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2010年2月11日、目黒シネマにて。 2009年度作品。 原作:業田良家 脚本:是枝裕和 出演:ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、オダギリジョー、高橋昌也、余貴美子、岩松了、星野真里、丸山智己、奈良木未羽、柄本佑、寺島進、富司純子 ネタバレあるかも・・・。 古びたアパートで持ち主の秀雄(板尾創路)と暮らす女性の性処理代用品空気人形のぞみ(ペ・ドゥナ)は、ある朝、本来は持ってはいけない「心」を持ってしまう。彼女は秀雄が仕事に出かけるといそいそと身支度を整え、一人で街へと歩き出す。メイド服を着て、おぼつかない足取りで街に出た彼女は、いろいろな人に出会っていく。ある日、レンタルビデオ店で働く純一(ARATA)と知り合い、そこでアルバイトをすることになる。ひそかに純一に思いを寄せる彼女だったが……。(goo映画解説より) この映画に登場する人間は、人とのつながりをうっとおしく感じ、苦手としている人たちばかり。 ファミレス店員の秀雄(板尾創路)は、部下がどんくさいことを空気人形ののぞみ(ペ・ドゥナ)にぼやく。 後半明らかになるが、実はどんくさいのは秀雄自分自身のことで、店長に怒られていた。 にやけた笑顔の秀雄を見て、さらに店長は「ニヤニヤするな。お前の代わりなんていくらでもいるんだからな」と叱る。 笑顔を見せることで、人とのコミニュケーションが済まされる、断ち切れると勘違いしている男。 空気人形が心を持って、秀雄の前に現れた時、「元の人形に戻ってくれ。そういうのは面倒くさいんや。」と言い捨てる。 疲弊した人間は、人との繋がりを拒む。 そして、「人の代わり」を探したり、自分が誰かの代わりになろうとする。 引き籠りで過食症の女(星野真里)は人の代わりに食べ物、フィギィアの下着に興奮して自慰する若者(柄本佑)は生身の人間の代わり、警察の前で私が犯人ですと言い寄るおばさん(富司純子)は、自分が犯人の代わり、学校の先生だった老人(高橋昌也)は人の代わりにペット、受付の年配の女性(余貴美子)は同じ受付の若い後輩の肌に負けまいとしている。 離婚して父親と娘が暮らす家庭は、父親が母親の代わりになろうとしている。 人は自分自身の存在意義を見い出せずに苦悩している。 そんな苦悩する人とは逆に、5980円の空気人形は「心を持ってしまった」と人間に近づくことに心を弾ませている。 生きることに喜び溢れた気持ちの高揚感が、素晴らしい。 人間は人を避け、空気人形が人になりたいと願うコントラストが印象的。 空気人形(ペ・ドゥナ)はビニールに穴があけてしまって、空気が抜けていく。 大好きな純一(ARATA)に「見ないで」と言うシーンは裸を見られているようで恥ずかしい姿に違いない。 空気人形の体から空気が抜けていく様はどこかエロチックだ。 さらに純一(ARATA)の口からお腹に空気を入れてもらうシーンもエロチック。 その様子を見ていた純一(ARATA)は、空気人形(ペ・ドゥナ)の空気を抜くことに興奮する。 同じ空気人形だと言われた純一(ARATA)の空気を抜くために、空気人形はナイフでお腹を刺す。 純一(ARATA)は血を流して死んだ。 不用品はゴミ。 やがて、自分も所詮不用品ゴミ「代用品」であることを悟り、ゴミ置き場に身を置く。 空気人形がタンポポの種を吹き、その種が人の気持ちを少し前向きにする。 タンポポの種で物事を終わらせるしか、人の気持ちは変えようがないということだろうか。 「心を持ってしまった」ことで、生きる喜びと悲しみを味わってしまった空気人形には、誕生日の妄想だけで終わらせるのではなく、せめてたくましく、ぶざまでも力強く生きてほしかったです。 図式的で表面だけの希薄な人物描写(過食症の女、フィギィア男、私が犯人おばさん、父親と娘)にとどまっているとはいえ、この映画、どこか気になる映画です。
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人形だけでなく、誰もが代用品になるかもしれないというテーマがありましたね。
代用品はしょせんゴミ。当たり前のことですが、
人間はゴミにならないよう生きないとダメですね♪。
2010/3/10(水) 午前 2:14
ふぁろうさん
自分の存在価値を見出せないで代用品になってしまうことが悲しいですね。なんとかしなくちゃ。ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路は充実していてすごくよかったです。
2010/3/11(木) 午前 0:03
ご覧になられたんですね。ペ・ドゥナ大ファンの私にとっては彼女ばっかりに中心を置きがちなんですけどそれだけではない。脇役たちもまた、それぞれ都会の孤独な代用品。どこか気になる映画なんですね。TBしておきます。
2010/3/11(木) 午前 7:32
ヒッチさん
ペ・ドゥナはよかったですね!空気人形のためクールな表情を見せながらの喜びと悲しみの心の葛藤は見事でした。気になる映画ですね〜。
2010/3/11(木) 午後 10:33
これ好き! KoreaFanさん
ペ・ドゥナは高崎映画祭で最優秀主演女優賞をとったんですね。よかったです。
2010/3/11(木) 午後 10:50
映像が素敵でした。都会のメルヘンって感じで。
2010/8/15(日) 午後 10:41
もっさんさん
おっしゃるように映像は素晴らしかったです。空気人形のしぼむ時のエロチックさと儚さが見事でした。
2010/8/16(月) 午前 0:17