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パンズ・ラビリンス
2011年1月16日、恵比寿ガーデンシネマ「ベストセレクション」にて。

2007年度作品
監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、ダグ・ジョーンズ、アリアドナ・ヒル

「ブレイド2」「ヘルボーイ」のギレルモ・デル・トロ監督が「デビルズ・バックボーン」に続いて再びスペイン内戦を背景に描く哀切のダーク・ファンタジー。再婚した母に連れられ、山中でレジスタンス掃討の指揮をとる冷酷な義父のもとへとやって来た空想好きの少女は、やがて残酷な現実世界から逃避し森の中の不思議な迷宮へと迷い込んでいくが…。(TSUTAYA解説)

すごい映画を観てしまった。
ラストに号泣でした。

この映画、ファンタジー映画ではないですね。
ファンタジーにオブラートされた辛い反戦映画なのです。

もし内容を知らないで、タイトルだけで子供が楽しいファンタジー映画として観たら、とんでもないことになりますよ。お気をつけくださいね♪
美術監督の種田陽平さんが褒めていたので、前から気になっていた映画でもあります。
観るなら映画館でと(我儘です)。
ラッキーです、恵比寿ガーデンシネマさん、上映してくれてありがとうございます♪

スペイン内乱でのフランコ政府軍とゲリラ(レジスタンス)との戦いの中、森に拠点を置く政府軍の大尉と結婚した女性の連れ子の少女(主人公)が、不思議な世界と厳しい現実を交差しながら経験するダーク・ファンタジー映画。

ネタバレあります。
政府軍の大尉は、ゲリラと疑わしき者を簡単に殺す残忍さを持ち合わせている。
スペイン内乱でありながら、あきらかに大尉の性格から政府軍は悪、ゲリラ(レジスタンス)は正義の様相。
大尉は自分の子供が生まれることだけを切望している。
主人公の少女にとっては、父親が違うとはいえ、生まれてくる赤ん坊は自分の弟なので、大事に思っている。
しかし、義父の残酷さを見るたびに、母親のお腹をさすり「今の世の中は平和ではないの」と生まれてくる子供に囁く少女。

それと並行して、おとぎ話が好きな少女の前にラビリンスの守護神パンが現れる。
守護神パンは少女に試練を与え、それを乗り越えられると、ラビリンスの世界に行けると告げる。
政府軍とゲリラの戦いは日増しに激しくなり、母親は赤ちゃんを生んで死んでしまった。
パンの試練に失敗した少女は、赤ちゃんを連れて家を出ていく。
守護神パンは、最後のチャンスだといい、その赤ちゃんを生贄にすれば、ラビリンスの王国に行けると。
少女は渡さない。
そこへ、追いかけてきた大尉は拳銃で少女を撃つ。
少女は血を流し、横倒れる。
オープニングで血を流している少女が、血が止まり、やがて血が消えていくシーンがあった。
だから、同じように、撃たれた少女は血が消えていくだろうと思って見ていた。
しかし、いつまで経っても血は消えていかない。
少女の腕から流れた血は井戸の中に流れていく。
少女は生き返らない。生き帰ってほしいと願ったが。

少女はラビリンスの世界に。
国王のお父さん、王女のお母さんと守護神パンがいる。
赤ちゃんを渡さなかったのが、最後の試練で正解だと。
現世では、彼女が助けた枯れ果てた木から花が一輪咲いている。

どう考えても、少女のラビリンスの世界への旅立ちが幸せだとは思えないです。
この厳しい現実の世界でなんとか生きてほしかったのです。
せっかく、少女は赤ん坊を救ったのに、誰も少女を救えなかったのが辛いです。

彼女を救えなかったのは誰か。
それはこの世の中の争いごとを起こしている大人の責任なのです。
少女が、争いごとのこの世の中では生きられないことが哀しすぎます。
助けてあげられなかったのが悔しいのです。
そんな思いを強く感じて、少女の死が哀しくて、私は涙が溢れてしかたがなかった。
せめてもの救いは、一輪の花が枯れた木(現世)から咲いたこと。
わずかであっても、争いごとのない世の中になることの祈りが、この一輪に込められているような気がします。

独特の残酷さも内乱というある意味戦争と考えれば理解もでき、少女のラビリンスへの旅立ちを強くする意味でも重要なポイントだと思います。
ラビリンスの世界も、グロテスクで不思議な映像が面白いです。
左右にカメラがパンし、家の柱や森の木を使って別のシーンに変わる手法も素敵です。

追記
ちょっと思い入れの強い感想になっていますね。すいません。

閉じる コメント(24)

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pu−koさん
いや〜、凄い映画でした。少女の健気さがよけいに辛くて。哀しすぎる世の中でも、生きていたいと願っていたはずなのに、救ってあげられない刹那。せめてラビリンスで幸せにと願うしかできないことの辛さに胸が痛みます。

2011/1/28(金) 午後 11:05 シーラカンス

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ポニーさん
ダークすぎますね。哀しすごます。ファンタジー映画の新たな展開を見せた映画でした。

2011/1/28(金) 午後 11:37 シーラカンス

もう凄い衝撃でしたよね〜
なんつーか怖いけど引き込まれ
とても悲しいお話でした〜
TBしますね(*´ω`)ノ

2011/1/29(土) 午前 9:44 [ 翔syow ]

私も、、ただのダークファンタジーではないなと…
救いのないラストに衝撃を受けましたが、土着のレジスタンス達は逞しく生き延び…
ですが…誰も幸せではないですね。痛くて辛い反戦映画でありました。
コメント&TB下さり嬉しかったです。お返しさせて下さいね〜♫

2011/1/29(土) 午後 4:01 ふぇい

そうそう、これは子供向けの楽しいファンタジーとは違いますよね。
私もラストは涙が止まらなくなりました。
ほんとに凄い作品でしたよね。
こちらからもトラバさせてくださいね♪

2011/1/29(土) 午後 4:58 じゅり

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私もこれは驚いてしまいました。
そうそう。
<ファンタジーにオブラートされた辛い反戦映画
まさにその通りですね。
あ〜〜でも途中怖かった〜〜
TBさせてくださいね。

2011/1/29(土) 午後 8:59 car*ou*he*ak

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Syowさん
ほんと、すごい映画でしたね♪ラビリンスのクリーチャーがグロテスクで、現実の世界も残酷で大尉がこれまたすごいヤツでした。ラストは哀しすぎます。

2011/1/29(土) 午後 10:10 シーラカンス

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フェイさん
ファンタジー映画の新しい形を見たような、斬新な脚本と映像でした。フランコ政府を残酷化していますから、監督のレジスタンスへの賛同が見受けられますね。こんな形での反戦映画は見たことがないです。

2011/1/29(土) 午後 10:14 シーラカンス

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じゅりさん
こんなファンタジー映画もあるのかとびっくりしました。
ラストの少女を救えなかったことが、あまりに辛く哀しかったです。

2011/1/29(土) 午後 10:17 シーラカンス

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cartoucheさん
ファンタジーという先入観しかなかったので、あまりに予想外の展開に驚きました。ラビリンスの世界より現実の世界の方が怖いというのがすごい皮肉ですね。

2011/1/29(土) 午後 11:17 シーラカンス

お気持ち、よく分かる気がします。
私もかなり気持ちが入っちゃいました。
ギレルモ監督作品は、子供が哀しい目に遭うことが多いですけれど、彼なりの強い反戦の意志だと私は思っているのですよ。
トラバさせて下さいませ。

2011/2/1(火) 午後 11:52 恋

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これはラスト号泣ですよね。
本当におっしゃるとおり、素晴らしい映画でした。
不気味なんだけど奥の深い世界観が印象的です。
大変遅くなってすみません。TBさせてくださいね♪

2011/2/2(水) 午後 10:00 choro

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恋さん
ははっ、ちょっと入りすぎてしまいましたね♪ ギレルモ監督はお初でしたが、そうなんですか。レジスタンスへの思い入れは強い感じがしましたが。

2011/2/2(水) 午後 11:12 シーラカンス

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Choroさん
やっぱりそうですか♪。なんか同じ感動を共有できてうれしいです。独特の世界観ですよね。はまりますね。いえいえ、わざわざコメントいただけるだけで感謝です。勝手に私がコメントしているのですから。

2011/2/2(水) 午後 11:28 シーラカンス

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私も先日鑑賞しました。
shirakansuさんの感想をもう一度丁寧に読みたいと思って再訪しました。
この美しい映像の作品を劇場鑑賞されたのですね…
こんなに哀しいファンタジーは初めてでした。

「どう考えても、少女のラビリンスの世界への旅立ちが幸せだとは思えない。この厳しい現実の世界でなんとか生きてほしかった。」
私の思いも全く同じでした。

2011/2/9(水) 午後 6:49 alf's mom

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alfmomさん
おお、観られましたか♪ すいません、今読むとかなり思い入れの強い感想になってしまっていますね。でも、少女を救えなかった辛い気持ちは自分の素直な感想です。

2011/2/9(水) 午後 11:41 シーラカンス

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反戦映画の要素と、ファンタジーを融合させたのは凄い独特ですよね。
監督の類い稀なるセンスに圧倒でした。
TB、させてくださいませ。^^

2011/2/12(土) 午前 9:15 サムソン

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サムソンさん
おとぎ話で見たらとんでもない事になりますね。魅力あるとんでもない発想の豊かなダークファンタジー反戦映画でした。凄すぎますね。

2011/2/12(土) 午後 8:30 シーラカンス

これは今でも心に残る作品です。
ラストの解釈はそれぞれあると思いますが私は好意的に受け取りました。
とても悲しい結末でしたが彼女の笑顔が忘れられません。
TBさせて下さいね♪

2011/8/7(日) 午後 10:28 marr

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marrさん
ラストには監督の屈折した意図もあるでしょうが、未だにこの映画を観た時の気持ちの高ぶりを思い出します。ストレートに感動してしまった私は単純な人間だと思うのですが、まあそれも大事かなと思うようにしています。

2011/8/8(月) 午後 10:19 シーラカンス

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