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黒い画集 あるサラリーマンの証言 2010年11月10日、新文芸坐『稀代の「演技者」追悼 小林桂樹』にて。 1960年度作品 監督:森谷司郎 原作:松本清張 脚本:橋本忍 出演:小林桂樹、原知佐子、織田政雄、中北千枝子、西村晃、江原達怡、中村伸郎、菅井きん、小池朝雄、平田昭彦、三津田健、児玉清、中丸忠雄 松本清張の原作を橋本忍脚色、堀川弘通監督で映画化した社会派推理映画の秀作。某社の課長・石野(小林桂樹)、部下の女性(原知佐子)との情事の帰り道に知人・杉山(織田政雄)に会う。数日後杉山は、殺人事件の容疑者になり、アリバイ立証のために石野に証言を求めるが、石野は自分の地位や家庭を守るために証言を拒否する。(杉山と会っていないと言う) 杉山は逮捕され石野は愛人との仲を清算しようとするが……。日本の社会生活に密着し、なおかつミステリーとしての面白さも兼ね備えた松本清張の原作は、映画化にはもってこい。「張り込み」を筆頭に数多くの傑作が生まれているが、この作品は一連の松本清張のもののなかでは、特にエンターテインメント的な面白さを持った作品。この作品の成功により“黒い画集”シリーズが連作される。(eiga.com解説より) 子供の頃に、TVで観た記憶がかすかにある。 一つのウソが、どんどん悪い方に追い詰められていく様が、ほんとに怖かった。 やっぱり、ウソをついてはいけないと、子供心に真剣に思った記憶がある。 あれから、数十年、おっさんになって、また観ました。 さすがに、ウソをついてはいけないと、単純には思えなかった。 誰にも人には言えない隠しごとがあると思う。 そんな秘め事が発覚するとしたら、自分はどうするだろうかと。 なかなか厳しいところを突いてくるよな〜、松本清張さんは。 今回は大人として冷静に落ち着いてみることができました。 主人公石野(小林桂樹)は近所の杉山(織田政雄)に会ったことを、「ない」と言う。 愛人の家に行った帰りだったからだ。 そのことがばれると、自分の社会的な信用が失墜する。妻からも非難される。 保身のためのウソ。その日は映画を観ていたと言った。 杉山は、殺人事件の容疑者になり、石野(小林桂樹)に会ったことが立証できれば、アリバイがあり無罪となるのだ。 そして、石野(小林桂樹)は、映画を観ていたことを、「真実」にするために、映画のストーリーを学習し、裁判所での証言の傾向と対策を練るのだった。 このシーンが、真剣で馬鹿馬鹿しく面白かったです。橋本忍の脚本のような気がします。原作にあったらごめんなさい。 運悪く、今度は自分が殺人の容疑者に。 ブラックユーモアですね。 アリバイは一人で映画を観ていたこと。 「あなたはいつも映画を見ていますね」「誰か証明する第3者がいますか」 今度は本当に映画を観ていたのです。前はウソだったんです。 不倫していた女性が証明できます。 涙ながらに哀願する小林桂樹の形相はすごいです。 裁判所で映画を観ていたと淡々と証言した小林桂樹の表情とはまったく異なります。 人間とは、我儘で自分本位だということを小林桂樹の演技を見て、ふと思いましたね。 自業自得、良心、不運、あわれ、色んなことを思いめぐらせながら、果たして、自分だったら、どうしただろうかと考える。
織田政雄が重要な容疑者(杉山)で熱演。 特に、裁判所で石野(小林桂樹)が会っていないと言った時の、「何故ウソをつくんです」と悲壮な小市民の目線の発言が印象深いです。 中北千枝子も石野(小林桂樹)の奥さん役で、「ほんとは杉山さんと会っているんじゃない」と女性の鋭いセリフを吐きまくっていた。 中村伸郎も石野(小林桂樹)の会社の部長で、いかにも重役のいやらしさを醸し出していた。 |

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今度大和で社会派映画ばかりを集めた「大和文芸映画祭」があるのですが、
そこでこの作品も上映されることになっています。
そういうわけで記事を拝見させていただきましたが、とても参考になりました。
2010/11/17(水) 午前 0:29 [ 鉄平ちゃん ]
そちらでも、追悼特集ですね。こちら大阪ではシネ・ヌーヴォで追悼特集が始まりましたので、未見の作品を中心に何本か見てみようと思います。
2010/11/17(水) 午前 6:09
この映画のDVDは手許にあるのですが、スクリーンでも先月観ました。若い時は何度も観ていますが、シナリオがカッチリしているので見応えがあります。やはり映画はシナリオが大切であるということを認識させる作品ですね。
2010/11/17(水) 午前 7:19 [ SL-Mania ]
鉄平ちゃんさん
神奈川県なんですね。よくできたお話ですね。原作は読んでいないんですが、自分が容疑者になる設定は見事です。「飢餓海峡」も上映するんですね。鎮魂の映画ですね。
2010/11/18(木) 午前 0:03
ヒッチさん
そうなんですか。今回は小林桂樹追悼でも、サスペンスもの3本「白と黒」「首」「黒い画集」を観ました。橋本忍オリジナルの「白と黒」が好きですね。
2010/11/18(木) 午前 0:08
SL-maniaさん
映画の構成が見事ですね。
ふとした出会いから、追い詰められていくさま、今度は自分が容疑者になるブラックな展開、やっぱり橋本忍の素晴らしさを実感します。堀川弘通監督には申し訳ないですが。
2010/11/18(木) 午前 0:24
この映画の特徴はタイトル部分がタイプライターで打たれるところ。音楽は一切沈黙したままです。ドライな感じを出そうしたのでしょうか。当時の批評は必ずしも中味と噛みあっていないという指摘があったみたいです。音楽は池野成です。伊福部昭の門下の人で、どちらかというと重厚な音楽を書く人でした。「白い巨塔」の音楽はその典型ですが、ここではバロック風のギター曲で通していますね。冒頭の東宝マークのところだけジャズバンドの演奏みたいな音楽が入りますが。
2010/11/19(金) 午前 11:20 [ SL-Mania ]
SL-Maniaさん
タイトルは確かに映画とあんまり関係なかったですね。伊福部昭さんは暗く重いメロディが多く自分はちょっと苦手で。。。
2010/11/20(土) 午前 8:28