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秋津温泉 2010年10月6日、フィルムセンター「映画監督五十年 吉田喜重」にて。 1962年度作品 監督:吉田喜重 原作:藤原審爾 脚本:吉田喜重 撮影:成島東一郎 出演:岡田茉莉子、長門裕之、日高澄子、殿山泰司、吉川満子、東野英治郎 藤原審爾の小説を、岡田茉莉子が企画し、吉田喜重が脚色・監督した作品で、「ろくでなし」での鮮烈デビュー後やや低迷していた吉田の代表作となった。敗戦の直前、岡山県の山奥の温泉“秋津荘”に結核の治療でやって来た河本周作(長門裕之)が、宿の娘新子(岡田茉莉子)の看病で一命をとりとめる。敗戦の知らせを聞いて、涙を流す純情で無邪気な娘に、暗い時代に絶望していた青年は、感動を覚え精神的にも救われた思いをする。その後も、彼は幾年かおきに秋津を訪れるが、年を追うごとに、堕落した俗悪な中年男に変貌していく。女も旅館の経営に行きづまり、時の流れを受け入れられずついには心中を図るが……。(eiga.com解説より) ほとんどネタバレしています。 岡田茉莉子27歳にして、映画出演100本記念作品として自らが企画した作品。 「ろくでなし」の脚本を読んで今まで出演した映画にはない新しい感覚にびっくりした彼女が別の撮影のため出演が叶わず、その記憶から吉田喜重監督を指名したと自らコメントされていた。 岡田茉莉子が素晴らしい。 ケラケラ笑う気性の激しい少女時代から静かな大人の女へと移り変わっていく様が素晴らしい。 まさに岡田茉莉子のための映画であり、岡田茉莉子が17歳から34歳までの女の一生を演じる。 終戦日、結核にかかった男(長門裕之)を温泉“秋津荘”の娘・新子(岡田茉莉子)は看病し、彼は生きることができた。 死にたいと漏らしていた河本周作が新子(岡田茉莉子)のお陰で「生きたい」と思うようになった。 生活に疲れた時、嫌なことがある時だけ、周作は、秋津荘にやってくる。 周作は成り行きで結婚をして、子供も一人できる。 小説家の真似ごとをして、作家の義兄が賞を取ると、僻み妬みを言うだけで、努力もしないので夫婦喧嘩が絶えない。 そんな周作になっても、彼が来たことと分かると、嬉しそうに新子は走って帰る。 山道を走り、川を渡り、雪の中、裸足になって秋津荘に戻る。 新子の走る動きを仰ぎ見るような、流れるように撮る切り取り方が、新子のはやる気持ちが感じ取れて素晴らしい。 山に雪積もる季節、春の桜といった季節の移り変わる風景とともに、年月も過ぎていくことを知る。 東京に出ること、別れを告げに周作は秋津荘に来た。 「これで生きていける」と新子は言う。 東京に出た周作も41歳になり、デパートの女を口説いている。 緊張感のない惰性の日々。 ある理由で、周作は秋津荘に来た。 新子の母親も死に、秋津荘も手放すことになり、無感情な表情をして一人で暮らしている。 新子は、「一緒に死んでくれ」と哀願する。 周作は「昔は若気のいたりでそう思ったが、今は死ぬなんてことは考えらえない」と。 周作と山道で別れてから、新子は手首を切り、川辺で倒れた。 周作が抱き起したが、もう既に息絶えていた。周作が号泣する。 単純に男と女のドラマとは思えない。 彼女は何故死のうとしたのか、孤独に耐えられなかったからなのか。 終戦日からドラマが始まることも気になる。 新子が手首を切った後、川辺で川を見た瞬間、光が放ちカッと目を見開いて倒れたのは何故。 疑問点が色々残る。 世の中に順応して柔軟に変わってしまい戦争を忘れ去ってしまった男と、戦争の敗北と戦争を忘れず戦後を生きたいと思う一途な気持ちを守ろうとする女。 守りきれないと覚悟した時に女は自殺するしか方法は残されていない。 はたしてそんなことを2人の17年に託したのか、う〜ん、よく分からない。 カッと目を見開いて倒れたのは、もしかしたら原爆の光の象徴でしょうか。 私の疑問点があった分だけ、男と女の情念が薄まってしまったように感じた。
でも、冒頭の感想どおり、エキゾチックな岡田茉莉子が素晴らしい。 ダメ男の長門裕之もいいですね。 |

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『秋津温泉』の桜と岡田茉莉子はええなぁ。はい。で、岡田茉莉子は虎ファンやし・・・ん?真弓のファンやんけ!^^;
2010/10/17(日) 午後 9:31
この映画は二度ほどスクリーンで観ました。最初は褪色していて赤っぽい画面でコマ飛びはあるし、ひどい状態でした。再度観た時はニュープリントで色も良かったです。モデルは岡山北部の奥津温泉らしいですね。またヒロインの相手役は当初芥川比呂志だったのですが、病気のために長門に交替したそうです。プロデューサーでもあった岡田茉莉子はそれを伝えるのが辛かったそうです。このドラマは男の時流に流されてゆく弱さと女の時流に逆らいつつ朽ちる弱さを描いたものではないでしょうか。
2010/10/17(日) 午後 10:11 [ SL-Mania ]
低人さん
この映画の岡田茉莉子がいいですね〜。若い頃と大人の女を両方持ちあわせた時期、エキゾチック岡田が素晴らしいです。おおそういえば寅キチやったね。真弓のファンは知らんかったです。彼女も悔しがっているでしょうね
2010/10/18(月) 午後 8:14
SL-Maniaさん
そうなんですか、裏話お詳しいですね。知的な芥川比呂志より長門裕之でよかったのでは。ダメ男ぶりはなかなかよかったです。どうも岡田茉莉子がカッと目を見開いて倒れるシーンが気になってしようがありません。考えすぎでしょうか。戦後の日本をどこか象徴しているような。
2010/10/18(月) 午後 8:26
これは観ようと思っている作品です。吉田・岡田コンビの「煉獄エロイカ」も好きな作品でした。
2010/10/20(水) 午後 3:19 [ あきりん ]
あきりんさん
どうか是非とも♪ 素晴らしい映画です。「煉獄エロイカ」は未見です。今週「女のみづうみ」を観ようと思っています。
2010/10/20(水) 午後 10:50
初めまして
昔の邦画が大好きです
この映画は母の実家のある奥津温泉ですが今だに岡山へ行くと
親戚からこの映画の話が出ます
撮影で泊まってたという
河鹿園という素敵な旅館には
当時の写真や岡田さんの色紙も飾られていています
岡田さんはその後も何度か河鹿園に泊りに来られたり
年賀状も毎年の様に届いてるそうでした
ご主人との思い出の場所でもあったそうです
残念ながら河鹿園は数年前に閉館
毎年楽しみにしていた温泉だったので残念です
映画もDVD持ってるので何度か観てます
20歳ぐらいにビデオで観た時とは
印象も感想も変わってしまいましたが
本当に岡田茉莉子さんと景色の美しい映画ですね
2015/3/5(木) 午前 10:59 [ hamami ]
hamamiさん
はじめまして、コメントありがとうございます♪
撮影は河鹿園という旅館だったのですね、惜しまれての閉館だったことでしょうね。当時の写真とか色紙とか映画の思い出は大切に語り継がれることでしょう。身近に接した映画はとても愛着がありますよね。この映画は岡田茉莉子さんの代表作だと思いますね。若くて一番輝いていた頃でしょうね。
2015/3/7(土) 午後 11:28