|
2010年3月1日、丸の内ピカデリー2にて。 2010年度作品。 脚本:山田洋次、平松恵美子 出演:吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮、加藤治子、小林稔侍、キムラ緑子、笹野高史、森本レオ、小日向文世、石田ゆり子、佐藤蛾次郎、横山あきお ネタバレあるかも。 東京郊外のとある商店街で薬局を営む吟子(吉永小百合)は、夫を早くに亡くし、女手ひとつで娘の小春(蒼井優)を育てていた。ある日、エリート医師との結婚が決まった小春の結婚式に吟子の弟・鉄郎(笑福亭鶴瓶)が突然現れ、泥酔して披露宴を台無しにしてしまう。親族に責められる鉄郎をかばう吟子だったが、鉄郎の恋人だと名乗る女(キムラ緑子)が借金返済を求めて吟子の薬局に現れ……。(eiga.com解説より) 寅さんの後日談のような映画。 寅さんが歳とって自由人のまま、一人身で生きていたら、こんな状況になっていたのではないだろうかと。 そして、こんな風に吟子=さくらに看取られて死ぬんだろうなと思って観ていた。 久しぶりに佐藤蛾次郎も登場していたし。 この映画で山田洋次監督は、寅さんと決別するためのひと区切りをつけたのかもしれない。 昔観た「馬鹿が戦車でやってくる」「なつかしい風来坊」の主人公(ハナ肇)や寅さんもはみ出し者。 昔、山田洋次は厄介者を撮ってきた。 人はいいのに、どこか喧嘩っぽく、周りの人たちに嫌われている。 この映画でも鉄郎(笑福亭鶴瓶)は兄弟からも親戚からも、嫌われていた。 昔、飲み会でからんで台無しにしたからだ。 今回も小春(蒼井優)の披露宴で酔っ払って、無茶苦茶にしてしまった。 その後、同棲している女から借金もしていた。どうしようもないヤツだ。 「親戚の中にはこういうやっかいものが必ず一人いる」と自転車屋のおやじ(笹野高史)は言う。 確かに、子供の頃は面白いおっちゃんだと思っていた人が、物心つく頃には、ちょっと違うなと蒼井優と同じ感じをしたことがあった。 実際、鉄郎(笑福亭鶴瓶)の役は難しかったと思う。 観客は、鉄郎(笑福亭鶴瓶)にはどう見ても感情移入しにくい。 多分山田監督は観客に笑ってもらって、おいちゃんのように「バカだな〜」と言ってほしかったと思う。 しかし、イヤなやつという印象だけで観客は引いてしまっていたのではないだろうか。 映画館から笑い声は聞けなかった。 さすがの笑福亭鶴瓶であっても、この雰囲気が微妙だ。 今の時代は、ハナ肇や鉄郎(笑福亭鶴瓶)のような男は、生きにくい時代なのかもしれない。 それでも鉄郎(笑福亭鶴瓶)の臨終を、吟子(吉永小百合)に看取られて、素直によかったです。 強がりを言っても、人は誰かに看取られて死にたいと願うものだと思う。 一人では死にたくないはずだ。 一番泣けてしようがなかったシーン。 それは、ラスト、ボケたおばあさん(加藤治子)が、蒼井優と加瀬亮の結婚が決まり、鉄郎も呼んでやったらどうだいといきなり提案するところ。鉄郎はもう死んでいない。 今まで、鉄郎を大嫌いだと言っていたのに、「この頃、あの男も可哀想じゃないかと思うようになってね。」と。ボケてもなんて素敵なセリフだろう。 この映画で、山田洋次監督が言いたかったのは、この一言ではないかと思う。 嫌っていても、どこかで繋がりを大事に思う人の気持ちのありよう。 今の時代に欠けているのは、このような人の気持ちなのではと考えてしまう。 説明過多のような気がしないでもないし、エリート医師=いやなヤツ、大工=いい人の構図も、なんかいやらしく感じる。
でも、ボケたおばあさん(加藤治子)の一言だけでも、いい映画を観たと素直に思う。 蒼井優は、今回は、型にはまった役だったので、残念ながらあまり広がりのあるのびのび感はなかった。 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 映画
- >
- 映画レビュー






幸田文の原作を読むまで、この作品は幸田作品を映画化したものと勘違いしていました。
ですから、吉永小百合、鶴瓶、蒼井優、加瀬亮という配役の意味が理解できませんでした。
違う作品だと知って、納得しました。
ネタばれがあるかもとの事。所々読ませて頂きましたので、
鑑賞後に再訪して、残りを読もうと思います。
2010/3/17(水) 午後 11:40
寅さんを思わせるシーンがいくつもあって、寅さんファンとしては嬉しかったです。
ラストのばあさんのセリフは、ボケて言るんだけど、グッとくる名シーン、名セリフでしたね♪。
蒼井優は、山田洋次カラーの演技をこなせていた、という見方もできますね。
2010/3/18(木) 午前 2:24
alfmomさん
違う作品ではないと思います。市川崑監督の「おとうと」に触発されたと聞いています。紐をお互いの手首に結ぶシーンは同じです(ネタバレかな?)。原作にこの話があれば原作に忠実ということになりますね。
2010/3/18(木) 午後 10:42
ふぁろうさん
そうですね、なつかしかったです。佐藤蛾次郎さんが久しぶりに観れてうれしかったです♪ 蒼井優はそういう見方もできるかも。カメレオン蒼井優ちゃんですね。
2010/3/18(木) 午後 10:46
私の鑑賞した劇場では笑いは結構あがってました。キャラクターは寅さんやハナ肇に劣ってますが、それでも鶴瓶は好演していたと思います。役者としてどんどん存在感を増してきました。特に主役の吉永小百合がよかったです。
2010/3/19(金) 午前 6:51
ヒッチさん
映画館での観客の雰囲気によっても映画が違って見える時がありますよね。自分は素直(?)なので、笑っていたのですが、なんか静かでした。鶴瓶は良かったと思いますが、性格設定が同情しにくいので難しい役どころだったと思います(誤解のないように)。山田洋次監督は嫌われ者でも世間とのつながりを繋ぎとめるのは親兄弟(吉永小百合)やボケたおばあさんであったとしてもそれでも必要なことだと言っているような気がします。
2010/3/19(金) 午後 11:08
Yoji Yamadaがなぜアカデミー外国映画賞にノミネートされないのかね?
2010/9/8(水) 午後 10:41
鉄郎、受け入れられてませんでしたか?
私はそこまでとも思いませんでしたが。
結婚式での醜態を、面白いやつ、と思う寛容さ。
エリート医師は見るからに狭量なやつでしたが、いくらなんでもそれは無理か・・・
昔なら少しはそれをおもしろがる雰囲気もあったような気がしますが・・・
2010/9/9(木) 午後 0:09
もっさんさん
「たそがれ清兵衛」は、アカデミー外国映画賞にノミネートされていますヨ?
2010/9/9(木) 午後 10:55
ちいずさん
映画館の観客からは笑いはなかったので、そうかなと思いました。ここは笑わないと映画としても失敗のはずです。寅さんを撮った山田洋次監督ですから。鉄郎は親戚に嫌われているから、そういうことになったと思います。
2010/9/9(木) 午後 11:17
こんにちは。
TBありがとうございます。
本当に今の時代は行きにくい時代だと思います。
今の時代には「困った人」を受け入れる余裕と寛容さこそ必要だと思います。
1日2日、仕事をサボっちゃうくらいののんきさも重要だと思います。
2011/5/1(日) 午前 9:39
ぴんじょんさん
そうですね、勝ち組と負け組のような、ダメなやつは切り捨てるみたいな雰囲気が今の世の中にどこかあって、生きにくい世の中です。誰かが気にしてくれるのが今の時代に必要な気がします。無差別殺人もそこから少しでも救われるのではないかと。
2011/5/1(日) 午後 10:26
たしかにラストで祖母が鉄郎は呼ばないのかいと吟子に聞くと吟子が立って流しで、泣くシーンは感動的でした。
TBさせてください。
2012/10/3(水) 午後 2:00
ギャラさん
自分ではこのシーンが一番印象的でした。この映画のテーマのように思います。
2012/10/4(木) 午後 11:40