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山椒大夫 2011年1月8日、シネマヴェーラ「溝口健二傑作選」にて3回目?鑑賞。 1954年度作品 監督:溝口健二 原作:森鴎外 脚本:八尋不二、 依田義賢 撮影:宮川一夫 音楽:早坂文雄 出演:田中絹代、花柳喜章、香川京子、進藤英太郎、清水将夫、河野秋武、浪花千栄子、毛利菊枝、 菅井一郎、香川良介、見明凡太郎、伊達三郎、加藤 雅彦(津川雅彦)、榎並啓子 平安朝の末期、越後の浜辺を子供連れの旅人が通りかかった。七年前、農民の窮乏を救うため鎮守府将軍に楯をつき、筑紫へ左遷された平正氏(清水将夫)の妻玉木(田中絹代)、その子厨子王と安寿の幼い兄妹、女中姥竹(浪花千栄子)の四人である。 母子連れは、人買いに騙され生き別れにされた。 母親と離れ離れとなった厨子王と安寿の兄妹は、丹後の豪族・山椒大夫のもとに売られてしまう。奴隷となった二人は過酷な労働を課せられながらも、母親との再会を望む日々を送る。 それから十年、大きくなった二人(花柳喜章、香川京子)は依然として奴隷の境遇のままであったが、ある日、新しく買われた奴隷が口ずさむ唄に、自分たちの名前が呼ばれているのを耳にする。 由来を尋ねると、子供を攫われた自分たちの母親の叫びであることがわかり、二人は遂に脱走を決意する。(角川映画解説より) 「愛怨峡」の同時上映で、せっかくなので3回目?を鑑賞。 この映画は3回目?とはいえ、涙がどうしても溢れます。 溝口作品で涙が溢れる映画はこの映画だけです。 親子の話だからでしょうか。 あまりに可哀想で、厳しく辛いストーリー。 説話というか民話がベースになっているから、辛く過酷な試練に満ちたお話になっています。 これだけ辛い目にあっても父親の「慈悲」の心を忘れずにという教訓めいたものを最後まで持っていることに、今の自分は納得できましたが、若い人は反発するかもしれません。 自分も若い頃は、説教くさいと思いましたから。 ただ、昔、幼い頃に読んだ、教科書に載っていた「安寿と厨子王」のラストの親子の再会を未だに覚えています。 それぐらい印象に残った、ある意味厳しい民話です。 この映画も「雨月物語」もそうですが、残酷なお話であるにも関わらず、美しいのです。 辛い内容であるがゆえ、残酷さと美しい映像が同じシーンに混在していることに余計に涙が溢れてくるのです。 湖で親子が引き裂かれる舟と陸地のやりとり、自己犠牲の安寿が入水する湖の波紋。 陸地と水に浮かぶ舟が離れることに、こんなにドキドキするのも珍しい。 特に湖の広がる波紋は涙なくしては観れません。 この時代、人が死ぬことが簡単で、それでも人が死ぬことは重いものだということを感じます。 宮川一夫が撮る美しい映像は、一つの民話を「気品」や「尊さ」溢れる映画にまで押し上げているような気がします。 佐渡に売られた玉木(田中絹代)が風吹く山の上で崖で子供を呼ぶ姿。 ラスト、佐渡の海辺でかすかに聞こえてくる玉木の歌声に厨子王が近づく再会のシーンもそうです。 ただ美しい画面だけではない、当たり前の話なのですが、何かがあるから美しさに力を感じる。 それは、人の気持ちであったり、先ほどの自己犠牲の気持ちだったりとか。 何か心を動かすものがあって、その美しさが際立ってくるような気がします。 しつこいですが「影武者」「乱」にはその部分が欠落していると思います。 さらに音楽の早坂文雄もこの映画の素晴らしさを盛り上げています。 「気品」溢れる映画に一役買っています。 山椒大夫の進藤英太郎はさすがの悪役ぶり。
逃げようとした下人をテコで額を焼く残酷ぶり。 人買いの斡旋者である毛利菊枝は「雨月物語」と同じように薄気味悪く怖い。 |

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こんばんは。
進藤英太郎はいいですね!この人の関西弁が大好きです。
大映の名傍役もたくさん出ていますね。もちろん伊達三郎も!
「安寿と厨子王」はアニメにもなっていて、そのイメージが幼稚園の時からありました。
2011/1/12(水) 午後 10:31 [ - ]
この映画は原作が姉弟から兄妹に変更されていますね。最初はまがい物と思った記憶があります。監督の意向による変更のようですね。原作でもそうですが、映画でも奴婢解放にやってきた厨子王の発言がやや近代的な発想なのが今も気になります。
この映画は「雨月物語」同様に盛んにNHK総合で放映されていました。初見はそれによるものです。もちろんスクリーンでも何度か観ています。進藤英太郎は当時東映の専属でしたが、監督に乞われての出演が多かったみたいですね。毛利菊枝は「信子とお婆ちゃん」とかいう朝ドラで知った人です。関西在住の新劇のベテランですが、大映では台詞の講師も勤めておられたらしいです。
2011/1/12(水) 午後 10:59 [ SL-Mania ]
bigflyさん
進藤英太郎はアクの強いアク役でした(おやじギャグですいません)。伊達三郎も進藤英太郎の手下で頑張ってました。bigflyさんの影響で大映映画を観るたびに伊達三郎を探してますよ♪ アニメは知りませんでした。それも幼稚園から興味があったのもすごい!
2011/1/13(木) 午後 9:42
SL-Maniaさん
そうみたいですね、ウィキペディアを調べたら、原作は姉弟なんですね。私は兄妹の方がよかったと思います。進藤英太郎さんは、昔TVで観た「おやじ太鼓」を思い出します。毛利菊枝さんはやっぱり「声」がすごいです。顔は見えなくても声で毛利菊枝さんだとわかります。こういう民話にはぴったりです♪
話は変わりますが「雨月物語」の原作を読んだことがあるんですが、この原作を映画の脚本にした見事な出来ばえにはびっくりしました。この当時の日本映画界のレベルの高さに感動します。
2011/1/13(木) 午後 9:56
山椒大夫」の原作は中学2年の国語の教科書に後半部分が掲載されていました。森鴎外は仏教説話をもとに小説にしたそうです。脱走した奴の額に焼きコテをあてるというのは鴎外の作品にはなかったように思います。ただオリジンの説話にあるようで、安寿は入水ではなく、捕まって責め殺されるのだそうです。
「雨月物語」は上田秋水のものを読まれたのですか。映画はモーパッサンの「脂肪の塊」の要素も取り入れているそうです。
2011/1/14(金) 午前 8:53 [ SL-Mania ]
SL-Maniaさん
なるほど、映画視覚的に色々工夫がみられて、面白いですね。特に入水は、自己犠牲が強く日本的な表現かなと勝手に思っています。どうでしょうか。とんでもないです、「雨月物語」は石川淳の新釈雨月物語の「浅茅が宿」だけ読んで、なかなか読みづらく私のレベルでは難しすぎてあきらめました。偉そうですが映画的な人の生きざままで昇華させた脚本は素晴らしいと思います。
2011/1/14(金) 午後 10:31
TB、有難うございました。
3回もご覧になっているのですね。
私は辛いので、一回見れば十分です。
「宮川一夫が撮る美しい映像は、一つの民話を『気品』や『尊さ』溢れる映画にまで押し上げているような気がします。」全く同感です。
素晴らしい映像美でした。
母親と安寿の家族への切ない思いが、映画の情緒を豊かにしてくれました。
鴎外の原作も読んでみたくなりました。
2014/9/30(火) 午後 7:28
alfmomさん
溝口監督は好きなので、観てしまいました。じっくりと描きこむ溝口監督の演出を観るのが好きで、この映画は悲しく辛い映画で、ちょっと溝口作品では美しすぎる気がしました。
2014/10/1(水) 午後 11:15
遅くなりましたが、TBさせてください。
2014/10/2(木) 午前 11:36 [ SL-Mania ]
SL-Maniaさん
TBありがとうございました♪
2014/10/4(土) 午前 9:35