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黒澤明「赤ひげ」

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2009年12月13日、フィルムセンター「生誕百年 映画女優 田中絹代」にて2回目鑑賞。

1965年度作品。
原作:山本周五郎
脚本:井手雅人、小国英雄、菊島隆三、黒澤明
出演:三船敏郎、加山雄三、山崎努、団令子、桑野みゆき、香川京子、江原達怡、二木てるみ、
根岸明美、頭師佳孝、藤原釜足、杉村春子、志村喬、内藤洋子、笠智衆、田中絹代

解説によると・・・
本周五郎原作の『赤ひげ診療譚』を基に、巨匠・黒澤明監督が三船敏郎、加山雄三主演で映画化したヒューマニズム溢れる人情ドラマ。江戸時代の小石川養生所を舞台に、そこを訪れる庶民の人生模様と通称赤ひげと呼ばれる所長と青年医師の心の交流を描く。長崎で和蘭陀医学を学んだ青年・保本登は、医師見習いとして小石川養生所に住み込むことになる。養生所の貧乏くささとひげを生やし無骨な所長・赤ひげに好感を持てない保本は養生所の禁を犯して破門されることさえ望んでいた。しかし、赤ひげの診断と医療技術の確かさを知り、また彼を頼る貧乏な人々の姿に次第に心を動かされていくのだった……。

有名な映画です。
いい映画だと思う。
「赤ひげ」が言う。
「病気の原因は貧困と無知だ」
江戸時代、小石川養生所という診療所で、その問題に立ち向かう「赤ひげ」(三船敏郎)。
その赤ひげに反発しながらも、やがて慕うようになる保本(加山雄三)の成長譚でもあり、黒澤作品によく登場する師弟の深いきずなの話でもある。

「狂女」「六助の死」「佐八とおなか」「おとよ」の4話からなる。

「狂女」
香川京子が珍しく激しい狂女の役。

「六助の死」
自分のおじいさんが死ぬ時を思い出した。息ができなくて、苦しいので顎をしゃくりながら息をしていた。
六助の娘の話で彼の人生が明らかになるが、ドラマの要素が強くきれいに作られた印象があり、あまり好きではない。

「佐八とおなか」
この話もドラマチックすぎて、オーバーな演技にも溶け込めずにいた。
しかし、夏の祭り、冬の雪の美しさはすばらしい。山崎努と乳飲み子をおぶった桑野みゆきが坂の上と下で別れるシーンの奥行きのある構図も好きだ。

「おとよ」
この話だけが山本周五郎の原作ではないようだ。
よかった。
まさに脚本家たちの力ですね。
おとよ(二木てるみ)が女郎屋で折檻されていたところを赤ひげが助けた。
まったく人に心を閉ざしていたおとよが、保本や赤ひげによって少しずつ気持ちを開いていく。
そして、保本にも淡い恋心を持ち、小さい長坊(頭師佳孝)もかわいがるようになる。
おとよ役の二木てるみが、暗く閉ざした眼から明るい眼に変わっていく様がすごくよかった。頭師佳孝もよかった。

長坊の一家が心中した。
死にかけている長坊(頭師佳孝)が助かるように、井戸に向かってみんなが「長坊〜」と叫ぶ。
井戸に向かって呼ぶと、さんずの川の手前にいる人が帰ってくるという言い伝えがあるからだ。
泣いてしまった。
人が愛する人を助けたいと願う気持ちに素直に胸を打つ。
理屈っぽくいうと、六助の「死」に対して長坊(頭師佳孝)の「生」、おとよの生への願いが伝わる。

赤ひげは、大名、商人といった金持ちからは高額の治療費をぶんどる。
貧しい人からは無料の診察。
最初、おとよを女郎屋から連れていく時も、赤ひげは用心棒をコテンパンにやっつける。
その後、おとよを取り戻しにきた女郎屋の主人(杉村春子)をみんなが大根で殴りつけ追い返す。
まるで、赤ひげは江戸時代のスーパースター。
観ていて爽快。
でも、それだけで、ほんとによかったんだろうかと思う。
勧善懲悪の映画ならいいんですが、黒澤監督の意図が気になります。
おとよの話、勧善懲悪の話、そして赤ひげと保本の師弟の信頼関係話が、うまくかみ合っていたのだろうかと思う。
全体的に格調高い映画です。

屋外のセット、照明(二木てるみの眼に照明が当たるとか)、撮影、音楽、すべてにおいて、素晴らしいの一言。
日本映画斜陽化の頃に、これだけのお金と時間(2年間)が費やされ、贅沢ができるのは黒澤監督ならではでしょうか。

三船敏郎という俳優さんは、独特のユーモアがあって面白いなあ。
白塗りの女郎屋の主人の杉村春子もいいですね。
おとよを連れ戻しに来る時に赤ひげに対する独特の豪快な愛想笑いには、どうしても笑ってしまう。

それと、この映画は田中絹代特集の1本で、どこに出ていたかまったく記憶になかったんですが、
加山雄三の母親役でした。
それに父親役が笠智衆とは、珍しい。
お二人とも黒澤映画には珍しい配役です。

佐藤勝さんの音楽もクラシック風で格調高い。
タイトル曲は好きですが、シーンによってはちょっと大袈裟すぎる気もしました。

閉じる コメント(14)

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いつもご訪問ありがとうございます。
|_| この映画懐かしいなぁ〜
|bu|∧_∧ はい目覚めコーヒーをいれました
|_|´・ω・`) よろしければ・・・・・・
|ta| oc□o
| ̄|―u'
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2010/1/10(日) 午前 9:33 日帰り温泉とグルメ

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hana11さん
40数年も前の映画でしたね。おとよの話は素晴らしかったです。

2010/1/10(日) 午前 10:17 シーラカンス

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笠智衆は「夢」にも出てますけど田中絹代は黒澤映画にはおそらくこれだけでしょうね。二人とも松竹でしたから珍しい1本だと思います。
共感のポイントはシーラカンスさんとほぼ同じです。格調高い優れた作品ですね。私はこの映画、1回目より2回目で感動が増しました。

2010/1/11(月) 午前 8:12 ヒッチさん

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ヒッチさん
そうでしたね、笠智衆さんは「夢」にも出ていましたね。私も2回目の「おとよ」に感動しました。

2010/1/11(月) 午後 8:49 シーラカンス

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黒澤・三船コンビの集大成にふさわしい立派な作品ですね
私は大好きな作品ですが、意外にも説教臭いとか言って評価の分かれる作品でもありますよね。
加山を裏切った女性の妹役に内藤洋子をキャスティングしたのは
他候補者とどっちにすべきか悩んでた黒澤監督に息子久雄氏が「ぜったい内藤洋子だよ」と言って決まったそうです。

2010/1/17(日) 午前 3:17 [ きらきらくん ]

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くろさわさん
「おとよ」の話は素晴らしかったです。好きです。
へえ〜、内藤洋子のそんな裏話があったんですか。上品でかわいかったですからね〜。自分でも絶対薦めますネ。

2010/1/17(日) 午前 10:04 シーラカンス

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本当にいい画像でしたね、それだけで大満足です。
チョットヒユ−マンタッチが鼻につくが、、、、

2010/2/10(水) 午前 2:02 [ koukou ]

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koukouさん
格調高い人情映画なのか、勧善懲悪のドラマなのか、ヒューマンドラマにしようと監督の力が入りすぎているように感じました。でも、しつこいですが「おとよ」の話はいいです。

2010/2/10(水) 午後 10:00 シーラカンス

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映画の印象的な部分が、順を追って静かに頭の中で再生されていきまいた。
とても、丁寧に、良くまとめられた記事ですね。

おとよの話は原作にはなかったのですか。一番心に残ったエピソードでした。二木てるみ、16歳。本当に見事でした。

2010/4/22(木) 午前 4:50 alf's mom

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alfmomさん
褒められるとつい鼻が伸びますよ〜。おとよの話だけでもこの映画の価値はある思います。二木てるみと頭師佳孝、ほんと素晴らしかったです。

2010/4/22(木) 午後 10:37 シーラカンス

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三船敏郎の赤ひげ先生は、にじみ出る貫禄と無骨な人情家で魅力たっぷりでしたね。内容も分り易く、重厚な映画でした。
黒澤監督の映画では、傑作の部類に入ると思いました。シーラカンスの言うように格調高い映画でした。
TB&ポチさせてください。

2012/5/14(月) 午後 7:00 ギャラさん

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ギャラさん
三船敏郎はどんな役をやっても三船敏郎なんですよね。凄いことだと思います。クラシック音楽のように格調高い映画で、自分にはちょっと居心地が。。。「おとよ」の話は好きですね。

2012/5/18(金) 午前 0:01 シーラカンス

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田中絹代さんと笠智衆さんは本当にちょこっとしか出てきませんでしたね
この作品の完成の2年前に亡くなった小津監督への、黒澤監督の敬意の表れではないかと解釈しました

大根で殴られる杉村春子さんが最高!(笑)
トラバお願いします♪

2017/4/29(土) 午後 2:34 ベベ

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> ベベさん
ああそうか、溝口監督と小津監督への尊敬の表れですか。杉村春子はたぶんリハーサルから何回も大根で殴られたんでしょうね、痛快でした。

2017/4/30(日) 午後 11:58 シーラカンス

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