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暗殺の森
2010年12月25日、シアター・イメージフォーラム「映画の國名作選 I イタリア編」にて。
1970年度作品

監督:ベルナルド・ベルトルッチ
脚本:ベルナルド・ベルトルッチ
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、ドミニク・サンダ、ステファニア・サンドレッリ、ピエール・クレマンティ、イヴォンヌ・サンソン

原題の「Il Conformista」は体制順応主義者の意。時は、ファシスト支配下のローマとパリ。若き哲学講師マルチェロは、13歳のとき、同性愛者に犯されそうになり彼を射殺してしまう。このトラウマから逃れるためにファシストとなったマルチェロは、ある日反ファシストであり、マルチェロの学生時代の恩師でもあるクアドリ教授暗殺の指令を受ける。久しぶりに教授に会ったマルチェロだったが、教授の若い妻アンナの美しさに徐々に惹かれ・・・。(amazon解説より)

昔からこの映画を観たいと思っていた。
理由は単純で、ドミニク・サンダのファンだったから。
昔、映画館で観た「1900年」に惹き込まれた。
薄い唇、知的な表情、謎の女、大人の女性、なんと魅力的な女性なんだろう、と。

それから、数十年。
ようやく、この映画を観ることができた。

第二次世界大戦中のイタリア、ムッソリーニのファシズム時代、なかなか自分には理解しにくい。
原題は「体制順応主義者」というらしい。難しいことば。

ネタバレあります。
主人公(ジャン=ルイ・トランティニャン)は子供の時に男色の男から遊ばれ、その男の拳銃で殺してくれという願いをかなえて、その場を逃げだした。
そのトラウマを今でも負っている。
ファシストになった。
父親は精神病院に入院している。
母親は運転手とねんごろにやっている。
彼は、自分も含めて家族が異常だと思い、「正常」であることを願っている。
結婚する相手は、ごく普通の家庭の女性(ステファニア・サンドレッリ)。
新婚旅行に行くフランスで、反ファシストの教授(ピエール・クレマンティ)を暗殺する指令を受ける。
そこで、教授の妻(ドミニク・サンダ)に会い、魅了される。(私も魅了されました(笑))
お互いに惹きあう2人。
ステファニア・サンドレッリとドミニク・サンダが踊るタンゴが研ぎ澄まされ、怖くて美しい。

主人公は、教授が車で旅立つところを襲おうとするが、その前に反ファシストのメンバーが教授を殺した。
逃げ惑うドミニク・サンダ。
車のウインドウガラスをたたくドミニク・サンダ。
車の中で見知らぬ顔のまま、主人公は見捨てる。
白い雪が積もる森の中を、走るドミニク・サンダを揺れるカメラが追いかける。
銃声が響き、血まみれになりながら崩れるように倒れる。

それから過ぎ日が経ち、主人公に子供もできたある日。
ムッソリーニの失脚のニュースが流れる。
同じファシスト仲間と町に出るが、喜ぶ民衆の行進。
その時、少年のあのおぞましい記憶が蘇った。
男色家の男がそこにいた。
生きていたのだ。幻想か。

主人公は狂ったように叫ぶ。 「この男が教授を殺したんだ」
男色家の男を殺した悩みで、正常でありたいために、その時代に応じるためにファシストになったのに、その男が生きていたことで、自分の人生はなんだったのだと言わんばかり。
そして、隣にいたファシストの仲間を「こいつはファシストだ」と叫ぶ。
薄笑いを浮かべた主人公があわれで哀しい。

冷酷、卑怯、狂気、裏切り、弱さ、諦め、哀しさ、あわれ。
乾いた、冷たい映像が印象的。
ラストの主人公の魂のぬけたけだるい表情も印象に残る。
何故か、惹きこまれるのです。また観たい。

謎めいたドミニク・サンダが、とにかく美しい。

追記
よく考えると、やっぱり男色家の男を見たのは幻想ですね。
ファシストの主人公が、自分はこれから生きていけなくなるという弱さから出た妄想ではないかと思います。本当は弱いやつなんです。ちっちゃいやつなんです。そんな主人公に自分と照らして何故か共感してしまうのです。

閉じる コメント(24)

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ポニーさん
いいですね〜。観たばかりですが、もう一度観たいです。あまり見かけませんね。渋谷のツタヤにはVHSがあったような。ネットレンタルにはないようですね。

2011/1/9(日) 午後 2:31 シーラカンス

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ぴんじょんさん
シャープな映像がいいですよ♪ 「1900年」もよかったですね。この映画ももう一度みたいです。両方ともDVDは発売されているんですが、ツタヤもゲオも残念ながら、置いてないようです。

2011/1/9(日) 午後 2:41 シーラカンス

ワタシもサンドレッリがお気に入りなんですよ
あのダンスシーンは何度観ても 釘付けになっちゃいます
TB返しさせていただきま〜す

2011/1/11(火) 午後 8:28 ジュリアン

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ジュリアンさん
おお、あなたもサンドレッリファンですか♪ サンドレッリファンは多いですね。ドミニク・サンダ派は少ないのかな。それにしてもこの映画はお酒のように後から効いてきますね♪

2011/1/12(水) 午前 0:05 シーラカンス

僕も中学のときからドミニク・サンダのファンでした。
映画雑誌をよく切り抜いてファイリングしてましたよ。
今作でも悲しげで甘く切ない魅力がありましたね。
「1900年」は製作されてからかなり遅れて公開されたんですよね。
新宿の劇場で観た記憶が・・?!
TBさせていただきます。

2011/1/12(水) 午後 6:26 papillon

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Papillonさん
コメントありがとうござます♪ 返事が遅れてすいません。
年季いりのファンですね〜♪ いいですよ。この映画も「1900年」も。年代近い映画好きの人はマニアックだねと言われてちょっとショックだったんですが、Papillonさんのようにファンがいたことが素直にうれしいです。「初恋」「悲しみの青春」とかほとんどドミニク・サンダの映画は観れていないので、是非観たいです。悲しげで甘く切なく、謎めいた憂いの表情がたまらないです。

2011/1/13(木) 午後 9:36 シーラカンス

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ベルトリッチって聞くと、「血」が騒ぎます。。。
それって、自分だけかもしれません。。。

ジャン=ルイ・トランティニャン・・・<Z>なんて作品もありました。。。こっちもドキドキしたコスタ・ガブラス。。。

2011/1/14(金) 午後 0:18 mos_mos_yoshi

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もすもすさん
おお、うれしいお言葉ですね♪ いえいえ、私もこの映画と「1900年」「ラストエンペラー」が好きです。「Z」はたぶん子供の頃にTVで観たような。。。確か政治色の強い映画でしたよね。ミキス・テオドラキスの音楽でしたよね。同じ時期の「魚が出てきた日」の方が印象に残っています。

2011/1/14(金) 午後 10:42 シーラカンス

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こんにちは。
映画や文学のブログを書いているふじまるです。
今回はドミニク・サンダについて書きました。
よかったら覗いてください。

2012/8/8(水) 午後 8:43 [ ふじまる ]

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ふじまるさん
コメントありがとうございます。
できれば感想もお願いしますね♪

2012/8/12(日) 午後 9:59 シーラカンス

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「ラストエンペラー」「リトル・ブッダ」などを見ましたが、このベルトリッチ監督って、原色の絵の具で塗りたくったようでした。内容も“性と政治”で、“絵巻物”という印象です。

2013/5/11(土) 午後 8:16 瀧野川日録

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トリックスターさん
うまい言い方ですね。「絵」に力がありますね。新作作っていますね。はたしてどんな映画になっているか。

2013/5/11(土) 午後 11:30 シーラカンス

そうです、その卑小さに共感せずにはいられない部分が確かにある、そのあたりが凄い映画だ、と思います。
TBお願いいたします。

2015/3/5(木) 午前 0:27 じゃむとまるこ

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じゃむまるさん
この映画は色んなシーンでゾクゾクします。卑小さと美しさの対比が見事です。また観たくなる映画です。

2015/3/7(土) 午後 11:03 シーラカンス

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ラストに登場する男色家の男は,やはりマルチェロの幻想だという解釈が正しいでしょうね。
お返しのTBお願いいたします。

2017/1/1(日) 午後 4:37 [ 飛行機雲 ]

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> 飛行機雲さん
コメントありがとうございます。
大衆のファシズム化は紙一重、不安定な時代だからこそ、何が起こるか、個人の弱さに感情移入します。

2017/1/1(日) 午後 11:59 シーラカンス

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ドミニク・サンダの魅力が大きいですね。

当時は新人とも思えないような堂々とした清楚と気品を備えた女優でした。

TBさせてください。

2017/11/7(火) 午後 10:31 fpd

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先日は私のブログ記事にコメント頂き、有難うございました^^
TB返し致します(^o^)丿

2017/11/8(水) 午後 9:04 Gena

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> fpdさん
ドミニク・サンダがこの映画を引っ張ってましたね。人の弱さを思い切り吐き出したような映画でした。

2017/11/8(水) 午後 10:36 シーラカンス

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> Genaさん
この映画はすきなんですよね〜、まあドミニクサンダが出ているのもありますが、人の傲慢さの弱さが丸裸にされた素晴らしい映画だと思います。

2017/11/9(木) 午後 7:40 シーラカンス

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