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ユリシーズの瞳 2010年10月3日、早稲田松竹にて。 1995年度作品 監督:テオ・アンゲロプロス 脚本:テオ・アンゲロプロス 出演:ハーベイ・カイテル、マヤ・モルゲンステルン、エルランド・ヨセフソン、エバ・コタマニドゥ アメリカの映画監督Aが、故郷ギリシャから戦火のサラエヴォへ、バルカン半島最初の映画であるマナキス兄弟の幻のフィルムを探して旅する物語。時空を超えた1カットの中で、現在のサラエヴォ、自分の幼少時代の思い出、マナキス兄弟の記憶の中の数々の戦争をくぐり抜けながら、解体されたレーニン像とともにドナウ河を下る映画監督をハーヴェイ・カイテルが体現。何も見えない真っ白な霧の中で響く銃声をかいくぐり、最後に彼がスクリーンに見た幻のフィルムとは……。(eiga.com解説より) この映画を自分はどれだけ理解できただろうか。 悩むところです。 分からないところが多すぎるんですが、好きな映画です。 矛盾していても、気に入っています。 自分勝手な感想ですので、ご了承を。 予想がつかない長回しの映像に力がある。 だから長時間(177分)であっても、観ていて緊張感を維持できる。 ネタバレあります。 ユリシーズということばは、古代ギリシアの英雄オデュッセウスの恋と旅の冒険談のようです。 主人公は幻のフィルムを捜して、各国に旅に出ます。 その意味でのタイトルでしょうか。 アメリカの映画監督主人公(ハーヴェイ・カイテル)は、回顧上映でデモにあいます。 別れた恋人が幻想で登場します。必ず帰ってくるからと。 主人公(ハーヴェイ・カイテル)は、ある駅で捕まります。 マナキス兄弟が政府から抑圧されて、駅で捕まえられる妄想がダブっています。 主人公(ハーヴェイ・カイテル)の家族のパーティのシーンがあります。 主人公(ハーヴェイ・カイテル)は大人のままです。 家族はもう死んでいるはずなのです。 主人公の父親が国家から反抗分子として逮捕されます。 母親が主人公を呼びます。子供の主人公に変わります。 主人公の少年時代の過去の妄想です。 アルバニア、マケドニア、ブルガリアへと旅は続きます。 巨大なレーニン像が横たわった船に乗って川を走ります。 ある村で、戦争で夫を亡くした女に泊めてもらいます。 主人公に夫の軍服を着せます。 悲しみを忘れるかのように彼女は主人公の体を抱きよせます。 2人は抱き合います。 主人公は必ず帰ってくるからと旅たちます。 戦火のサラエボでは、水を汲んでは走ります。走ります。 この町で、映画博物館の館長から幻のフィルムを現像してもらいます。 霧の日、館長の妻と子供たちの家族と主人公は、町で音楽家の演奏を聞きに行きます。 霧の日は、戦闘がない穏やかな日だからです。 しかし、主人公の前を歩いていた館長の家族が敵の兵士に尋問されます。 霧の中、会話だけが流れます。 いきなり、銃声が何発も聞こえます。 主人公が走りよる足音だけが響きます。 ラスト、主人公は、涙を流しながら、幻のフィルムを観ています。 戻ってくるよ、そして君を抱きしめたいと呟く。 テオ・アンゲロプロスは過去2本しか観ていないが、冷静などちらかというと客観的な映画作りだった。
しかし、このシーンは珍しく感傷的なシーンです。 思わず涙が溢れました。 戦争の悲劇、虚しさを霧の中だけの音だけで表わす素晴らしいシーンだと思います。 過去、そしてこの映画の製作当時のサラエボに至るまで、争いごとが絶えないことを嘆いているように思えるのです。 時代が変わっても、戦争が無くならないのが哀しい。 旅の結末は、愛を乞う主人公の涙でした。 |

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アンゲロプロス作品、私はDVD-BOXシリーズを全部揃えてしまったほどに気に入っています。
だからといって、どこまで内容について理解出来ているのかは自信が持てませんが…それでもアンゲロプロスの映像表現能力には毎度驚かされます!
私も霧の中での悲劇や主人公の回想シーンなどは非常に印象に残っています。
この作品もかなり好きですが、アンゲロプロス作品、秀作オンリーで凄すぎます…!
TBさせてください
2010/11/17(水) 午後 9:51
Mijahさん
す、すごい! DVD-BOXシリーズすべて揃えたんですか。難しいけど好きという感じ、よくわかります。アンゲロプロスの映像の力はすごいです。ただ長いシーンではないちゃんと深い気持ちを映像に託しているように思います。
2010/11/18(木) 午後 11:23