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1991年発行。 2010.1.23 あらすじ・・・ 完全無欠のアル中患者として緊急入院するハメになった主人公の小島容。全身ボロボロの禁断症状の彼方にほの見える“健全な生活”。親友の妹さやかの往復パンチ的叱咤激励の闘病生活に次々に起こる珍妙な人間たちの珍事件……。面白くて、止まらない、そしてちょっとほろ苦い、話題沸騰、文壇騒然の長編小説。(出版社の解説) ネタバレありますので、ご注意を。 中島らもと言えば、何年か前に読んだ「ガダラの豚」は面白かったです。 冒険小説であり、呪術、笑いと盛りだくさんなエンタテイメント小説で好きな本です。 ということで、今回は「ガダラの豚」の2年前に書かれたアル中が入院生活をする話です。 冒頭「あんたの目、黄色いよ」と医者に言われ、主人公は「黄色人種ですから」とのたまう。 すべてこの調子で主人公はちょっとひねくれもので斜めに構えて生きてきた。 入院生活の中で、おもろいやつたちが登場する。 患者にパワハラもどきにストレートに言い放つ医者。 うわさ話が好きな中年おばはん3人組の三婆。 主人公はひそかに「松おばさん」「竹おばさん」「梅おばさん」と呼んでいる。 霊安室の消毒用アルコールを飲む享楽家のアル中患者。 わがままでいつも妻に怒っている老人の患者。妻は愚鈍を装いながら「きたない年寄りですいませんね」とまわりの人に言うふりをして夫をいたぶっている。 禁断症状の話。虫や小動物が体をはいずりまわる幻覚。 アルコール依存症のセルフチェックテストまで書かれている。 自分はそんなに飲めないけど、缶ビールは毎日飲んでいる。 チェックしてみた。 よかった、アルコール依存症ではなかった。 交通事故で死んだ友達の妹のさやかが言う。 死者は卑怯だと。思い出を残して勝手に去っていくから。 傷つくことも笑われることもなく思い出になって人を支配しようとする。 その逆説的な愛情表現が好きだ。 主人公がそばを食べたくなり、外のそば屋に入った。 そこで、「飲み物は?」と聞かれ、ふっとビールを自然に注文してしまった。 そして泥酔状態になって病院にたどり着くと、入院していた少年が突然死んでいた。 少年が死んで、感動のドラマになるのかと思えば、例の医者が霊安室に主人公を連れていき、消毒用アルコールを飲みあい、酔っ払いのドタバタ劇にしてしまうこの作家の照れ隠しがいい。 主人公は35歳。少年は17歳。18年違う。 医者は酔っ払って言う。 「あんたがあと2年で死ぬとして、その20年を少年にくれてやれよ」 主人公に対する罵倒と少年への思いが伝わる。 中島らもの思い出は、関西の深夜TV番組のゲストでいつも酔っ払っていたこと。
何を言ってるかようわからん状態で、おかしかったよなあ。 中島らもは2004年に亡くなっている。 飲み屋の階段から落ちて脳挫傷が原因とのこと。 それまでも、無茶苦茶してきたようだからな〜。 結局アルコール依存は治らなかったようだ。 亡くなっているとはいえ、気になる作家です。 |
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