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2010年4月25日、新文芸坐「新藤兼人監督お誕生日おめでとう!」にて。

1975年度作品。
構成:新藤兼人
出演:田中絹代、依田義賢、成沢昌茂、山田五十鈴、中野英治、中村鴈治郎、入江たか子、永田雅一、内川清一郎、浦辺粂子、増村保造、進藤英太郎、香川京子、乙羽信子、

溝口健二と仕事をした39人の俳優・スタッフ・友人の証言から、彼の仕事ぶりとその人間像を描き出した貴重な長編ドキュメンタリー。溝口を師と仰いだ新藤監督は自ら製作・構成・台本も担当し、さらに全50時間にも及ぶインタビューを敢行。女性崇拝主義であり、伝説的なエピソードを数多く残した溝口健二の秘密に肉迫していく。(日本映画専門チャンネル解説より)

タイトルは、おごそかに「記録」となっている。
溝口健二監督の人間性、映画に対する考え方を関係者へのインタビューの中で浮き彫りにして、ただ単にきれいごとではないものを残そうとした野心作。

自分が知っている世界の映画であれば、どこまでものめり込む。
トイレに行くとその緊張感が切れてしまうので、愛用のしびんを使っていたと言う話もあった。
反面、どう描いたらいいのか分からない楊貴妃のような映画は、混乱して慌てふためく。
その現れとして、俳優にイチャモンをつけたり、200メートル先のエキストラを怒鳴りつける。
目の前の俳優の演技を観ていない、心ここにあらずということだったらしい。
純粋で嘘がつけない性格からくるいらだち。

そういう意味では、不器用な人だったんだろう。
作品の出来不出来が極端だというのもうなずける。
また、ヴェネチア映画祭では、賞が取れるように祈っていたとか。
官尊民卑の思想があったのではとインタビューでは言っていた。
単純で子供のような正直な性格。

また、同棲していた女に斬りつけられる話とか、奥さんの話とか、女性に対する複雑な思い入れは強い。
そのことを、映画の中で人間、特に女を描くことに一生をかけたということが伝わってくる。
特に、田中絹代へのインタビューは緊張しながら観た。
映画の中では恋愛関係だったんではと言う。
映画の女性に恋をしていたのではと。

「雨月物語」で、ラスト、重要なシーンを終えた森雅之にタバコの火をつけるエピソードも印象深い。
溝口監督がそんなことをするのを見たことがないと。
溝口監督が、俳優に対して初めて感服したのではと田中絹代は言う。

映画しか観ていない自分には、溝口監督の人となり、また映画への情熱を少しでも感じ得たことは素直によかったと思う。
この映画は1975年制作で、インタビューされている人は、ほとんどもう亡くなられている。
そのことからしても、貴重な「記録」映画だといえます。

閉じる コメント(14)

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溝口監督の現役時代のことはもっとクローズアップされても良いと思います。
DVDで復刻した際、新藤兼人監督がインタビューに答えていらっしゃいましたが、とてもわかりやすくて勉強になりました。
基本的に溝口監督にとって役者とは素材。
仕事の面でも色々勉強になりますね。
仕事は演出ですよね。

2010/4/29(木) 午後 8:16 [ dalichoko ]

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「トイレに行くとその緊張感が切れてしまうので、愛用のしびんを使っていた」…凄いエピソードが溝口監督への興味を益々大きくします。
まだ溝口作品は一作も見ていませんので、レヴューを参考に、まずは鑑賞してみようと思います。
その後、この「記録」映画が、見られたらいいなと思います。

2010/4/29(木) 午後 10:05 alf's mom

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こんばんは。
このドキュメンタリーは貴重ですね。
知らない俳優さんもいましたが、溝口作品の常連役者やスタッフのインタビューは「人間」溝口を浮かび上がらせてくれました。
女に斬りつけられた際の無様さは、やはり新藤監督が書いた溝口の本にも書かれていましたが、こうして映像で語られるとリアリティがあります。
浦辺粂子も私が子供の頃はバラエティなんかで見る(またはモノマネにより)変なしゃべり方をするおばあちゃんというイメージしかなかったですが、このようなインタビューや古い映画を見るようになって、名傍役だったという事が理解出来ます。

2010/4/29(木) 午後 10:18 [ - ]

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溝口映画の作品ガイドとしても価値がありますよね。愛弟子だからこそ溝口の人となりをドラスティックに切り取ることができました。いずれにせよ、かなりの変人だったことは間違いないです。

2010/4/30(金) 午前 6:33 ヒッチさん

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chokoboさん
一人の映画監督をインタビュー形式で描くことが新藤兼人監督らしいです。「溝口監督にとって役者とは素材」、言えてますね。chokoboさんは演出家なんですか?

2010/5/1(土) 午前 8:26 シーラカンス

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alfmomさん
トイレの件は、職人に近いというか自分にもわかるような気がします。彼の頭の中はすべてが「映画」だったんのでしょう。有名どころでは「雨月物語」「山椒太夫」「西鶴一代女」「近松物語」でしょうか。

2010/5/1(土) 午前 11:14 シーラカンス

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bigflyさん
この映画は、かなり貴重ですね〜。ただ単なるインタビュー映画ではなく、おっしゃるように「人間」溝口をなんとか紐とこうとしている点がすごいです。家政婦さんとできていたとかも生生しかったです。本も出ているんでしたね。そちらの方も気になります。浦辺粂子は「おぼっちゃま」とか言うTVドラマのセリフが有名ですね。成瀬映画でも貴重なバイプレーヤーでした。

2010/5/1(土) 午前 11:22 シーラカンス

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ヒッチさん
この映画を観てから、溝口作品を観るとまた違った視点で見れそうなきがします。立派な映画監督だけにはしないような意気込みが感じられて、新藤兼人は人間溝口の一生を描きたかったのでしょう。変人ゆえの映画へのこだわりとも言えるかもしれません。

2010/5/1(土) 午前 11:31 シーラカンス

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この映画は、田中絹代のインタビューに尽きますね。
個人的には、香川京子の方が好きですが。

2010/6/7(月) 午後 9:40 [ iintyou ]

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iintyouさん
また新藤監督がしつこく田中絹代に質問します。観ている方が緊張しました。「近松物語」での一気に燃えるような恋に一途な奥方の香川京子はよかったです。

2010/6/7(月) 午後 11:38 シーラカンス

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溝口は、白血病で死んでしまう。京都府立医大の長い病室への回廊のシーンが印象的です。
新藤さんが、病抱えながら最後までシャシン撮り続けた溝口への鎮魂歌とも思えました。
山椒太夫で、あれだけ田中絹代さん苛めて、それでも田中さんに溝口への恋慕を語らせるシーンは、ちょっと涙しました。

2010/12/9(木) 午後 11:19 [ moemumu ]

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moe*u*uさん
新藤監督の溝口という人間を引き出そうとする熱い気持ちはインタビューの質問で十分伝わります。京都府立医大の回廊のシーンは印象強いです。二人の映画魂がお互いの深い絆に繋がっているのしょうね。

2010/12/11(土) 午後 1:13 シーラカンス

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おっしゃるように貴重な映画ですね。
作品は名作ぞろいですが、溝口監督そのものはなかな知ることはできませんね。新藤監督は、溝口の人間性を描きたかったのでしょう。
興味を引く映画でした。
TBさせてください。

2016/1/20(水) 午後 6:37 ギャラさん

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> ギャラさんさん
溝口監督の人間性を浮き彫りにできたのではないかと思います。ただ単に綺麗ごとに終わらせない点は、新藤監督ならではの映画だと思います。

2016/1/21(木) 午後 8:19 シーラカンス

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