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ふんどし医者 2010年2月13日、新文芸坐「追悼 森繁久彌」にて。 1960年度作品。 監督:稲垣浩 原作:中野実 脚本:菊島隆三 出演:森繁久彌、原節子、山村聡、夏木陽介、江利チエミ、志村喬、谷晃、佐田豊、小杉義男、本間文子、中谷一郎、高原俊雄、沢村いき雄 この映画の併映が「小早川家の秋」で、森繁久彌の見合相手が原節子という設定。 で、この映画では森繁久彌と原節子は夫婦役。 新文芸坐「追悼 森繁久彌」特集のこの2本立は、なんとも粋な計らい、映画通だと思う選定のセンスを感じます。 幕末、徳川家・御典医の考査を受けるため、和蘭医学を勉強した若き医師・小山慶斎(森繁久弥)と池田明海(山村聡)は長崎から江戸へと向かっていた。大井川の川止めに遭った彼らは、そこで流行り病が蔓延しているのを目の当たりにする。それから15年、一人この地に残った慶斎は名医の聞こえも高かったが、貧しい者にはどぶろく一杯で診察する医者になっていた。そんな彼に優しく仕える女房いく(原節子)。慶斎は、博打が唯一の楽しみであるいくに付き合い、賭場で一杯かたむけるのが常だった。ある日、ヤクザ同士の喧嘩で怪我をした半五郎(夏木陽介)が、慶斎の所に運び込まれてくる。腎臓を取り出さないと半五郎の命が危ないと判断した慶斎は、日本初の摘出手術を行うが…。(時代劇専門チャンネル解説より) 実は、この映画のタイトルすら知らなかったので、そんなに期待していなかったのです。 しかし、これがどうしてどうしてなかなか面白かったんです。 主演が森繁久彌ということと喜劇風のタイトルですが、人情ものでもあり、夫婦の物語です。 拾い物です。 森繁久彌の柔らかさが、この映画を引き立てています。 まず、オープニングで、長半バクチをする原節子にびっくり。 普段はおしとやかな妻だけど、唯一の趣味が博打を打つこと。 原節子がこんな役をやるのは観たことがなかった。貴重ですね。 負けた原節子のために、森繁久彌がふんどし一丁に。 微笑ましく見守る森繁久彌に妻への愛情を感じます。 このシーンが、最後に、どうしてもお金が必要になり盛り上がる重要なシーンに繋がり、原節子が自分の体を張って長半バクチをする展開のうまさには脱帽。 よくできた脚本です。 さすが菊島隆三さんです。 ヤクザな半五郎(夏木陽介)が長崎に医者になりたいと修行に出かけ、立派になって小山慶斎(森繁久弥)のところに戻ってくる。 初めは戻ってきたことで喜んでいた森繁久弥だったが、新しい医学を学んだ夏木陽介に、古い技術しか知らない森繁久弥は妬み嫉妬するようになる。 極めつけは、将軍のお抱え医者の池田明海(山村聡)が、森繁久弥自分自身を迎えに来ると思っていたら、弟子の夏木陽介だったこと。 自尊心を傷つけられ、絶対だめだと断る。 原節子の説得で、ようやく狭い心だなと悟る。 このシーンで夫婦の絆はさらに固く結ばれる。 ラスト、いつものように博打にまけた原節子とふんどし姿の森繁久弥が微笑ましく歩いている。
時代は幕末から明治になっている。 警官がふんどし姿の森繁久弥に向かって、「先生、その姿では 罰することになりますよ」と言う。 「住みにくい世の中になったなあ」と言う森繁久弥のセリフでジ・エンド。 時代の移り変わりも見せ、昔のよき時代の郷愁も見せながら、時代に置いていかれる寂しさの中、変わらぬ夫婦愛に救われたドラマでした。 何故か、映画「砂漠の流れ者 ケーブルホーグのバラード」をふと、思い出した。 起承転結、見事な終わり方、いい映画でした。 |

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シーラカンス様、メッセージありがとうございます。
あれはほんとに、見事なものですね。
年月を経て、小生も、あの置いていかれる寂しさが、
わかってくるように、なってきましたです・・・。はい。
2010/3/14(日) 午前 1:34 [ アWorker. ]
アWorker.さん
コメントありがとうございます。いや〜、ほんとに素晴らしいエンディングでした。時代の移り変わりと人とのかかわりをユーモアで包み込んだ映画でした。
2010/3/14(日) 午前 8:15
この映画は神田の古本屋で観た当時のキネマ旬報に記事が掲載されていたのを見て知りました。あまり名画座でもかからず、フィルムセンターで16mmでの上映があったものの、行けませんでした。最近CSでも放映されてやっと目にできました。設定が原節子向きではないような感じ、ご本人も納得のゆく企画がなかったのではないか、と想像したものです。2年後には稲垣監督の「忠臣蔵」でスクリーンから消えてしまっていますね。
2018/11/11(日) 午後 0:02 [ SL-Mania ]
> SL-Maniaさん
原節子が賭博師をするだけで、今までの呪縛から解き放されて自由な原節子になって見ている方は楽しかったです。
2018/11/13(火) 午後 9:33