|
グラマ島の誘惑 2010年2月12日、新文芸坐「追悼 森繁久彌」にて2回目鑑賞。 1959年度作品。 原作:飯沢匡 戯曲「ヤシと女」 監督:川島雄三 脚本:川島雄三 出演:森繁久彌/フランキー堺/桂小金治/浪花千栄子/轟夕起子/宮城まり子/淡路恵子/岸田今日子/八千草薫/三橋達也/春川ますみ/加藤武 戦争末期に船が沈没され南方の孤島に流れ着いた、上から下までさまざまな階層の人間たちをめぐって巻き起こる奇妙な悲喜劇。天皇制や原水爆に対する皮肉が込められる一方、三橋達也がターザンのごとき人物を演じるなど、川島の作品歴の中でも極めて異色の一本。(フィルムセンター解説より) タイトルはエロ映画風ですが。 奇妙で変てこりんな映画です。 船が沈没してグラマ島にたどり着いた人々とは・・・。 皇族出身である海軍大佐(森繁久彌)と陸軍大尉(フランキー堺)は兄弟、その部下でたたき上げの軍人(桂小金治)、従軍慰安婦たち(浪花千栄子/轟夕起子/宮城まり子/春川ますみ)、芸術系報道班員の詩人と画家(淡路恵子、岸田今日子)、夫の遺骨を抱いた未亡人(八千草薫)。 このメンバーでもややこしいのに、さらに現地人のターザンのようなウルメル(三橋達也)が加わる。 これで面白くない訳はない。 ・・・はずだが、これが面白くないのだ。 川島雄三監督の悪いクセであるドタバタ劇に固執しすぎで、一般人が笑う可笑しさまで昇華しきれていない。 早送りの映像処理も効果なし。 喜劇と言いながら笑えない。 ほとんど、すべっている。 さらにストーリーも変なんです。 森繁久彌は偉そうにすましているだけで働きもせず、「たばこある?夕食はまだ?」と言うばかり、たたき上げの軍人(桂小金治)に命じて従軍慰安婦たちに仕事をさせ豪勢な食事を摂る。 森繁久彌たちに反発して報道班員たち(淡路恵子、岸田今日子)は別行動をとる。 そのうち沖縄生まれの宮城まり子が妊娠し、その父親は森繁久彌だった。 たたき上げの軍人(桂小金治)はなウルメル(三橋達也)と争い、崖から落ちて死ぬ。 ウルメルは本当は脱走した日本兵だった?。 そして報道班員たちの実力行使により、全員平等な身分での生活が始まった。 皇族も軍人も一般人も従軍慰安婦もインテリもみな同じように働く。 そして森繁久彌と宮城まり子はいかだで島を脱出した。 戦争が終わったと記したビラが島にもまかれ、アメリカ軍がやってきた。 八千草薫とウルメル(三橋達也)を残して全員日本へと帰国した。 森繁久彌は生き延び、宮城まり子は死んでいた。 グラマ島で原子爆弾の実験ありという新聞記事を読んだ日本にいる森繁久彌、フランキー堺、淡路恵子、岸田今日子は、居てもたってもいられず八千草薫と三橋達也を助けるべく霊柩車に乗って去っていった。 皇族、戦争、軍人、沖縄、民主主義、原爆といったジグソーパズルのピースがちりばめてあるだけで、ストーリーの中で繋がってうねりを生んでいかない。 また映画の中に多種にわたるテーマを織り込ませすぎて、消化できていないようにも感じた。 森繁久彌が宮城まり子(沖縄)を死なせてしまったことが興味深い。 そして宮城まり子の妹(二役)は、それでも日本の居酒屋で踊って生き延びている。 テーマが重いので、敢えてドタバタ調、喜劇風にしていると思われる。
それにしても、まあこんな毒のある映画がメジャーで作れたとは驚きです。 平凡な私としては到底好きな映画とは言えないが、怪作であることには間違いない。 もしかして、あと50年も経てば、時代がこの映画に追いついてくるのかもしれない。 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 映画
- >
- 映画レビュー








川島監督は東宝に移籍してからの作品はあまり評価されてないような気がしますが、松竹時代にも好不調の波がありましたね。
2016/1/18(月) 午後 11:39 [ SL-Mania ]
> SL-Maniaさん
松竹より東宝の作品の方が好きですが、それにしてもこの映画はカルト中のカルトだと思います、こんな映画もう作れないでしょう。
2016/1/19(火) 午後 10:26