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折鶴お千 2010年6月16日、新文芸坐「巨匠・溝口健二−受難を生きる悲劇の女たち−」にて。 1935年度作品。 監督:溝口健二 原作:泉鏡花『売食鴨南蛮』 脚本:高島達之助 出演:山田五十鈴、夏川大二郎、芳沢一郎、芝田新、鳥井正、藤井源市、北村純一、中野映治 1929年に「日本橋」1933年に「滝の白糸」と、泉鏡花の原作を見事に映画世界によみがえらせた溝口健二が、三たび泉鏡花をとりあげた名作である。原作の題名は『売色鴨南蛮』。神田明神の境内近くにはいかがわしい商売をして暮らす連中がいた。首領は熊沢といい、若い娘お千(山田五十鈴)も熊沢たちの食い物にされていた。熊沢に養われている少年宗吉(夏川大二郎)は、毎日ただ同然にこきつかわれながらもお千に励まされ生きていた。ある日、あまりの仕打ちに耐えかねた宗吉は、お千とともに熊沢のもとから逃げようと決意するが……。前2作が幻想的なタッチであったのに対し、ここではあくまでもリアリズムに徹して秀逸。(eiga.com解説より) いい映画でした。 オープニングが素晴らしい。 風雨激しい電車のホームで一人のダンディな男が神田明神を見つめている。 電車は雨のため、遅れている。 もう一人、男とは離れたホームで、神田明神を見つめている水商売風の女がいる。 これからどういう展開になるのか不思議感に引き込まれる。 ここからの回想シーンが男の回想なのか、女の回想なのかは定かでではない。 ラスト近くで男の回想であることが分かるが。 溝口作品で回想シーンから始まる映画は記憶にない。 珍しいです。 溝口健二監督らしい作品です。 サイレント映画にも関わらず(字幕が入る)、独特の長回しまわしを感じる演出。 お千(山田五十鈴)は溝口健二監督の女の理想像。 男を健気に励まし、医者になるまで体を張って学校の授業料のお金を稼ぐ。 自分のような虐げられた女にはならないように、宗吉(夏川大二郎)に夢を託す。 男と女の関係というより、兄弟や親子の関係に近い。 そして、回想が終わり、遅れていた電車がホームに到着する。 一人の女が体調が悪く、駅員が医者を捜している。 医者になった宗吉(夏川大二郎)は、その顔を見て唖然とする。 十数年ぶりの再会だった。 自分の病院に連れてくるが、お千はもう手遅れだった。 精神的な病気に冒されていた。 なんとも、辛いラストシーン。 ベル(山田五十鈴)さんの虐げられた女、そしてラストの狂気の演技に胸が痛みます。
時間の経過、変わり果てた姿の再会、こういうスト−リーに私は滅法弱いのです。 |

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サウンド版の作品ですね。語りと音楽が映画フィルム自体に録音されている過渡的な作品ですが、DVDにもなっています。DVDではオリジナルの語りと新たな語りの双方で鑑賞できます。
2010/6/20(日) 午後 11:25 [ SL-Mania ]
SL-Maniaさん
すごいですね、おっしゃるように活弁士松田春翠の活弁と音楽が入った活弁トーキー版を映画館で観ました。この時代にあってもすでに溝口健二監督の個性が確立されているように思いました。
2010/6/21(月) 午後 8:52
溝口のサイレントはなかなかスクリーンに乗る機会が少ないですから、これは見てみたいです。
2010/6/22(火) 午前 6:47
溝口のサイレント作品は殆ど失われています。観られるのは「滝の白糸」など数本で、それぞれ欠落があります。
2010/6/22(火) 午前 11:00 [ SL-Mania ]
ヒッチさん
溝口映画の中で、この映画は観たかった映画の1本です。もうすでに溝口監督らしい女の描き方でした。満足です。
2010/6/22(火) 午後 9:22
SL-Maniaさん
実は、この映画の併映は「滝の白糸」でした。ラストが欠落しているようで写真だけで映画は終わりました。こちらは澤登翠さんの生の活弁で、楽しませてもらいました。
2010/6/22(火) 午後 9:27