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2010年6月4日、神保町「喜劇映画パラダイス」にて。 1964年度作品。 原作:藤原審爾 脚本:加藤泰、山田洋次 音楽:山本直純 出演:ハナ肇、桑野みゆき、花沢徳衛、高橋とよ、犬塚弘、長門勇、三井弘次、渥美清、藤山寛美、小沢栄太郎、植木等、渡辺篤 山田洋次が自分のスタイルを確立するきっかけになった作品。藤原審爾の原作は、以前にも滝沢英輔監督・森繁久彌主演で「安五郎出世」という題で映画化されたが、山田洋次版「馬鹿まるだし」に先だって、同じ1964年、山田の脚本で同題名のTVドラマが作られている。シベリア帰りの風来坊・松本安五郎(ハナ肇)は、瀬戸内海の平和な町にある浄念寺に転がり込む。寺には若くて美しい未亡人・夏子(桑野みゆき)がいて、安五郎はひそかに思いを寄せる。ある日、ダイナマイトを持った脱獄囚が、人質を取って山へ逃げ込んだ。安五郎は夏子にいいところを見せようと、単身助けに向かったが、ダイナマイトが爆発し失明する。盲目になった安五郎が涙を流しながら、夏子に思いを語る長回しシーンでは、ハナ肇の熱演が光る。このキャラクターは、のちに“車寅次郎”へと受け継がれる。(eiga.com解説より) この解説が素晴らしい。 あと付け加えるなら、山田洋次監督の個性が、2つ際立っていると思うことぐらいでしょうか。 おだてられると調子に乗って「つい、やってしまう」安っさん(ハナ肇)は、人情に厚く、御新造さん(桑野みゆき)さんから「馬鹿ね」と言われてしまう一本気なやつ。 この当時でもこんな安っさんのような人物がいたのかどうかもあやしい。 日本人がどこか安心したくなるような幻の人物なんでしょう。 悪気がないのに、変に誤解されてしまう。 あまりに単純で純粋すぎて、人からおだてられてその気になってしまう。 でも憎めないところが重要なポイントで、嫌われたらこの映画は成り立たない。 そのあたりの、山田洋次監督の憎めない人物の造形が素晴らしい。 解説にも書かれていたが、それは「寅さん」にも通じる人物像。 最近の「おとうと」にも繋がっています。 もう一つは、笑いと抒情性のバランスがいいのです。 解説にもある白モクレンの花が咲く中で、安っさん(ハナ肇)が、明日嫁ぐ御新造さん(桑野みゆき)に愛を告白するシーン。 安っさんは、ダイナマイト事件で目が見えなくなっていて、「俺は汚ねえ」と言う。 その言葉に御新造さんは涙を浮かべているが、安っさんには分からない。 この切なさがいいのです。 「俺は汚ねえ」とは、「無法松の一生」での無法松のセリフ。 安っさんは、この舞台を観て、泣いていた。 「寅さん」の映画でも、笑いとどこか切ないシーンが織り混ざっています。 この映画に渥美清が特別出演しています。 その存在感には圧倒されます。 山田洋次監督が、渥美清で映画を撮ってみようとする気持ち、とても分かります。 あと、顔は知っていましたが、高橋とよという女優さんの名前と顔が一致しましたね。 それと同じような展開の映画に「なつかしい風来坊」という映画があります。
大昔観たきりですが、ラストは号泣ものでした。 日本人であることを意識します。 山田洋次監督は、やっぱりうまいです。 |

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山田洋次の喜劇は、その語り口の上手さは圧倒的ですね。
おっしゃる通りで、「笑いと抒情性のバランスよい」のが初期の頃の山田監督の特徴でしたね。
でも、私もハナ=山田監督の「一発大必勝」の記事を書いた所でした。
気が合いますね。(笑)
http://blogs.yahoo.co.jp/hi6chan2001/61793380.html
2010/6/7(月) 午後 10:03 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃんさん
そうでしたか、相性抜群ですね(笑)。「一発大必勝」は観ていませんが、ハナ=山田監督では昔観た「馬鹿がタンクがやってくる」も好きですね。
2010/6/7(月) 午後 11:53
山田洋次さんの<バカ三部作>ですか?
これはTBS系のテレビで見た記憶があります。
シラノ・ド・ベルジュラックを模すことは日本人の琴線を誘うんでしょう。
秀作でしょう。泣ける作品というのはこんなん作品を言うのでしょうねえ。。。
2010/6/22(火) 午後 11:08
もすもすさん
笑いと泣くは、紙一重なのでしょうか。笑いがある方が、情緒性に敏感になるような気がします。山田洋次監督は、ある部分以外は、ほんとに紙一重のバランスがいいと思います。
2010/6/23(水) 午後 9:16
この作品、僕は見てなくて評論のみですけれど、ハナの「失明…お涙頂戴」にやや抵抗感を感じて、むしろ見るのを避けている。
でも、「馬鹿はタンクでやってくる」は好きです。
タンク野郎で差別された鬱屈を晴らして、でも最後タンクの轍が池の中に消えていることを発見する差別した住民たち、詩的でした。
山田さんは、ナベプロ出身は起用するものの、上手くうごかすこと出来なかった。「…ハンカチ」で見た”東映的”作品を買います。
野村芳太郎監督で師事して、サスペンスは上手い人。喜劇は寅さんの”メロン事件”が面白かったです。
2010/12/12(日) 午前 0:58 [ moemumu ]
moe*u*uさん
「失明…お涙頂戴」のシーンも笑いに使っているので、そんなにイヤミではないですよ。自分の昔TVでみた「馬鹿はタンクでやってくる」の方が記憶に残っています。頭の弱い弟、村八部にされた兄弟の反骨心。「…ハンカチ」の方がお涙頂戴のような気がして観ていません。”メロン事件”ありましたね♪
2010/12/12(日) 午後 11:07
山田監督は、ナベプロ俳優起用に疑問を感じ、個人的意見ですけれど、「東映」流を徐々に起用し始める。
渥美清さんが、中村錦之助氏の誘い(錦之助は、ルーツは松竹の人)で東映で次郎長ものをやり、瀬川監督の「急行列車」3作(モチ、マドンナは佐久間良子)をやった。これが好評で、松竹に戻った渥美さんに「寅さん」を起用して渥美さんのライフワークともなった。
寅さんの元は東映「急行列車」と思えてなりません。
東映のバタ臭いアクションなら”オレでも出来る”となって、高倉健さんを抜擢起用した「…ハンカチ」になったと思います。
真田広之さんも起用したり、潜在的な東映好み傾向が、この後出てくる。「家族」も撮ったけれど、大船以外路線をこの後模索した、推測ではありますが、大船以外で、一度メガホン撮って欲しいですね。
出来れば、健さん出演して欲しい。
2011/1/7(金) 午前 1:43 [ moemumu ]
moe*u*uさん
なるほど、クレージーには限界を感じていたのかもしれません。東映関係とのつながりは面白い視点ですね。この渥美清は輝いていました。今度「東京物語」を撮るようですが、健さんに出てほしいです。意外性もあっていいのではないでしょうか。
2011/1/7(金) 午後 10:44
山田監督は、「幸せの黄色いハンカチ」あるのですが、この馬鹿…を反省している。高倉健に、ドライブインで「打ち明け話」を切り出させて、ものすごいテンポで夕張ラスト切り出してる。馬鹿…でくどい表現を反省して省略した、ある意味、延長線にある作品です。
山田監督がシナリオ担当した「張り込み」も良い作品です。出だしSLで始まり、時代描写優れている。これエレガントな映画ですよ。
2012/2/14(火) 午前 0:36 [ moemumu ]
moemumuさん
「幸せの黄色いハンカチ」は未見なんですよね〜。たしかに告白シーンはくどい感じがしますが。人情喜劇にはありかなと思って観ていました。「張り込み」も大昔観たきりで、もう一度ちゃんと観ないといけないと思っています。
2012/2/14(火) 午後 8:25