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2010年3月25日、ユーロスペース「フランス映画祭2010関連企画アラン・レネ全作上映」にて。 1959年度作品。 原作・脚色:マルグリット・デュラス 音楽:ジョヴァンニ・フスコ、ジョルジュ・ドルリュー 出演:エマニュエル・リヴァ/岡田英次 日本上映時のタイトルは「二十四時間の情事」。 ネタバレあります。 薄闇。男女が抱きあう。彼女(エマニュエル・リヴァ)がつぶやく、《私、広島で何もかも見たわ》彼(岡田英次)が答える、《君は何も見ちゃいない》病院、被爆者の顔、苦しみの図、あの影、焼けた石。博物館のきのこ雲の模型。平和広場。記念アーチ。橋や川。《何も見ちゃいない》午前4時だ。彼はあの時、夏休みで広島にいなかった。彼女は映画出演でパリから日本ロケに広島へきた。その前はイヨンヌ県のヌベールにいた。2人は偶然知り合った。彼は建築技師だ。彼女は広島の映画で看護婦に扮していた。《あしたの今頃、フランスへ発つの》2人はホテルの彼女の室を出た…。 日本で公開中止になりかけた『夜と霧』の監督アラン・レネが、はじめて監督した、日仏合作のかたちの劇映画。独軍占領下のフランスの田舎で敵兵と密通して断罪された過去を持つフランス女優と、広島の日本人技師との一日の恋が描かれる。(キネマ旬報 全映画作品データベースより抜粋) 監督の個性が際立っていた。 特に映像にかぶせる音の使い方や、詩的なセリフ(例えば解説のセリフ)、カット割が独特。 例えば、日本の居酒屋のシーンの後、フランスの風景へと映像が繋がる。 その映像に、居酒屋での主人公二人(エマニュエル・リヴァ、岡田英次)のセリフがかぶさる。 または、セリフなしで、居酒屋の猥雑とした音、歌謡曲が流れるといった風。 戦争の傷跡を映画でどう描くかは千差万別。 冒頭、二人が肌を寄せ合うシーンから映画は始まる。 しかし、その二人の肌は、乾いているのか原爆でできた瘡蓋のようにも見えた。 それから、広島の惨劇の映像が流れる。 その後は、不倫関係になった二人の会話だけでストーリーが展開される。 彼女の田舎フランスのヌベールの話から、過去に敵のドイツ兵と恋愛関係になり、ドイツ兵が殺され、親から家に軟禁された。 過去に傷を持つフランス人の女は、過去のことは「忘れた」という。
岡田英次は、「フランスに帰ると、私のことも忘れるのか」と。 「私はヒロシマ」だと。 フランスが戦争で傷ついたことと敗戦国日本が傷ついたことがはたして同じなのかどうかも、戦後人間の私にはよくわからない。 まあ、そんな低レベルの話ではないのかもしれないが。 戦争を経験した個人の傷は、絶対残ると思うのに、敢えて忘れたと言うことは忘れたいという願いだろうか。 それとも忘れることに対する戦争の風化を懸念した思いのセリフなのかもしれないし。 「私、広島で何もかも見たわ」「何も見ちゃいない」というセリフは、とまどう素直な監督の本音ではないかと思う。フランスのヌベールでは具体的な戦争の傷跡の描写があったのに、日本での戦争の傷跡のドラマの描写がなかったことで、そう感じる。 まあ、この監督の特性かもしれませんが。 |

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この映画もそうなんですが、公開題名と変わってしまっている映画がありますね。
どうしてなんでしょうね。
「XXXピエロ」は差別用語なので、変わったのでわかりますが、この映画の場合は、「二十四時間の情事」と言われた方がしっくりとします。(私が見た時もその題名だったので)
2010/4/5(月) 午後 6:28 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃんさん
ありますね〜、今の洋画って、カタカナがオシャレ(それ自体も古いですね)多いからでしょうか。たぶんこの映画のタイトルも若い人が古く感じるからでは。「情事」の響きはどこか艶っぽいですけどね〜。
2010/4/5(月) 午後 10:14
あの頃のアラン・レネはなにかメッセ-を発したかったのではないかと思います。
ただそれが未整理でしかなかったので、ドキュメントになるか、感覚的な映像になるか、ということだったのかなあと勝手に思っています。
TBさせてください。
2016/4/30(土) 午前 0:21 [ あきりん ]
> あきりんさん
前衛的な表現は、自分には難しいのですが、監督自身もとまどっていたのかなと思うのです。
2016/4/30(土) 午後 11:17
「忘却こそが恐ろしい」=「ヒロシマを忘れてはいけない」
がこの作品の主たるテーマだと思います
それを行きずりの恋にしちゃうなんてレネ監督にしかできません!
そして、この遠回しなまどろっこさがフランス映画のいいところで( ´艸`)
トラバお願いします♪
2018/2/14(水) 午後 0:24
> ベベさん
戦争の風化、色んな映画の作り方があって、そう言われればフランスっぽいですね。ファーストシーンが印象深いです。
2018/2/15(木) 午後 0:27