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東京物語 2010年12月24日、神保町シアター、「小津安二郎の世界」にて3回目?鑑賞。 1953年度作品 監督:小津安二郎 脚本:野田高梧、小津安二郎 出演:笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子、山村聰、三宅邦子、香川京子、大坂志郎、中村伸郎、十朱久雄、東野英治郎、高橋とよ 日本映画を代表する傑作の1本。巨匠・小津安二郎監督が、戦後変わりつつある家族の関係をテーマに人間の生と死までをも見つめた深淵なドラマ。故郷の尾道から20年ぶりに東京へ出てきた老夫婦(笠智衆、東山千栄子)。成人した子どもたち(杉村春子、山村聰、大坂志郎)の家を訪ねるが、みなそれぞれの生活に精一杯だった。唯一、戦死した次男の未亡人だけが皮肉にも優しい心遣いを示すのだった……。いまでは失われつつある思いやりや慎ましさといった“日本のこころ”とでもいうべきものを原節子が体現している。家でひとり侘しくたたずむ笠智衆を捉えたショットは映画史上に残る名ラスト・シーンのひとつ。(allcinema解説より) こんなに有名な映画の感想は、どうも書きづらい。 老夫婦(笠智衆、東山千栄子)は、尾道から東京に出てきて子供たちの家を訪ねる。 子供たちにもわがままを言わず、ささやかな幸せに喜ぶ。 日本人であることの原風景のようなつつましやかな生き方。 昔、80を過ぎた私のお爺さんとお婆さんが家に遊びにきて、その姿を見て涙が出そうになったことを思い出した。 同じように、この映画の二人の老夫婦を見ていると、何故か涙が出てきます。 若い頃に観た時よりも、ずっと静かで深い機微に触れるのです。 自分にも子供ができ、親の気持ちも子供の気持ちもわかる歳になった。 子供たち(杉村春子、山村聰、大坂志郎)も決して悪い子供たちではないのです。 原節子が非難する香川京子にいうセリフ。 「仕方がないのよ。お姉さん(杉村春子)も自分たちの生活が大事になるのよ」 死者に対する思いやりではなく、残され老いた父親(笠智衆)に対して優しさが足りないことに気づくのは、次男の嫁だけだった。 医者の息子が「お母さんは明日の朝まで持つかどうか」という話に、笠智衆の「そうか、いけんのか」の一言にも涙してしまう。 大袈裟なセリフでもなく、嘆き喚く訳でもないただ一言のセリフに深い悲しみを見ることができます。 「子供にあまり期待しすぎてはいけない」というセリフも、慎ましい。 さて自分の親はどう思っていたのだろうかと考える反面、自分の子供に対して期待する気持ちもあり複雑だ。 小津監督の過去の映画「一人息子」「戸田家の兄妹」の激しく非難する描写をそぎ落とし、さらに練り直した完成度の高い映画です。 日本だけでなく、世界でも評価され、親子、夫婦、家族といったテーマは世界共通であり、時代がかわろうとも普遍的なものでしょう。 もう一度、観たくなる映画です。
自分にとっても、やはり名作です。 |

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)原節子が非難する香川京子にいうセリフ。
ワンカットくらいですが、実際には小津監督は、何度も取り直しをお2人に命じ、この映画で一番手間がかかったそうです。
熱海の海岸で、笠智衆が立ち上がり、東山千栄子がなかなか立てない、死期が近づいていることを示すカット、笠と東山の背中丸める角度を同じにして、言葉以外で「良い夫婦」であることを示すシーン、悲しい知らせは電報で打電する。(当時の電報は、訃報につながる意味があった。)笠智衆が一人ぽっちになった最後のカットでは、最初東山が生きていたときのカットと同じにして、東山だけいない。
さりげなく、残酷で悲しいラスト。
「東京」を、”あっち””こっち”と必ず代名詞で表現し、血縁関係者以外の者(原節子)が東京では田舎の家族の理解者なのだ、って悲しいけれど、今でも東京という都市の表現にピッタリですね。
2011/1/5(水) 午前 1:11 [ moemumu ]
この映画の持つテーマには普遍性がありますから、時を超え、国を超え、愛され続けているのだと思います。年齢を重ねるといっそう分かることがある。そういった部分に共感いたしました。
2011/1/5(水) 午前 6:00
小津作品の中でNo.1ですね!
映画が他の芸術に誇れる人類の文化遺産だと思います。
記事があるのでTBします
2011/1/5(水) 午後 5:50 [ 8 1/2 ]
父がまだ元気だった10年余り前に見た時と、
先月見た印象とは違いがありました。
「東京物語」は私が初めて小津監督を知った作品です。
それまで持っていた映画のイメージを大きく揺るがす衝撃がありました。
「こんなに淡々と日々の暮らしが流れて行き、家族の会話が交わされるだけ」…
しかしその言葉の一つ一つがとても自然で共感できるのです。
美しい場面の数々。原節子のアパートに一泊した東山千栄子が彼女と過ごした時間と交わした言葉がとても印象に残っています。
今回の鑑賞では、私は「出来事」の展開を見るのではなく、登場人物たちの心情が画面に流れ出していくのを「見ていた」のだと思いました。
こんなに美しい流れを持った映画を私は初めて見ました。
2011/1/5(水) 午後 6:18
moe*u*uさん
重要なシーンですね、子供たちを単なる悪者のイメージから救うセリフですね。誰も悪くないことにすることで映画の広がり、寛容さを感じました。小津監督独特の相似形のやさしさですね。相似形ができなくなったことで観る側にちょっとした違和感を与えているのでしょうか。
2011/1/5(水) 午後 10:32
ヒッチさん
深い映画です。何度も観たくなる。若い頃に見えなかったものが見えることが時々あります。この映画もそんな映画でした。深くて静かな映画です。
2011/1/5(水) 午後 11:17
8 1/2さん
ナイスなコメントですね♪ この映画も国宝級ですね♪
2011/1/5(水) 午後 11:34
alfmomさん
つつましい老夫婦の子供を思いやるセリフ、一人になった笠智衆の喪失感、孤独感が静かに流れて観る側に伝わってきます。美しすぎます。奥深い映画です。
2011/1/6(木) 午前 0:02
私も親をおくってしまった年齢になって見えてくるものがありました。若い頃には思わなかったけれども、今観ると、確かに名作です。
TBさせて下さい。
2011/4/25(月) 午前 0:21 [ あきりん ]
あきりんさん
今まで生きてきて見えてきたものがあることが嬉しいです。
無駄なセリフをそぎ落として、普通の会話の「ことば」がなんて素晴らしい響き。尾道弁の「ありがと」が慎ましい。
2011/4/25(月) 午後 10:12
こんにちは。
いやー!シーラカンスさんは、凄いですね。
小津映画は、ほとんど見ていらっしゃる。恐れ入りました。
私は、この映画は5-6回は見ています。
一応、TBしますので、ご批判いただきたいと思います。
2012/4/12(木) 午前 8:01
ギャラさん
結構、監督にはまるタチで、これだけ観ると色々と傾向が見えて、面白いです。この映画はスルメのように観る度に年齢のこともあり、違う面が見えてきますね。ご批判なんておこがましいです。
2012/4/13(金) 午後 11:32