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2010年4月25日、新文芸坐「新藤兼人監督お誕生日おめでとう!」にて。 1995年度作品。 脚本:新藤兼人 出演:杉村春子、乙羽信子、朝霧鏡子、観世栄夫、瀬尾智美、津川雅彦、木場勝己、倍賞美津子、永島敏行、松重豊、上田耕一 杉村春子と乙羽信子が共演し、劇映画としては二人の遺作となった味わい深い人間ドラマ。毎夏、蓼科高原に避暑にやって来る老女優、蓉子(杉村春子)と彼女の世話をしている農婦の豊子(乙羽信子)。豊子の娘、あけみ(瀬尾智美)が実は蓉子の亡き夫の子だという告白から、互いの心中が変化していく様を描く。女性の老いがテーマだが、それぞれの持ち味を遺憾なく発揮して独特の芝居空間を現出させた二大女優の存在感が、なにより素晴らしい。(eiga.com解説より) 15年前の映画、それでも、新藤兼人監督83歳の映画。 なにせ、今98歳になっているのだから、少し若い頃?と言っていいのかどうか。 それにしても83歳で、これほど力強い映画を撮るなんて、素直にすごいと思います。 まあ普通に考えて、83歳で映画を撮れること自体に、ある種、感動を覚えますが。 「老い」や老人がテーマにあることは間違いないでしょう。 ネタバレあります。 舞台の老女優、蓉子(杉村春子)の別荘の庭の手入れをしてくれていた人が死んで、その人が河原で拾った「石」で棺桶の釘を打ったという。 その話を聞いて、蓉子(杉村春子)は自分も同じような「石」を河原で拾い、大事に箪笥の上に置いていた。 自分が死んだらその石を棺桶に乗せてほしいと。 ある日、蓉子(杉村春子)の早稲田小劇場時代の女優仲間だった登美江(朝霧鏡子)と夫の藤八郎(観世栄夫)が、一度会いたいとやってくる。 登美江(朝霧鏡子)は痴呆症にかかっていた。 ある事件の犯人がこの別荘にやってきたが、登美江(朝霧鏡子)が撃退して、警察から表彰される。 その後、夫婦は田舎の村の入り口まで来て村を眺め、やがて入水自殺する。 別荘の賄い婦豊子(乙羽信子)は、蓉子(杉村春子)の亡くなった夫の子供あけみ(瀬尾智美)を産んでいたことを突然告白する。 そして、あけみ(瀬尾智美)の昔からの風習である結婚の儀式に出席した蓉子(杉村春子)は感動する。 その儀式は、エロスであり性の風習の儀式だった。 蓉子(杉村春子)は、その儀式を見て、また舞台に立ちたいと強く思い、いそいそと別荘を去っていった。 豊子(乙羽信子)は、箪笥の上の「石」を、河原に捨てた。 石、痴呆症、心中自殺、エロス、性、生といったパズルをちりばめてこの映画を描いている。 特に、結婚の儀式に感動して、舞台に立ちたいと強く感じた蓉子(杉村春子)に、老いてこそ、より強く生きたいと願うものだと改めて思った。 それは、新藤兼人自身の映画を作りたいという気持ちにも投影されているのでしょう。
だから、蓉子(杉村春子)には「石」は要らないと、最後に豊子(乙羽信子)は「石」を捨てにいく。 「死」を予感させる「石」よりも、舞台であり映画である「生」が大事だと言っているようだ。 乙羽信子さんの渾身のラスト演技でした。 |

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一年程前にビデオで見ました。
監督・出演者、また当時の新藤さんの年齢。
それらを考えただけで、期待が高まりました。
shirakansuさんの記事で、色々な場面が浮かんで来ました。
83歳での映画制作。凄いことだと思いました。
でも、私は、最後まで音羽信子のやや棒読みのような、感情の起伏を感じない、ぶっきらぼうな物言いに、違和感がありました。
気持ちが集約できないまま、映画は終わってしまい、感想が書けませんでした。
2010/5/13(木) 午前 7:57
alfmomさん
83歳で映画を作ることに驚きです。この映画の乙羽信子さんは、杉村春子さんに雇われている別荘の管理人ですが、杉村春子さんの夫とも関係があり、同等の立場と本人の性格からぶっきらぼうな振る舞いになっているのではと思いました。それとあくまでも杉村春子が主役で、案内人的な役割からなるだけ乙羽信子さんに観客が目がいかないような配慮があるのではと勝手に考えました。それにしても、乙羽信子さんが杉村春子さんに連れ添って砂浜を歩くシーンに印象に残っています。実際に乙羽信子さんは病気で、もう歩けなくなっているのがはっきりわかります。映画ではない現実が見えて辛かったです。
2010/5/13(木) 午後 8:42
妻として女優として夫を支えた乙羽信子氏の痛々しい最後の熱演ですね。杉村春子の貫録も見事。作品自体にはもうひとつ入り込めませんでしたが、二人の女優の存在感は残り続けると思います。
2010/5/14(金) 午前 6:46
ヒッチさん
自分は結構好きですね。老いても、性を感じてまた生きようとする力を見出す杉村春子は新藤監督、そして乙羽信子さんそのものだと思いました。
2010/5/14(金) 午後 8:54