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2010年9月9日、フィルムセンター「フィルムコレクションに見るNFCの40年」にて。 1939年度作品。 監督:島津保次郎 脚本:島津保次郎 出演:佐分利信、三宅邦子、桑野通子、河村黎吉、坂本武、上原謙、笠智衆、菅井一郎 監督の島津保次郎は「路上の霊魂」に助監督として参加した経歴を持ち、松竹のいわば第二世代の監督といえる。やがて松竹において、大ベテランの総領格的な存在となり、その門下からは五所平之助、豊田四郎、吉村公三郎、木下惠介、中村登などが輩出された。その島津の最高傑作とまでいわれるのが本作品。世渡りとか出世とか手管のことなどまるで考えない生真面目な会社員・敬介とその妻、そして貿易会社の秘書をしている敬介の妹という3人の登場人物が、敬介の会社での人間関係の軋れきの中で見せる三様の行動を活写する。当時、映画界最高のベスト・ドレッサーといわれた桑野通子の美しさにも注目したい。(eiga.com解説より) 解説は大層な内容ですが、自分の感想はちょっと違います。 昭和初期の昔の古き良き時代のゆったりした面影がこの映画に投影されています。 戦争の影はすでにあったかと思いますが、そんな影をあまり感じさせず(ラスト以外)、日本の日常生活の穏やかさに、つい郷愁の思いに浸ってしまいます。 昼のサイレンを聞いて、妻(三宅邦子)が時計の遅れた針を12時に合わせるとか。 妹が「今日は何時にお帰り」とイヤミのように言うと、兄は「それは妻がいうセリフだ」と切り返すおかしさ。 兄(佐分利信)と妹(桑野通子)のちょっとしたユーモアのある口喧嘩は、実は愛情深いものであることが十分伝わります。 妻(三宅邦子)と夫(佐分利信)の間にも信頼と尊敬といたわりが感じられます。 夫が出かけると言うと、妻がお金を財布にさりげなく入れるシーンとか。 妻が風邪をひいていると、廊下の雑巾がけを手伝うとか。その後で、妻がまた雑巾がけをするとか。 日本の古き良き時代だけを懐かしむつもりはないですが、この安心感というか安堵感は自分の歳にも関係して憧れに似たものにマッチするのかもしれません。その時代の大事なものは今の時代にも同じように感じていたいとは思っています。 桑野通子がいいですね。 モダンガール?とでも言うのでしょうか。 粋な帽子をかぶり、まだ女性の多くが着物を着ているのにタイトスカート、派手なマント風のコートを羽織り颯爽と闊歩、社長秘書、英語は堪能、まさに、キャリアウーマン。かっこいいです。 「有りがたうさん」の時より、断然いいです。見直しました。 ラスト、誤解されたため、憤然して会社を辞め、中国に渡るため飛行機に乗りくだりが、戦争の影を感じますが、
それまでの昭和初期のさりげない穏やかな日常生活の描写には、心地よさが残ります。 つい、いい映画だと言ってしまいます。 |

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これはフィルムセンターで観ました。フィルムの状態も良好でした。戦前のサラリーマンの日常を淡々と描いているので、それだけでも貴重な映像です。桑野通子は当時のベストドレッサーだったですね。洋装の颯爽としたところが似合った女優でした。島津監督はこの作品を置き土産に東宝に移籍しますね。弟子の吉村公三郎監督に映画はフレームだと言い残して去ったそうです。
2010/9/13(月) 午前 6:40 [ SL-Mania ]
SL-Maniaさん
おお、観られていたんですね。こんなに古い映画を観ている人に出会えるのは素直にうれしいです♪ごく普通の日常を描いただけの映画なのに、安堵感を覚えるのはどうなんでしょうね。桑野通子はスマートで、かっこいいです。でもちょっと猫背が気になりましたけど。モダンで賢い女性と古きよきたたずまいの女性とストレートな男のやり取りが面白いでした。「映画はフレーム」ですか、いいですね。あっ、そうそう好きなシーンがありました。ハイキングに行った3人、桑野通子が面白いのよと言って、富士山を手のひらにかざすシーンがこの映画の柔らかい雰囲気を表していました。
2010/9/13(月) 午後 9:03
こんばんは
忠実や、お金や仕事、肉親関係には硬いのだけれど
そこらへんをうまく割り切るなんていうかな・・
やっぱり、優しさとか許しがあるストリーでしたよね
こちらからもトラバお願いします♪
2016/9/21(水) 午後 10:20
> ベベさん
会社の人間関係はギクシャクしているのですが、家族のやりとりはとても微笑ましく愛情溢れていて、古き良き時代が強く感じられます。こんな古い映画を観る方がいることがとても素直に嬉しいです。
2016/9/22(木) 午後 11:59
ナイス及びTBさせていただきました。
2016/9/23(金) 午後 6:43 [ SL-Mania ]
> SL-Maniaさん
TBありがとうございました。こんな自由度が高い戦前の映画があったのかと感心しきりです。
2016/9/24(土) 午後 10:51