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裸の島 2010年1月27日、フィルムセンター「川喜多賞受賞監督作品選集」にて。 1960年度作品。 脚本:新藤兼人 音楽:林光 出演:乙羽信子、殿山泰司、田中伸二、堀本正紀 ネタバレあります。 若い時は、農民の起伏の少なそうなストーリーにこの映画を敬遠していたのかもしれないと、今になってはそう思う。 ある人のブログで評価が高かったので、観てみようと思うようになった。 冒頭、林光の音楽が流れると、もうすでに涙が溢れてきた。 前半のメロディは抒情的でもの哀しく、後半は希望を感じさせるメロディ。 何故泣けてしまうのか、不思議でしようがない。 日が昇る前、暗闇の早朝、夫婦(乙羽信子、殿山泰司)が桶に水を汲んで、手漕ぎの小舟で運び、ある小島に天秤棒に両方で桶をぶら下げ、急な山道を1歩ずつ踏みしめて登っていく。苦しそうな顔。 山の段々畑の野菜に水をやるためだ。 乾燥した土に水はすぐに沁み込む。 彼らはこの島で生活していた。 二人の男の子は朝の食事の支度をする。 大急ぎで食べ終わると、長男はランドセルを背負い、舟に乗る。 乙羽信子は舟を漕ぎ陸地へ。子供は小学校へ。乙羽信子はまた桶に水を汲み舟を漕いで島に戻る。 学校が終わると、長男は船着き場で待つ。友達と遊ぶこともなく。 水を汲み、野菜に水をやることの単調な日々の繰り返しの中、美しい景色と林光の音楽がかぶさっていく。 セリフは一切なし。 何故セリフをなくしたのかよくわからないが、ドキュメンタリー風にしたかったのもしれない。 演技者が「ことば」を発することで、より自然なものを失くしてしまうことを恐れたのかもしれない。 表情と動きだけで見せた画期的な映画。 結局4人は笑い声と泣き声しか発しなかった。 始まりから終わりまで、見応え十分で緊張感が溢れていた。 泣きっぱなし。 華奢な乙羽信子が舟を漕ぎ、桶を担いで山を歩く姿も見ていて痛々しい。 自分の家も昔は農家で、母親(健在)は朝から晩まで働いていた。 その情景がダブって見えたのかもしれない。 この家の子供のような親孝行ではなかったけど。 乙羽信子が誤って水をこぼした時、殿山泰司は乙羽信子を殴りつけた。 生活は過酷。 子供が鯛を釣り上げた時に、殿山泰司と乙羽信子は本当に嬉しそうに笑っていた。 その鯛を売りに、尾道に家族4人で外出し、ケーブルカーにも乗り、食事もして買い物をした。 唯一の楽しい団欒。 そして、長男が病気であっけなく亡くなってしまう。 島にいることで、すぐに医者を呼ぶことができなかったからだ。 あくる日、いつものように畑に水をやる乙羽信子はいきなり桶を投げ捨て、野菜をむしりとり、大声を出して泣き崩れる。 この土地、この島にいたから長男は死んだんだ。 殿山泰司は怒らず、畑に水をやる。 やがて、乙羽信子は立ち上がり、静かに畑に水をやる。 この土地、この土と生きていくしかない。 そのやるせなさ、あきらめ、強さ、色んな感情が湧きおこる。 ラスト、いつものように殿山泰司と乙羽信子が畑に水をやるシーンを俯瞰ショットで写す。 あまりに、広い畑だったことに驚かされる。 すごい映画でした。 傑作です。 でも、若い人がこの映画を観てはたしてどう感じるんだろうかと思う。 |

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本作のこと、夫が同僚から「傑作」と言って薦められたと
言いますので、何とかしてみたいと思い、色々探してみたのですが、
まだ巡り会えていません。
「ネタばれあり」の注意書きがありましたので、記事は飛ばし読みさせて頂きました。
その記事の「一部」からでも、shirakansuさんの感動が伝わります。
出会えてから、じっくり記事は読ませて下さい。
2010/1/29(金) 午前 1:19
今の若い人にも十分に伝わると思います。それほどこの映画は人間の感性に訴えかける「力」を持っています。TBお返ししておきますね。
2010/1/29(金) 午前 6:12
映画脚本家でもある新藤監督が、究極のシナリオは、無言劇でした。
ある意味、これが彼の最高の脚本となりますね。
2010/1/29(金) 午前 10:50 [ ひろちゃん2001 ]
alfmomさん
ほとんど映像と音楽だけの世界でこんなに感動できるとは、自分自身も驚きです。厳しい農民の日々の生活に言い表せないものを呼び覚まされたようです。機会があれば、是非とも観てほしい映画です。
2010/1/30(土) 午前 10:52
ヒッチさん
この映画を教えていただいて感謝しています。言葉にするには難しい感動を覚えました。若い人はこ単純にこの島を離れたらいいのにと思うんではないかと感じました。
2010/1/30(土) 午前 10:55
ひろちゃんさん
脚本は見事な構成になっていると感じました。無言のため、喜びと悲しみの表情が余計に際立っていました。この映画に関しては大成功でしょうね。音楽も含め素晴らしい映画でした。
2010/1/30(土) 午前 11:02
先日はTBありがとうございました。
この作品、描かれている内容も素晴らしいのですが、絵自体も素晴らしいと思いました。
あんな美しい島なら、僕も住んでみたいと思えてきました。
2013/4/7(日) 午後 10:27
ぴんじょんさん
音楽を聴いただけで、涙が溢れてきてしまいます。どうしてしまったのでしょうか。島が意外にも大きかったです。もう素晴らしいとかいいようがありません。
2013/4/9(火) 午前 0:12
林光はこの当時、独立プロ作品に多く音楽を提供していましたね。小編成の合奏で心に沁みます。お返しのTB致します。
2018/12/4(火) 午後 10:36 [ SL-Mania ]
> SL-Maniaさん
この映画の音楽を聴いただけで、涙が溢れてきます。実に美しい曲ですね。
2018/12/6(木) 午後 10:45