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2010年4月17日、ラピュタ阿佐ヶ谷「悪女礼讃〜スクリーンの妖花たち」にて。 1965年度作品。 原作:吉田絃二郎 脚本:新藤兼人 撮影:秋野友宏 出演:若尾文子、田村高広、千葉信男、紺野ユカ、殿山泰司、清川玉枝、佐々木孝丸 1924年日活版(村田実監督)に次ぐ再映画化。元囲われ者の若尾文子が、村の模範青年と結婚する。村人たちの白い目。夫は日露戦争で負傷して帰るが、二度と戦場へ行かせぬよう、妻は夫の目を五寸釘で突くのであった。増村流の女性のパッションが凄まじく鬼気迫る。(eiga.com) すごかったです、若尾文子が。 この人の姿を見ているだけで、鳥肌がたって、涙が出そうになるくらいの生きざまでした。 ネタバレありますので、ご注意を。 囲われ者ということで、村に帰っても、村人からは村八分にされていた若尾文子。 はみ出しものの自分とあまりに違うため、反発心から模範生の若者(田村高広)とは相容れなかった。 そして母親の突然の死。 村人は葬式でも、お酒も飲まずに帰っていく。 孤独感にさいなまれる若尾文子。 そんな村人の中で、田村高広は医者を呼んでくれたり、母親の葬式も手伝ってくれた。 若尾文子は、田村高広に少しでもいいからお酒を飲んで帰ってほしいと哀願する。 それから田村高広と次第に親しくなって、やがて恋愛関係になり、籍には入っていないが、結婚する。 田村高広は日露戦争に召集され、戦場に行く。 一人になった若尾文子は、孤独に耐えられない。 精神的に辛い状況となる。 幸いにも田村高広は怪我をして、戦場から療養に家に帰ってくる。 怪我も治り、いよいよまた戦場へと戻る日、若尾文子はまた一人になることに恐怖を覚える。 そして、戦場に行かないように、とんでもないことをする。 若尾文子は傷害の罪で2年間刑務所に入る。 田村高広は、最初は激怒していたが、若尾文子を許すようになる。 やがて刑期を終えて、家に帰ってきた若尾文子を向かい入れ、二人で畑仕事をする。 そして、最後に田村高広は言う。 「俺たちは村を離れないぞ。二人で生きていくことでみんなに認めさせたい」と。 この最後のセリフは重い。 それまで、壮絶な愛の映画だと思っていたけど、このセリフで村八分にされた人の反抗の映画だということがわかった。 反戦映画にも通じるものがある。 しかし、あくまでも個人的な感想ですが、このセリフはいらないと思う。 若尾文子の孤独感からくる壮絶な愛の映画で終わらせた方がよかったのでは。 このセリフによって、若尾文子への熱い感情が薄らいでしまった。 夫を戦争に行かせない若尾文子の激情から、究極の男と女の愛を感じることができるし、日が経つにつれ、やがてそれは反戦映画だったり、反骨の映画にも感じるようになるものだと思う。 そういう深みのある映画になりえた映画だったのに。 この映画が残念で仕方がない。 思うに、ラストのセリフには脚本を書いた新藤兼人さんの意図が強く出ている気がする。 もう一度言いますが、若尾文子が素晴らしいです。
追い詰められたような病的な表情、おびえたような眼。 女の一途な激情を見せてくれます。 また、屈折した女の気持ちを表すため、真っ直ぐ顔を向けないで、顔を斜め下や後ろに向け見たりする構図も美しい。 ラストのセリフにこだわりがあるものの、この映画はお薦めです。 |

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村八分の映画ですね。反骨の映画かもしれませんが反戦映画という感じはしなかったです。特殊な状況下で男女の愛情をつきつめていくと、こういう形で帰着させるしかなかったという感じです。ある意味正義と理性の象徴のような清作が、はみ出し者の若尾文子に、恋愛という感情の中で取り込まれていく過程が面白かったです。
2010/4/23(金) 午前 6:39
ヒッチさん
自分の印象は、取り込まれていくというより鐘を鳴らす押しつけがましい正義の田村高広が、はみ出し者の若尾文子の気持ちをようやく理解したと思っています。ストレートに、壮絶な男と女の映画でよかったのでは。そこから、うっすらと反骨であったり反戦であったりがうっすらと見えてくる方が映画の広がりがあると思うのですけどね〜^^。まあ人の感じ方は色々なんで、何が正解かわかりませんが。
2010/4/23(金) 午後 9:19
なるほどそういう事に全く気付いてませんでした。
たしか学生時代に観て、強烈な愛の物語にとにかく感動してしまいました。この作品の中の若尾文子も大好きです。
田村高広が奥さんに攻撃されるまで、彼女の孤独をあまり理解していない描写と、その後なす術もなく暮らしながら理解していく過程の描写が好きでした。
増村監督の作品の女性はとにかく強烈で魅力あります。
2010/4/24(土) 午後 11:35 [ - ]
ユメニさん
感想のなかでも書きましたが、最後近くまで、若尾文子の孤独感と離れられない壮絶な愛の表現に涙が出そうでした。最後まで愛のドラマでよかったような気がします。増村監督、いいですね、さらに気になっています。
2010/4/25(日) 午後 10:44
そうですね。田村高広の役どころは、優秀で村の皆に尊敬され、立派な人と認められていた為、生き恥をさらすような事態になってなお、文子の事も含めて「みんなに認めさせたい。」と言ったのかなと思いました。落ちぶれてもプライドが有るのかなぁと。
すいません、見当違いかな。もう一回見直さないとですね。
しかし増村映画のヒロインは悪女も乙女も愛のためにはかなり強引でカッコイイです。映画館で特集して欲しいですね〜。
2010/4/26(月) 午前 1:46 [ - ]
ユメニさん
勝手な感想ですが、田村高広は、それまで偽りの人生を過ごしてきたことが、見えなくなってようやく外れ者の気持ちがわかったのでは。若尾文子と生き抜くことで外れ者の反抗を試みたと思いますが。実はゴールデンウィークに増村保造の特集をやるんですが、大阪に帰っているので、めっちゃくやしいです。今度機会があれば絶対見ますよ!まったく関係ないですが、お薦めの映画があります。トリフォーの「隣の女」です。もし機会があれば観てみてください。男と女の映画です。
2010/4/26(月) 午後 9:42
そっかー!そういえば朝鳴らす鐘を壊していましたよね。真面目に朝鳴らしてましたが。
学生時代観たので、若尾の気持ちの方は結構分かったのですが。ゴールデンウィークにやるとはいいですね!観れないのは残念ですが
人気監督なのでまた機会があると思いますよ〜。
「隣の女」チェックしてみます。
2010/4/27(火) 午前 10:12 [ - ]
ユメニさん
ほんま、残念で、くやしいです。東京は恵まれているので、どこかでまた特集を組んでくれことを期待します。「隣の女」、おっさんでも感受性が強いのか、2回とも号泣でした。究極の愛の映画だと思っています。機会があれば是非。
2010/4/27(火) 午後 9:57
私はshirakansuさんのレヴューを読んで鑑賞しようと決めたと思っていたのですが
読んだのは他の方の記事だったようです。
でもこのshirakansuさんの記事も全てに納得、共感できます。
「この人の姿を見ているだけで、鳥肌がたって、涙が出そうになるくらいの生きざまでした。」…全く同感です。彼女がいなければ、この映画は成り立たなかったのではないかと思う程。
田村高廣の最後の「俺たちは村を離れないぞ。二人で生きていくことでみんなに認めさせたい」と言う言葉で、それまでの緊張感がプツッと消え、この映画の「重なり合った複雑で深い思いの襞」がいっぺんに解けてしまう残念さが心に満ちました…。shirakansuさんとその点も一致しました。
2016/3/25(金) 午後 3:19
> alf's momさんの記事を読んで、集団と個との関わりを描いた映画で、新藤兼人の原点があるようで、その中での若尾文子の存在が凄すぎます。
2016/3/26(土) 午後 10:59