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溝口健二「近松物語」

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2010年1月23日、新文芸坐「南田洋子・長門裕之 映画の愛 愛の映画」にて。

1954年度作品。
原作:近松門左衛門「大経師昔暦」
脚本:依田義賢
出演:長谷川一夫、香川京子、進藤英太郎、小沢栄、南田洋子、田中春男、浪花千栄子、菅井一郎

宮中の大経師の手代・茂兵衛(長谷川一夫)は、ある誤解から師の後妻おさん(香川京子)と不義密通の汚名を着せられる。師の怒りを買った二人は、家を逃げ出し、たどり着いた琵琶湖で入水自殺を考える。 しかし、いつしか二人の間には真実の愛が芽生えていた。二人は命懸けの逃避行を続けることにするのだが・・・。(角川映画解説より)

長谷川一夫の声とセリフ回し、身のこなしに漂う男の色気。
溝口健二監督のリアリズム主義に長谷川一夫の美意識のバトルが楽しい。
おさん・茂兵衛の流れるような転がるような道行。
二人は最初から愛し合っていたわけではない。
ある誤解から不義密通だと勘違いされ、二人で逃げるはめになってしまった。
茂兵衛(長谷川一夫)は昔からおさん(香川京子)を慕っていた。

そして、二人して死を覚悟した琵琶湖の舟の上で、茂兵衛はその思いをおさん(香川京子)に伝えた。
この激しい茂兵衛の思いに、おさんは心を動かされ、「死ぬのはいやや、生きていたい」と囁き、二人でどこまでも生き延びようと長い道行が始まった。
琵琶湖の舟の上のシーンは有名。
一度は死ぬ覚悟を決めた二人が燃え上がるような愛を確かめ合うことで、「死」から「生きる喜び」へと変貌するくだりが素晴らしい。
短い命だから愛おしく思える、一瞬の愛だから燃えるように一途に。

発端はお金を借りようとしたことから。
お金と恋愛が絡む話が映画では多い。
生活する上では、お金が必須だから。
人が興味を持つのも金がらみだと納得できるからでしょうか。

最後は、幸せそうな二人が馬に乗せられ引き回される。
不義密通のため、おさんの旦那である大経師の家も取りつぶし。
厳しい世の中だ。

手代のため、茂兵衛(長谷川一夫)がおさん(香川京子)に丁寧な言葉を使うニュアンスがいい感じに伝わる。
香川京子も途中から激しい恋をする女を熱演。
白黒なので色はわかりませんが、着物のデザインが素敵でした。
進藤英太郎、小沢栄、南田洋子、田中春男、浪花千栄子、菅井一郎それぞれ持ち味が出てて、映画が楽しい。
特に進藤英太郎のいやらしさ、田中春男のぼんぼんぶりが面白い。

この頃の溝口健二監督は充実していると思う。
でも、やっぱり近松門左衛門なんですよね。

すいません、言い忘れていましたが、この映画は、南田洋子追悼の1本です。
南田洋子は茂兵衛(長谷川一夫)が好きで、茂兵衛を助けるけなげな下働きの女性を演じている。
21歳、美しかったです。

閉じる コメント(15)

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残菊物語を見ましたが、この系統のしっかりした時代劇は、さすが溝口とうならせますね。

2010/2/26(金) 午後 6:43 [ dalichoko ]

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長谷川一夫は、この映画しかみたことがないのですが、溝口健二作品らしい茂兵衛役を上手く演じていましたね。全く違和感がありませんでした。
香川京子も、(おそらく実際の年齢よりも)上の老け役を身体を張って演じていたように思います。

仰られるとおり、この頃の溝口健二は黄金期ですね。
記事を書いたことがありますので、TBします。

2010/2/26(金) 午後 11:36 [ 8 1/2 ]

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chokoboさん
「残菊物語」もよかったですね。川辺りを二人で歩くシーンの長回しに監督の映像に対する挑戦的な意図を感じました。

2010/2/27(土) 午後 10:10 シーラカンス

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8 1/2さん
できるだけ輝きを抑え、地味な長谷川一夫の茂兵衛はよかったです。それでも輝いてしまうのはやはりスターなんでしょうね。香川京子は急遽誰かの代役だったと思います。熱演でした。溝口監督はこの頃絶好調でしたね。

2010/2/27(土) 午後 10:52 シーラカンス

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南田洋子の追悼番組とは粋な選出だと思います。私はこの映画ではおさんが母親の浪花千栄子のところへ逃げ隠れるシーンが何故だか一番印象に残ってます。

2010/3/1(月) 午前 6:45 ヒッチさん

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ヒッチさん
浪花千栄子が、これ以上は世の分別を理解しておさんは家に戻るように説得しますが、燃え上がった二人には周りが見えなくなったいるくだりですね。長谷川一夫を慕う南田洋子もよかったです。

2010/3/1(月) 午後 9:29 シーラカンス

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トラバありがとうございます。
長谷川和夫は色気有りますよね。二人が見ていられないほど(全てを捨てての恋なのでしょうが無いかもですが)必死にラブラブになっている演技や、
説得されても気持ちを曲げない長谷川和夫の演技が気にいってます。田中春男さんはうっすら覚えてます(汗)
進藤英太郎の嫌な旦那っぷりはかなり上手いですね。腹たちました(笑)

2010/3/14(日) 午前 11:29 [ - ]

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ゆめにさん
いや〜、ほんと長谷川一夫は色気ありますよね。特に、手代なので奥さんに使う丁寧ことばがまた艶っぽいですね。田中春男は古い日本映画にはよく登場します。見たら絶対わかると思いますよ。進藤英太郎は溝口映画のキーマンですね。いい仕事してます。

2010/3/14(日) 午後 10:58 シーラカンス

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「山椒大夫」「雨月物語」も良かったですが、この作品も素晴らしいですね。音響がよかったですね。
TBさせてください。

2013/1/10(木) 午前 9:51 ギャラさん

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なんらかの事情でTBできませんでした。
申し訳ありません。

2013/1/10(木) 午後 3:47 ギャラさん

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ギャラさん
男の女の濃厚な道行でした。緊張感の途切れない見事なドラマで、溝口監督の絶頂期でしょうか。自分も時々TBできない時があるんですよね、なぜだかわからないんですが。

2013/1/12(土) 午前 10:15 シーラカンス

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午前十時の映画祭でデジタル方式による上映でした。コマ飛びもなく、画像も鮮明なのはありがたいです。巻の変わり目もスムーズでした。客の中には長谷川一夫目当ての女性客もいましたね。

2018/10/30(火) 午後 5:42 [ SL-Mania ]

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> SL-Maniaさん
今でも根強い長谷川一夫のファンの方がいらっしゃるんでしょうね。市川雷蔵特集の時もそうでした。

2018/10/31(水) 午後 10:43 シーラカンス

4Kデジタル版(よく仕組みはわかりませんが)美しい
映画でした。 TBお願いします。

2018/11/10(土) 午後 3:11 [ リュー( ryu) ]

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> リュー( ryu)さん
宮川一夫の撮影の力量のなせる技でしょうか、溝口監督とのコンビ「雨月物語」もやっぱり素晴らしかった。

2018/11/12(月) 午後 10:07 シーラカンス

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