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市川崑「鍵」

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2011年2月9日、神保町シアター「文豪と女優とエロスの風景」にて。

1959年度作品
監督:市川崑
原作:谷崎潤一郎
脚本:長谷部慶治、和田夏十、市川崑
出演:中村鴈治郎、京マチ子、仲代達矢、叶順子、北林谷栄、菅井一郎、倉田マユミ、潮万太郎、浜村純、山茶花究、伊達三郎

初老の夫(中村鴈治郎)とその妻(京マチ子)、娘(叶順子)とその恋人(仲代達矢)の奇妙な関係をクールな映像と黒い笑いで描いた異色作。荒涼とした性のイメージが不毛な愛を際だたせる。(神保町シアター解説より)

何とも不思議な世界です。
面白いです。
シャープな映像とセリフで紡いでいくブラックユーモア溢れるこの映画は、市川崑監督絶頂期の、らしい作品だと思います。

歳とともに男の衰えを感じてきた中村鴈治郎は、妻に内緒で、こっそりガンバれる注射を射ちに病院に来ています。
「妻には内緒にしておくように」と担当医の仲代達矢に囁きます。
その後、すぐに妻の京マチ子が夫の様子を聞きにやってきて、「私が来たことは内緒にしてくださいね」と、これまた担当医の仲代達矢に呟きます。
そして、仲代達矢が鴈治郎の家を訪問すると、2人とも「お久しぶり、いつ以来かな」とトボケタ演技。
そんな調子で、この映画は進んでいきます。

鴈治郎は、妻の京マチ子が仲代達矢と浮気するように仕向けます。
その浮気に嫉妬して、妻の裸を写真に撮ることで興奮して満足するのです。
哀しいかな男のサガは。
老いても性への執着から逃れられない鴈治郎は、さらに半身不随になっても、妻に裸になるように強要し、そのままオッチンでしまうのです。
すごいお話ですね。
鴈治郎を憐れとは思えず、満足して死ぬことは本望だったことでしょう。

妻の京マチ子は、夫の前では貞節淑女を装いながら、裏口でネコを見て喜んでいたかと思ったら、その猫が片足を引きずっているのを見て、とんでもないほどのイヤらしく醜い顔をして投げ捨てます。
夫も足を引きずっていて、明らかに夫が大嫌いというあらわれ。

娘の叶順子も変わっていて、仲代達矢が好きなのに、仲代達矢が京マチ子が好きなことを知ると、京マチ子に嫉妬し、そのことを鴈治郎に告げ口し、仲代達矢と京マチ子が浮気するようにわざと仕向ける。

仲代達矢は、3人の流れのままにあっちに行ったり、こっちに行ったりと強かな男。

家族3人と知り合い1人は、実に変な人たちで、お互いに憎悪渦巻く関係なのです。

ラストがまたすごい。
夫が死んだあと、3人で食事をしている中、京マチ子はこれから3人で楽しく暮らしましょうと。
嫉妬している娘の叶順子は、京マチ子の紅茶に毒薬を盛ったが、何故か死なない。
その毒薬は、実は家政婦北林谷栄の磨き粉だった。
そして、家政婦北林谷栄は、この変な家族が嫌いだったので、サラダに毒薬を盛る。
3人はあっけなく死にます。

新聞によると、夫が死んで、その後を追って3人が自殺をしたと、その家族の美化されたニュースが。
警察で、取り調べを受ける北林谷栄は、自分が毒を盛って殺したと自供しているのに、刑事(伊達三郎)が言います。「ウソをつくな、3人は自殺だ。警察は忙しいんだ。手間を取らせるな」

すごいブラックユーモアです。

中村鴈治郎はイヤらしく、あくまでも鴈治郎然とした演技。
京マチ子のキツネのような化粧が怖い。
淑女と色っぽさと危なさを持ち合わせた役どころです。
叶順子は、ほとんど初めて観たのですが、いつもはクールで感情を抑えながら、ある時は激しく激昂する両極端が魅力的でした。
仲代達矢は、いつもの芝居かかった演技ではなく、さりげなく自然な振る舞いがこの映画の面白さを後押ししています。

伊達三郎は登場しないなと思っていたら、最後に刑事役で出演でした。

谷崎潤一郎原作は未読ですが、TVで、あの蒼井優が大好きな小説だと薦めていた。
まさに喜劇だと。
気になりますね、この原作も。

閉じる コメント(14)

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こんばんは。2回はスクリーンで観ていますが、そのブラックユーモアたっぷりの本作は当時としては前衛的だったかもしれませんね。最後に残った北林谷栄が秀逸でした。伊達三郎は東京撮影所作品にも時折出演していますね。これもその一つ。

2011/2/15(火) 午後 10:01 [ SL-Mania ]

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こんばんは。
変質的な鴈治郎が最高でした。(もともと好色そうな顔をしている…?)
京マチ子は当時としてはなかなか大胆ではないでしょうか?ちょっとムッチリして滑らかで真っ白い肌がエロティックでした。(顔は変だけど)
叶順子は、わざと不細工な化粧になってましたね。
前に「叶順子」でネット検索したらアダルト女優に同姓同名の人がヒットしました…。SM作品に多く出ていた人らしいです(余談)。
伊達三郎は珍しく、悪人でもなく(良心的な刑事って感じでもないですが)、殺されもしない役でしたね。

2011/2/15(火) 午後 11:27 [ - ]

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これ観てみたいですね。
早速捜してみますね。市川崑が監督と云うのがいいし、中村鴈治郎が見たいですね。仲代達矢の京マチ子。観たい。

2011/2/16(水) 午前 1:39 [ リヒト緑 ]

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SL-Maniaさん
不思議なカメラワークが市川崑独特で、それにブラックユーモア、デフォルメされた人物造形、申し分ない切れ味するどい映画でした。いくら私が殺したと言ってもかまってくれない北林谷栄がおかしい。今観ても充分面白いですね。

2011/2/16(水) 午後 8:58 シーラカンス

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bigflyさん
いつも思うんですが、鴈治郎は地と演技の区別がつかないように見えます。すごい役者さんです。京マチ子はエロッぽいですね。「叶順子」の検索ありがとうございました。AV女優にもいたんですね。ちょっと気になりますね(笑)。御贔屓の伊達三郎の出番は今回少なく、あまりに普通で残念でした。

2011/2/16(水) 午後 9:29 シーラカンス

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リヒト緑さん
市川崑監督のセンスを十二分に味わえました♪ 感性で紡いでいく面白い映画です。是非お薦めです。出演者全員を個性的な役への造形も楽しめました。

2011/2/16(水) 午後 11:13 シーラカンス

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映画の方は4〜5年前にレンタルで借りて見ました。原作は高校生のときに読みましたが、あまり細かいところは覚えていません。映画では仲代のキャラクターが異色で印象的でしたね。

2011/2/17(木) 午前 6:05 ヒッチさん

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ヒッチさん
ユニークな映画でした。仲代達矢は大袈裟な動きを抑えたクールな言い回しがよかったです。蒼井優が大好きという原作も興味があります。

2011/2/17(木) 午後 11:48 シーラカンス

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上映されてから、何年後ですかね?
入場料が何百円の時代に・・見た記憶があります
白い肌に、興奮した想いがありますね(あら恥ずかしや)

最後にあっけなく皆死んでしまうと言うのには
ん・・もっと期待していたのに・・なんて思いが・・

2011/2/26(土) 午前 0:49 [ 太秦 ]

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太秦さん
私も京マチ子のふっくらした白い餅肌に惹かれました。全員死んでしまって、あっけなかったですが、全員死ぬことに、ブラックユーモアの意義があったのかもしれません。

2011/2/26(土) 午前 7:41 シーラカンス

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お久しぶりです。
皆さんご指摘の通り、ユニークなセックス映画ですね。
よくこんなアツカマシイのを寄り目目線で写真にして、それが市川昆らしい。
「東京オリンピック」ならぬ「セックスオリンピック」?ですね。

2011/2/26(土) 午後 5:41 [ moemumu ]

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moe*u*uさん
市川崑監督のユニークさが際立った映画です。私にはつい笑ってしまいそうな映画に映りました。デフォルメされた登場人物を見るのも楽しかったです。

2011/2/26(土) 午後 11:11 シーラカンス

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歪んだ現実と歪んだセックス、こういう生活を描くと時に滑稽にもなったりするものなのでしょうね。最後は全員死亡というのは、ロマンポルノの常道ですね。

2015/11/22(日) 午前 7:58 瀧野川日録

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> 瀧野川日録さん
もう無茶苦茶ですね、こうなりゃコメディです。残念ながら、いまだに原作は読めていません。

2015/11/22(日) 午後 11:03 シーラカンス


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