さん」を、さらに恋人の役もある。犬の飼い主の役もある。 あるきっかけで偽家族全員がそろう。みんなどこかで繋がっていた。 こうなりゃ、みんな一緒に住んじゃおう。 偽物の家族でもいいじゃないか。こんな時だから、よけいに人は自然と繋がりを求めるのかも。 ・「深海のポール」
主人公の父親は屋上にやぐらを作っている。 洪水がやってきてやぐらから洪水を見物するため。 「醜くてもぶざまでも生きる」 |
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この本、大好きです。
8年後に滅亡するのが分かってから、5年後・・・つまりあと3年。という設定にリアルさが増して、、、人の儚さが胸に沁みた。
あぁ、、、再読したくなってしまいました。
2009/12/29(火) 午前 10:21
あ、すごく読んでみたいです・・・
近いところで「フィッシュストーリー」のほうを読もうと思っていたのですが、こちらに変えようかな。
題名の付け方もセンスを感じますね〜フールは私も難しい意味を含ませているのかと思っていましたが、そのままバカって意味なのですね・・・
2009/12/29(火) 午後 5:34 [ とくだ ]
わぐまさん
5年たったので混乱の時期は過ぎさり、人は落ち着いた行動をしていましたが、でも内心はどこか熱い、やりきれないものを感じとれました。テーマから重いイメージがありましたが、伊坂幸太郎独特の飄々とした人物描写が余計に人の儚さを感じました。
2009/12/30(水) 午前 9:00
プラチナさん
「フィッシュストーリー」も文庫本出てたんですね、知らなかった。ありがとうございます、早速探します。この本は重たいテーマですが、話の展開は飄々とした伊坂幸太郎ならではのものです。そう、フールに騙された自分がフールでした(笑)。
2009/12/30(水) 午前 9:44
TBありがとうございました。設定はパニック小説なのに、あらたかパニックが起きた後って設定が効いていて、変にドタバタした感じになってないところがいいな、と思いました。細かい内容はもう忘れてしまいましたが(^^;)、いい作品でしたね。
2010/1/11(月) 午前 0:41
韻を踏んだ題名と章題。リンクしあっているそれぞれの章。ラストの静かな大団円。自分だったらと考えずにはいられませんでした。でも、生きているものは必ず死ぬんですよね…。
トラバ返しさせて下さいね。
2010/1/11(月) 午前 9:52
べるさん
コメントありがとうございます。そうですね、パニックも落ち着いた時期で人はどうするのか、伊坂さんもどこかテーマ性を持ってきましたね。
2010/1/11(月) 午後 8:40
金平糖さん
コメントありがとうございます。
こういう状況になった時に自分はどうするのか、そうでなくても私の年代になると死を意識しはじめます。
2010/1/11(月) 午後 8:45