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2009年12月27日、フィルムセンター「生誕百年 映画女優 田中絹代」にて2回目鑑賞。 1952年度作品。 原作:井原西鶴 脚本:依田義賢 出演:田中絹代、山根寿子、三船敏郎、宇野重吉、菅井一郎、進藤英太郎、沢村貞子、毛利菊枝、
加東大介、大泉滉
あらすじ・・・奈良の荒れ寺へ客にあぶれた街娼たちが集まり、グチを言いあっている。その中に厚化粧でも年は隠せないお春という女(田中絹代)がいた。その夜、巡礼帰りの百姓たちの前に引きだされ、“こんな化け猫をおまえたちは買いたいのか”とさらし者になった彼女は、我知らず寺の羅漢堂に入っていく。居並ぶ五百羅漢を眺めやるうちに、羅漢像の一つ一つが過去の男たちに見えてくるのだった。こうして時代は一気にさかのぼり、彼女が御所づとめに出ていた13歳の時からの流転の生涯が綴られていく。様々な男たちと出会い、別れていくたびに不幸になっていくお春を通して、封建制度下に自我を通そうとした女の悲劇を優しく、そして苛烈に描ききっている。 大昔に観た時は、あわれな女の一生の物語だと思っていた。 ネタバレあります。 宮勤めしていたお春(田中絹代)が三船敏郎との恋愛がばれて、宮廷から家族は滋賀に追いやられた。 そのうち、大名に見染められて、側室となり世継ぎを生むが、側室(山根寿子)に用無しとばかりに追い出され、実家へ帰された。 父親(菅井一郎)は、大名の世継ぎを産んだので、商売を拡大するために、反物を買い込んでいた。あてが外れた父親は、お春に花魁になれと。 そこから、どんどん墜ちていく。 にせ金のオッサンとの見受け話もオジャンとなったり、住み込み女中で花魁だったことから主人(進藤英太郎)に言い寄られたり(このエピソードは主人の奥さん(沢村貞子)が禿げていることでユーモア話になっている)とか。 扇屋の男(宇野重吉)に見染められ、妻となりようやく幸せな生活もつかの間、夫は辻斬りに殺される。 尼寺の僧(毛利菊枝)に泣きつき、お寺で修業することになるが、ある事件で寺を追い出される。 物乞い乞食までなりはて号泣してところを、お鷹たちにやさしくされ、元気さを取り戻していく。 そんな折、大名からの呼び出しを受け、子供に会えることを楽しみにお城に向かったが、嫡男の母親でありながらお鷹になり果てるとはと叱責され、蟄居を命じられた。 お城から逃げ出したお春は、尼僧として民家の前でお経を唱えていた。 感想を書こうとしたら、つい、あらすじになってしまった。 女性が自分の意思では生きていけない時代。 三船敏郎に告白され初めて自己主張した。 その後の人生は、男たちに翻弄されっぱなし。 お鷹に堕ちてから、ようやく強さを持って自分の力で生きていくことができた。 そんな時の大名屋敷からの呼び出しの件。 嬉しさもつかの間、またもや、もてあそばれた。 逃げた。
というより、受け身の人生から自分の足で前に進んだと思えた。 ようやく、ラストの尼僧のシーンで、人間として自立することができたと私は感じた。 そこまでたどり着いたことで、彼女は満足しているのではないかと勝手ながらそう思う。 いわずもがな、田中絹代の独断場。 |

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美術セットや映像は美しかったのですが、いかに田中絹代が名優とはいえ、少女時代はビジュアル的に少しきつかったですね。それを除けば名作だと思います。
2010/1/22(金) 午前 7:03
この代表作をまだ観ていません。DVD化させていないような・・・
三船敏郎が溝口作品に出ているとは、、、どのような演技をするのか、観てみたいですね、黒澤の「三船敏郎」とは全然違っているような予感がします(^^)
2010/1/22(金) 午後 7:15 [ 8 1/2 ]
ヒッチさん
あまり、顔のアップはなかったので、自分はそんなに気にはなりませんでした。いつもより、田中絹代のセリフ回しがスマートだなあとは思いましたけど。「雨月物語」とは異なったいかにも溝口健二らしい映画といえるかもしれません。
2010/1/22(金) 午後 9:49
8 1/2さん
1000円の廉価版が出ていますよ。
黒澤作品とはまったく異なり、三船敏郎は純情な宮使いでした。面白いですね。明日「近松物語」を観に行きます。楽しみです。
2010/1/22(金) 午後 9:58
こんばんは。
「西鶴一代女」は溝口作品の中でも一番好きかもしれない作品です。
お春の波瀾万丈なストーリーですが、お春にかかわってくる多くの人達を見るのも楽しみなんですよね。
晩年は胡散臭いヒゲを生やし、恐妻家としてテレビに出ていた大泉滉って、昔は結構二枚目だったんですよね。役はなよなよした、オカマみたいな話し方の役が多い気がしますが。
「近松物語」も名作ですね。香川京子が美しく、官能的とも思えました。楽しんできてください。
2010/1/22(金) 午後 11:06 [ - ]
bigflyさん
めくるめくように流れていきますよね。それぞれのエピソードが面白く、登場人物が楽しいです。特に進藤英太郎と沢村貞子が楽しかったです。大泉滉は男前ですよね。成瀬監督の「めし」にも出ていました。今日観た「近松物語」もよかったです。この頃の溝口監督は充実していますね。
2010/1/24(日) 午前 0:08
猫さん
TBありがとうございます。
2014/1/2(木) 午後 2:37
ここまで不幸が連続して起きると、なんだか悲劇を通り越していますね。宇野重吉とやっと結ばれて幸福になったかと思ったら、殺されてしまうし…。不幸という名の女、田中絹代さんの独壇場でした。
2014/3/25(火) 午前 11:46
トリックスターさん
これでもかと言うぐらい落ちていく女の一生、でも、ラストでようやく自分の生きる道を見つけたのではと自分は思います。凄まじい女を田中絹代でしかできなかった、溝口映画ではなく、田中絹代ありきの映画にしてしまった、ですね。
2014/3/25(火) 午後 10:58
戦後アメリカ兵を相手にするためにつくられた国策売春組織、特殊慰安施設協会(RAA).
『赤線地帯』の冒頭で、警察官相手に女将が愚痴を言うシーン、
『国に言われてアメリカ兵の相手をするためにダンスホールをつくったが、元がとれない内に、今度は商売を止めろと言う』.
RAAの要請でダンスホールをつくったのです.
『赤線地帯』でもう一つ.店の入り口に『お気軽にお入りください』だったか、看板が掛かっていて、その側に英語で『OFF LIMIT』の札がある.
1945年8月末、東京の小町園が第一号、全国に特殊慰安婦の施設がつくられました.お国のためにお役に立てと、集められた女性の大半は、二十歳前後の素人娘ばかり.タバコ1箱か2箱程度の安価な値段だったせいでしょうが、アメリカ兵に大人気で、廊下から店の外まで行列が出来る大盛況でした.
ところが性病も大盛況で、年が明けてアメリカの婦人団体が騒ぎ出し、1月半ばに禁止命令、3月半ば過ぎにアメリカ兵は立ち入り禁止(OFF LIMIT)になりました.
結果、女性たちは退職金も貰えず職を失い、多くは街娼になったと言われています.
2016/4/12(火) 午前 5:24 [ bego ]
御所勤めをしているお春は、御所勤めが為に好きな男は殺された = 天皇の命令の戦争で、恋人を失った娘.
お春は生活のために親に売られた = RAAの娘たちも生活のために身体を売ることにした.
お春は松平家の世継ぎを産むために嫁いだ = お国のために身体を捧げた.
殿様に気に入られ可愛がられたが、殿様は病気になった = アメリカ兵に大人気で、性病が蔓延した.
殿様が病気になったのでお春は家に帰された = 性病により施設が廃止され、慰安婦は職を失った.
お世継ぎを産んだのにお金はちょっぴりしかくれなかった = 慰安婦は退職金を貰えなかった.
お原は生活のために街娼になった = 多くの慰安婦は生活のために街娼になった.
街娼になったが為に小春は『お国の恥だ』と言って屋敷に閉じ込められそうになり逃げ出した.
街娼になった慰安婦たちは『お国の恥だ』と言って警察に捕まり、牢屋に入れられた.
2016/4/12(火) 午前 5:26 [ bego ]
> begoさん
難しいですね。
2016/4/21(木) 午後 11:29