|
カティンの森 2010年5月9日、新文芸坐にて。 2007年度作品。 原作:アンジェイ・ムラルチク 監督:アンジェイ・ワイダ 脚本:アンジェイ・ワイダ、ブワディスワフ・パシコフスキ、プシェムィスワフ・ノバコフスキ 出演:マヤ・オスタシェフスカ、アルトゥル・ジミイェフスキ、マヤ・コモロフスカ 1943年にソ連国内の森で数千人のポーランド将校の遺体が発見された「カティンの森事件」を、巨匠アンジェイ・ワイダ監督が、実際に遺された手記や手紙を基に描き出す歴史ドラマ。1939年、西からドイツ軍に追われる人々とソ連軍に東から追われた人々が、ポーランド東部にあるブク川の橋の上で偶然出くわす。西側からはソ連の捕虜となった夫・アンジェイ大尉を探すアンナと娘のニカ、東側からは大将夫人ルジャがおり、彼らはそれぞれの目的地へ向かうため川を渡る。(eiga.com解説より) この「カティンの森」が話題になったのは、先月4月の追悼式典でのポーランド大統領の死亡事故だった。 TVのニュースでも、この映画の一部が放映されていた。 その話題性なのか、併映「母なる証明」の人気のせいなのか、映画館は満席状態だった。 一応、ウィキペディアでその事故を調べた。 「4月10日に現地でおこなわれるポーランド主催による追悼式典に参加する予定だったポーランドのレフ・カチンスキ大統領が、搭乗したポーランド政府専用機がスモレンスクの空港付近の森林地帯に墜落して大統領夫妻及び多数のポーランド政府高官が死亡する惨事が起きた。」 冒頭、父親に捧げるというテロップが流れる。 またまたウィキペディアで調べたら、父親も「カティンの森事件」で犠牲になっている。 その監督の個人的な思いとポーランドの国を代弁したようなストレートな怒りが映画から伝わってくる。 第2次世界大戦中では、ドイツとソ連の両国に占領されるポーランドの苦悩が描かれていた。 ドイツとソ連に翻弄されたというか圧政されたポーランドの現実が見える。 ドイツは、「カティンの森事件」はソ連の犯罪だと暗殺されたポーランド大将の妻に伝え、妻にドイツが用意した原稿を読みテープ録音することを強要したが、妻は拒否した。 ドイツは、そのテープをもとにソ連を脅かそうと目論んだ。 ソ連は、ドイツの犯罪であると一貫して主張した。 やがて、ドイツが敗れ、戦後のポーランドはソ連の影響下で自由な言動を制限されていた。 「カティンの森事件」はソ連が行ったことであることを個人が表明すること自体も弾圧された。 ラストは、ソ連兵による残虐な殺戮が延々と描かれ映画は終わる。 ソ連側の説明や描写はまったくなく、あくまでもポーランド側からの目線ですべてが描かれる。 それは、ソ連側の言い訳さえ許さない怒りに満ちた、戦うアンジェイ・ワイダ監督の意思を強く感じる。 現在のポーランドは、この映画には登場しない。 しかし、この映画が製作できたということで、ロシアの影響下にはないことが窺がえる。 この映画の影響なのか、2010年4月ロシアが「カティンの森事件」の責任を認めたらしい。 またまたウィキペディアを引用します。 「2010年4月7日、プーチン首相はポーランドのトゥスク首相と共にスモレンスク郊外の慰霊碑に揃って跪き、さらに事件を「正当化できない全体主義による残虐行為」とソ連の責任を認めた。」 また別の記事もあった。
【モスクワ共同】第2次大戦中にポーランド軍将校ら2万人以上が旧ソ連に虐殺されたロシア西部の「カチンの森」事件から70年を迎えるのに合わせ、ロシアのプーチン首相は7日、ポーランドのトゥスク首相を公式に招き、現地で追悼式を開催した。 タス通信などによると、プーチン首相はソ連のスターリン体制が行った虐殺を「正当化できない犯罪」と批判。ただロシア国民に罪をかぶせるのは間違っていると主張し、謝罪はしなかった。 追悼式にロシアの政権首脳が出席するのは異例。ロシアの国営テレビは2日、2007年の公開以来、国内でほとんど上映されていなかったポーランドのアンジェイ・ワイダ監督の映画「カティンの森」を放映し、ロシアが和解へ向けて一歩踏み出したとの見方が広がった |

- >
- エンターテインメント
- >
- 映画
- >
- 映画レビュー







ワイダ作品ですか・・・
最近見ていませんね。
そう言えば、最近、ポーランド映画自体を余り見なくなりましたね。
2010/5/19(水) 午後 11:02 [ ひろちゃん2001 ]
アンジェイ・ワイダ監督自身、父をカティンの森で殺されてしまったわけですが、
そのワイダ監督が作ったカティンの森事件の映画ということで
岩波ホールで公開された時に見に行きました。
その時もものすごい人で、熱気もすごかったですが、
いやー、重かったですね。
あのラストには黙って頭を下げて出て行くしかありませんでした。
カティンの森事件はポーランドとロシアの間に刺さったトゲのようなものでしたが、
ようやくロシア側が責任を認めて謝罪するなど
進展が見られたことは歓迎されることです。
しかし、ポーランド大統領の飛行機墜落などで
「やっぱり呪われているのか...」という思いが広がりました。
しかし、そのあとロシア側が国を挙げて追悼の意を表するなど、
やはり状況は変わっているようですね。
なんだかこの映画や事件について言いたいことは山ほどあるのですが、
それは今はおいといて、自分が見たときの記事をTBします。
2010/5/20(木) 午前 10:11 [ 鉄平ちゃん ]
ひろちゃんさん
昔観たのは、もしかして「灰とダイヤモンド」でしょうか?アンジェイ・ワイダはまだまだ元気ですね。
2010/5/20(木) 午後 9:45
鉄平ちゃんさん
アンジェイ・ワイダ監督のストレートな怒りの映画ですね。この映画で改めてポーランドの抑圧された歴史を実感しました。
2010/5/20(木) 午後 10:06
真実ならではの迫力が画面全体から伝わってきました。
ワイダ監督渾身の一作でしょうね
しかし・・・人間って・・・恐ろしいですね
2010/5/23(日) 午後 3:29 [ きらきらくん ]
くろさわさん
そうですね、ワイダ監督のストレートな怒り、渾身の映画ですね。いまでもアフリカにそんな噂のある国がありますね。進歩した大人の対応ができる人間はいつなったら。。。
2010/5/23(日) 午後 7:44
御訪問ありがとうございました。
本当に重い映画でしたが、地方の上映はないのでDVDを待っていました。映画というよりドキュメント番組そのものを観ているような淡々とした事実の記録が意味する恐ろしさに心が凍るようでした。
後世に残そうとする監督の強い怒りと意志を感じました。
1人でも多くの人に観てほしいですね。
2010/5/25(火) 午後 2:16
Machiさん
コメントありがとうございます。そうですね、感情移入するような描写はわざと避けて、ドキュメント風の淡々とした映画作りに徹した気がします。監督が命をかけた映画と言えるかもしれません。
2010/5/25(火) 午後 11:52
御訪問ありがとうございました。
同じ映画をもとにこういうお話ができて嬉しいです。
これからもよろしくお願いいたします。
2010/5/26(水) 午前 9:12
Machiさん
私も同じような気持ちを共有できて、うれしい限りです♪
こちらこそ、よろしくお願いしますね〜。
2010/5/26(水) 午後 10:39
鑑賞後にお訪ねしようと思っていました。
TB有難うございます。
「ソ連側の説明や描写は全くなく、あくまでもポーランド側からの目線で全てが描かれる」。
監督の執念と怒りが、映画の全編に満ちていました。
色々な資料を読むことにより、ポーランドの悲痛な歴史に深く触れることができました。
2010/6/1(火) 午後 10:36
alfmomさん
この映画で、戦うアンジェイ・ワイダ監督の強い意志を感じました。私もポーランドの歴史を少し調べましたが、ドイツとソ連に翻弄され、戦後はソ連の影響下で苦しんだことを知ることができました。
2010/6/1(火) 午後 11:49
劇場で観たんですね。こちらでは観れなかったので、DVD観賞でした。
2010/8/15(日) 午後 10:24
もっさんさん
ストレートな監督の思いが強く感じられました。渾身の映画です。
2010/8/15(日) 午後 11:58