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日本の青春 2010年9月5日、ラピュタ阿佐ヶ谷「孤高の名優 佐藤慶」にて。 1968年度作品 原作:遠藤周作 脚本:広沢栄 音楽:武満徹 出演:藤田まこと、新珠三千代、黒沢年男、酒井和歌子、佐藤慶、奈良岡朋子、田中邦衛、菊容子、花澤徳衛、橋本功、川口敦子、山本清 遠藤周作の小説『どっこいショ』の映画化。戦争中に上官からリンチを受けて耳が不自由になった男(藤田まこと)。今は特許事務所を開いて平凡に生きている彼が、たまたま元上官(佐藤慶)に再会したことから、心の古傷が甦り……。戦争がトラウマになった者の哀感のドラマ映画。(eiga.com解説より) 戦争中に上官の命令に背き暴力を振るわれ、耳が不自由になった普段さえない中年サラリーマンが、リンチをした元上官と出会う。 元上官は「その時代では当たり前の行為、俺はなんとも思っていない。お前は意気地なしだ、敗残者だ」 強気の元上官に罵倒することもできず、主人公は「あなたは後悔とかしないんですね」と言うだけだった。 元上官(佐藤慶)VS元部下(藤田まこと)の構図は、戦争VS平和、権力者VS小市民、勝ち組と負け組と、色んな視点でこの映画を見ることができる。 元上官は現在も大手企業の工場長を任せられている。 そんな二人に一人の女性(新珠三千代)が絡む。 主人公の下宿先の娘さんだった人。 出兵する前までは主人公と恋愛関係にあった。 しかし、今は優柔不断で、ある時は主人公に付き、ある時は元上官に付く。 たぶん彼女は日本の象徴として存在しているのだと思う。 新珠三千代(日本)が、藤田まこと(平和)に親しくしているようで、実は裏で佐藤慶(戦争)の力強さに惹かれていた。 新珠三千代が「私と一緒に旅に出てくれる?」という問いかけに、藤田まことは「NO」の回答。 悩んで悩んで、自分は逃げることができないと。 死んでいった戦友のためにも、逃げてはいけない、妻や子供を捨てる訳にはいかない、自分には責任がある。 不器用でも、みじめでも、意気地がなくても、家族を守るという藤田まことの心情に自分の気持ちが重なり、心が揺さぶられる。 藤田まことがいい。深刻な話の中にもユーモア溢れる感じがいいです。 佐藤慶もいい。切れ味抜群で揺るぎのない自信に満ち溢れた行動が藤田まことと対極にあり、際立っていた。工場の制服が、あまりにも軍服のようで背筋を伸ばした佐藤慶は、まさに冷酷ではまり役ですね。名優でした。 その2人の子供たちが恋愛関係になる東宝青春コンビ黒沢年男、酒井和歌子もいい。 親と喧嘩しながらも、黒沢年男と酒井和歌子はストレートに感情を表わし、自分たちの世代の考えを模索している。 というより、小林正樹監督の世代の思いで若い人を描いているので、そこには屈折感がない。
それよりも、当時52歳の小林正樹監督が、藤田まことに自分の心情を投影していることは間違いない。 武満徹の抒情性のあるメロディが心地よく残る。 |

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配役と音楽に惹かれます。
タイトルも、変な組み合わせなので、余計に興味が湧きます。
小林監督作品、探してみようと思います。
2010/9/16(木) 午前 0:40
この映画はフィルムセンターでの上映で一度観ました。DVDにもなっておらず、なかなか手軽に観ることができないのが残念です。佐藤慶が陰険な役で登場したのが印象に残ります。
2010/9/16(木) 午前 7:22 [ SL-Mania ]
alfmomさん
中途半端な感想で、すいません。小林監督の戦争に対する思いが伝わってきます。いい映画です。残念ながらSL-ManiaさんがおっしゃるようにDVDにはなっていないみたいです。
2010/9/16(木) 午後 11:15
SL-Maniaさん
佐藤慶の自信に満ち溢れキリっとした立ち姿、切れ味鋭い言い回しは魅力的です。いい俳優さんでした。
2010/9/16(木) 午後 11:18
花沢徳衛がどうも遠藤周作みたいな感じで登場しますね。妻役の奈良岡朋子が色気のない殺伐とした中年女をそれらしく演じていました。主人公がナレーションでため息をつくところなんかはユーモラスではありました。「人間の条件」で美千子役を好演した新珠三千代ですが、ここでは共感できない人物だったというのが私の印象でした。出演者の中で菊容子がいますね。これからという時に変死してしまった女優でした。
2010/9/17(金) 午前 11:05 [ SL-Mania ]
SL-Maniaさん
メガネをした町の発明家ですね。軽妙なナレーションは三島雅夫ですね、この映画の深刻さを救ってます。新珠三千代の優柔不断さはたぶん日本の象徴です。菊容子は妹役です。そうなんですか、まだ若かったでしょうに。
2010/9/17(金) 午後 10:51
菊容子は存命なら今年が還暦です。「好き好き魔女先生」でアイドルになりかけていた矢先でした。別れ話がこじれて同僚の男優に殺害されてしまいました。この名前が出る度に惜しいな、心残りだったろうなと思うのです。映画よりもTVドラマの出演が多かったです。「水戸黄門」や「銭形平次」にも出ています。手許に「泣いてたまるか」という渥美清主演のシリーズのものがあります。
2010/9/18(土) 午後 1:14 [ SL-Mania ]
SL-Maniaさん
菊容子はまったく知らないんですよね。殺人事件だったんですね。この役は高校生でしたけど、ドロドロになるほどの年齢だったんですかかね。TVに結構出てたんですね。う〜ん、知らないなあ〜。
2010/9/18(土) 午後 10:22