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姿三四郎 2010年5月23日、浅草新劇場。 1977年度作品。 監督:岡本喜八 脚本:隆巴 音楽:佐藤勝 出演:三浦友和、仲代達矢、若山富三郎、秋吉久美子、中村敦夫、矢吹二朗、宮内洋、神崎愛、中谷一郎、浅野ゆう子、草笛光子、岸田今日子、田中邦衛、岸田森、丹波哲郎、森繁久彌、大木正司、伊藤敏孝、長谷川弘、草野大悟、小川真司、常田富士男、砂塚英夫、岡本喜八 姿三四郎(三浦友和)は会津の生まれで、父も母もすでにない。かなりのあばれん坊で、柔術だけはめっぽう強い。ふとしたきっかけで鎮台兵相手に大立ちまわりを演じてしまった彼は、先輩の安吉(田中邦衛)とともに故郷を去り、東京へと向かう。時は明治15年。東京は文明開化にわいていた。三四郎は、俥挽きをしながら柔術の師を探しもとめる。三四郎が門馬三郎(中谷一郎)の道場に入門をもとめた日、門馬と弟子たちは矢野正五郎(仲代達矢)に闇討ちをしかけた。大学を卒業し、理論的な柔道の確立をめざす正五郎は、多くの柔術家の反感をかっていた。明治15年から20年、怒涛のように押し寄せた西洋文化の前に、みるみる衰退していった日本の柔術。その中で、日本人の心を失わなかった一握りの人々が、やがて新しい「柔道」を完成させていく姿を描く。(goo映画解説より) この映画館、3本立てで、朝入ると800円。安〜。 浅草JRAウィンズの前に3つある映画館のひとつ。 けっこう混んでいます。 なんか不思議な感じがします。 映画が始まっても立っている人がいるのです。 本当に映画を観るために映画館に入ったのか、競馬が始まる間の暇つぶしの人もいるような、そんな映画館です。 まあ、それでも、この映画館たちがそれで成り立っているなら、それはそれでいいのかもしれない。 映画館があること自体に価値があるように思う。 だから私みたいなものがこうやって映画館でこの喜八監督の映画が観れるのですから。 他の競馬場でも映画館を作れば生き延びていけるかもしれない。 ・・・と、ふとそんなしょうもないことを思った。 久しぶりに岡本喜八監督の映画を観た。(くれぐれも黒澤監督の映画ではありませんよ) 実はというか、今まで1本を除いて喜八監督全作品を観たと豪語していたのに、この名画座のプログラムを見ていて、実はもう1本観ていないことに、はたと気づいた。 それがこの映画です。 「姿三四郎」と言えば、どうしても黒澤作品の印象が強すぎます。 岡本喜八監督も「リメイクはコリました。やっちゃいけません」と生前コメントしていた。 まったくそのとおりで、「姿三四郎」と「続姿三四郎」(未見ですが)の2本分を1本にしたようで、やはりちょっと長すぎます。 ストーリーだけが流れていく、ダイジェスト版のような気もしました。 ただ、三浦友和の爽やかな青春映画に仕立て上げたことには成功していると思います。 黒澤映画の重さよりもっと軽く、どこか飄々としています。 監督の個性の違いです。 オープング、姿三四郎が喧嘩をするシーン、ローアングルで短いカット。 どこかユーモアもあります。 おお、いかにも喜八監督らしい始まり。 あっ、そうそう、まず断っておかないといけません。 私は、岡本喜八監督のファンなので、マニアックな感想もあり、くれぐれも2割増しで読んでくださいね。 相変わらず、テンポはいいです。 短いカットでつないでいく独特の喜八カット。 このカットにハマると、もうたまりません。 「物」から「物」へとつなぐカット割も好きな演出方法です。 例えば、三四郎が道場を辞めるため名札を外すカットの後は、村井半助の家の表札を草笛光子が外すシーンへと、名札と表札が「物」で繋がっていき、スピーディに流れていきます。 ゲタがかっこいいのです。 鼻緒が切れて、小銭を使って穴に紐を通して修理します。 この時代の普段の生活が感じられます。 爽やかな三四郎(三浦友和)と口八丁の先輩(田中邦衛)のコンビもいいです。 新聞記者になった先輩(田中邦衛)が、桧垣源之助(中村敦夫)に腕を折られて、元に戻らない姿であっても、それでも新聞記者を辞めずに戦う姿に喜八監督の心意気を見ました。 黒澤映画の有名なシーンも同じように描かれています。 暴風の中、三四郎が桧垣源之助と戦うススキのシーンとか。 さすがにオリジナルには負けますけどね。 でも、勝っているものもあります。 脇役の個性であり、脇役にそれなりにエピソードを持たせる監督の豊かさです。 それは、映画全体の豊かさにも繋がっていると思います。 本筋とは関係ないところで、うれしくなってしまうのです。 例えば、車引きの安吉(小川真司)が同じ車引きの三四郎とは仲良し。 そのあと、三四郎が道場に現れ、道場の名札の最後に安吉の名前を見つけます。 「へへっ。道場に入っちゃった」と頭をかきながら笑う安吉の姿。 三四郎と安吉の友情がさりげなく描かれます。 こういうシーンがたまらなく好きなんですよね〜。 田中邦衛も最後まで三四郎の仲間であり続けます。 喜八組の俳優さんも久しぶりに観れてうれしかったです。 門馬三郎(中谷一郎)、謎の刺客(岸田森)、車屋の主人(草野大悟)、車引き安吉(小川真司)、門馬三郎の仲間の強面の男(大木正司)、同じ道場の仲間(伊藤敏孝)、会津の警察署長(長谷川弘)、質屋(砂塚英夫)。 監督自身も謎の男で出演するサービスまであります。 亡くなっている方が多いので、ちょっと寂しいですね。 なにせ、33年も前の映画ですから。 ヒロインの村井乙美役の秋吉久美子が可愛いです。 この映画では、素直で清純な役。 朴訥とした三浦友和を慕い、ラストでは桧垣兄弟と戦う三浦友和を追いかけ山まで登っていきます。 ラスト山を下る三四郎のストップモーションに主題歌が流れ、映画は終わります。 三四郎(三浦友和)の寛大な性格でしょうか、敗れた人たちがみんな三四郎を好きになるところは、ご都合主義なのか、それとも原作(読んでいません)を尊重したのかなと思います。 そういう意味では、1977年の時代を表しているとは到底思えませんね。 それでも、それにしても、久しぶりの岡本喜八監督の映画に堪能しました。
すいません、支離滅裂な感想になってしまいました、お許しを。 これで、残るはあと1本「大学の山賊たち」を観るだけとなりました。 |

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なかなかの珍品ですね。
如何にも、岡本喜八には似合わない企画でしたね。
ダイジェスト風の話の流れであり、岡本監督自身も余り気合が入っていない印象でした。
2010/6/2(水) 午後 11:39 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃんさん
すいません、ウソついていました、この映画未見でした。それなりに喜八監督らしくテンポはよかったです。短いカット割もあり、三浦友和の爽やかな青春映画ですね。あと残るは「大学の山賊たち」の1本です。楽しみですね〜♪
2010/6/3(木) 午前 0:17
『浅草新劇場』には私も昔良く行きましたが、映画に集中できる環境ではなくて結構しんどかったです。観たい映画を観る為なら悪環境も厭わず…。その情熱には感服します。
『大学の山賊たち』は今年ケーブルテレビの『日本映画専門チャンネル』で観ました。青春物と密室サスペンスを兼ね合わせたような内容で、まぁまぁ面白かったです。
2010/6/6(日) 午前 11:28 [ uzimusi58 ]
uzimimusi58さん
コメントありがとうございます。
今、東京に住んでいて、地方の方のブログを見ると、映画館で映画を観ることそのものが、すごく贅沢であることを実感しています。だから「浅草新劇場」の観る環境が必ずしもいいとは思いませんが、映画館で映画を観れることに満足しています。昔はこんなもんでしたからね♪ 正直なとところ自分自身『大学の山賊たち』にそんなに期待はしていません。でも、楽しそうな映画のようですね。少しでも喜八節が観れればそれだけで満足です。もう普通の感覚では観れないですから。
2010/6/6(日) 午後 9:11
秋吉久美子の迷セリフ『お花が可哀そう』を聞いて・・・。
こんな映画を見させられた方が可哀そうだと突ッ込んでしまいました。
2010/6/7(月) 午後 9:44 [ iintyou ]
iintyouさん
桧垣(中村敦夫)が村井(若山富三郎)の葬式で矢野正五郎(仲代達矢)の献花を捨てた時のセリフでしたっけ? そのあと「お父さんが可哀想」と続くんですよね。明治15年の頃のセリフなのか、それとも私が歳とっているせいか、自分にはそんなに違和感がなかったのですが。。。
2010/6/7(月) 午後 11:48
浅草新劇場はまだ健在ですね。ただこの映画は映画を大事に扱わない小屋というあまりよくないイメージを持っています。映写技師がまだ映画が終わっていないのに映写を止めるのです。余韻も何もあったものではないです。そういう技師はもういないのかもしれませんが、そんなことがあって、この小屋には入る気になりません。岡本版「姿三四郎」は文芸座で予告篇を観ただけです。黒澤版の二本のダイジェスト版になっているようですね。実は黒澤の方も内川清一郎監督で同じような企画をやっていますね。これはNHKで放映していたのを観た記憶があります。1977年頃の作品ですから、三浦友和は山口百恵の共演者のイメージの強い頃。そろそろ一本立ちをと会社側は思っていたのでしょうね。しかし、今や堂々と中堅ベテランの俳優としてやっているのは相当努力したと思います。
2010/9/29(水) 午後 3:11 [ SL-Mania ]
SL-Maniaさん
確かにそんな感じはします。プログラムは結構いいんですけどね。競馬の間の時間つなぎなの観客が多いようで観ているのかわからないから、そんな映写技師も生まれてくるんでしょうね。三浦友和はいやらしい役もするようになって演技の幅ができたような気がします。
2010/9/29(水) 午後 11:51