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2010年10月16日、フィルムセンター「映画監督五十年 吉田喜重」にて。 1963年度作品 監督:吉田喜重 脚本:吉田喜重 出演:早川保、香山美子、松井英二、岩本武司、木戸昇、西村勝吉、新治俊夫、殿山泰司、浦辺粂子 日本の高度成長下の底辺で働く社外工の青年たちの姿を、吉田喜重が従来の労働者映画への批判をこめて描いた作品。瀬戸内海に面したK市の造船所の下請けで働く社外工の島崎(早川保)は、タコ師(労働者の手配師)(芦屋雁之助)が集めてきた新入りの社外工18人の僚監になる。彼らはいずれも札つきの連中ばかりで、花札バクチをやる奴、ケンカをする奴と、島崎はことごとく手を焼く。夏季闘争のシーズンがやってくると、組合員でない社外工には稼ぎ時だ。懐の暖かくなった島崎と18人は夏祭りに出かけるが、仲間の一人が島崎の恋人(香山美子)を暴行する。そして……。(eiga.com解説より) 解説にあるような「労働者映画への批判をこめて描いた作品」というのとは、ちょっと違う印象を持った。 青春映画だと思う。 感情移入しないというか、させないように仕組んだ映画にも見えます。 社外工の18人の青年たちが、仲間同士で喧嘩をしたり、町のチンピラと喧嘩をしたり、その相手に復讐したり、一人が島崎の恋人を暴行するといった凶暴な若者たちの行動や気持ちに片寄りせず、無軌道な青春をあるがまま、淡々とドキュメンタリー風に描いている。 だから、雇用主への反発や批判のようなものもなく、タコ師のおっちゃんにもビールを奢らせる強かさも持ち合わせている。 僚監の島崎(早川保)の存在の位置関係がよくわからない。 最初、18人を馬鹿にしていたが、少しづつ彼らに世話をやく。 愛情めいたものを感じることになる。彼らも島崎(早川保)に好意を抱くようになる。 島崎(早川保)の結婚式にも、子供に誘われ、顔を出す。 ごく、自然に振る舞いながらも、彼らの感情はあまり見せないようにしている。 呉の街から今度は九州に仕事に行く。 高校のブラスバンドからの送別の演奏に見送られながら。 センチメンタルな別れにしない吉田喜重監督のセンスを買う。 機関車の旅立ちの俯瞰ショットが印象的。 吉田喜重監督はお涙頂戴の映画にせず、権力への反抗でもない、ごく自然な若者たちの行動を映し取るような独特の視点を持った映画でした。 映画が終わって、蓮實重彦氏(映画評論家)の解説があった。 路面電車・市電を使って映画を撮るか撮らないかで監督は二分されるという面白いテーマ。 運動体として人物の周りの景色が刻刻と変化していくダイナミズム。 そのことにあえて意識して、路面電車・市電を使う監督がいる。 古くは、ムルナウの「サンライズ」。 妻を殺害しようと湖に誘うが、察知され路面電車に乗り込み、やがて町へとたどり着くという映画らしい。 この映画を観ていないと映画ファンではもぐりだと言っていた。 悔しい、未見です。 日本映画では成瀬巳喜男が素晴らしいと。 「鶴八鶴次郎」で、路面電車の中で2人が喧嘩するシーンが見事だと。 観たはずだが、記憶にない。悔しい。 「嵐を呼ぶ十八人」でも一人の若者が復讐する場所が呉の路面電車の中。 窓から見える外の景色が変化して面白い。 ナイフをかざして相手のチンピラに斬りかかる。 ナイフを持った手をチンピラが掴み路面電車の窓から出すシーンで次のカットへ。 チンピラを刺すシーンはなし。 省略の見事さ。 「さらば夏の光」でもヨーロッパの路面電車の中を撮影していた。
もう1本、洋画で使われた路面電車の美しさを説明されていた。 今まで気にしたことがなかったが、なかなか面白い視点でした。 |

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吉田喜重監督というと「甘い夜の果て」「秋津温泉」「戒厳令」くらいしか観ていません。「戒厳令」は近所のレンタルDVDで観て難解な映画という印象でした。前の二つはまだ松竹時代のものでいくらかわかりはいいのですが。NHKで小津監督に関するこの監督の思いを綴った映像を観ました。喋っているいる内容の言い回しがたいへん難しかった印象でした。小津監督に噛み付いた人だったですね。
2010/10/23(土) 午前 9:54 [ SL-Mania ]
SL-Maniaさん
私もこの映画と「秋津温泉」と「女のみづうみ」だけです。難解な映画が多いと聞いていましたが、70年以降の映画なんでしょうね。小津監督とは宴会の席で批判したという噂は聞いています。でも、小津監督の評論を書いていますね。
2010/10/23(土) 午後 10:53
吉田監督は松竹時代の映画が面白い、独立後はどうも、と言う感じなのですが、、、、
2010/10/26(火) 午後 1:27 [ koukou ]
koukouさん
「秋津温泉」「嵐を呼ぶ十八人」「女のみづうみ」の3本しか観ていないので、なんとも言えませんが。。。でも、独立後の「女のみづうみ」は明らかに抽象的になっていますね。
2010/10/26(火) 午後 11:32
4ヶ月近く遅れて、このブログ発見
当日、フィルムセンターで、この映画を見ていました・・
本当に懐かしい風景が、生まれ育った町ですからね
映画では直ぐ近くにあるような描き方をされている
場所は、ちょっと離れてるよなーと思ったり
あの、カマボコ兵舎も長く存在していましたが、
映画で出た繁華街も一部、往時の雰囲気を残して
いまも一部残っていますが(つまり進歩が止まった?)
映画的には、やや難解・・退屈な印象でした
2011/2/19(土) 午後 3:52 [ 太秦 ]
太秦さん
はじめまして、コメントありがとうございます♪
そうなんですか、嬉しいですね、同じ時間を共有できて♪ もしかして、呉市?ですか。カマボコ兵舎は地元では有名だったんですか。でも、こうして生まれた町の風景が、映画の中でも実際の町の中にも残っているって、いいですね〜。
2011/2/19(土) 午後 11:20
シーラカンスさん、ありがとうございます
あのカマボコ兵舎は昭和が終わる時代近くまで現存していたかと、
(今は当地に住んでいませんので、消えた年代は判りません)、
昭和40年代、この近所に住んでいる友人の家に遊びに行き、まだ、こんな戦後直後の進駐軍が作ったような建物が残っているのかと驚いた記憶があります。
映画で使用されたことは、この映画で初めて知りました
映画のために何処かから移築したのか?、あとになって監督に
聞けばよかったと思いましたが
これから、気が向いたら投稿するかもしれません、よろしく。
2011/2/20(日) 午前 10:30 [ 太秦 ]
太秦さん
その後40年間も現存していたんですね。懐かしい思い出が映画で使われていたなんて、感激されたお気持ちわかります。
稚拙な文章ばかりですが、またお暇な時に寄ってみてください。
よろしく、です♪
2011/2/20(日) 午後 7:15