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李相日「悪人」★

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悪人
2011年2月20日、目黒シネマにて。

2010年度作品
監督:李相日
原作:吉田修一
脚本:吉田修一、李相日
音楽:久石譲
美術:種田陽平
出演:妻夫木聡、深津絵里、柄本明、樹木希林、満島ひかり、岡田将生、松尾スズキ、宮崎美子、光石研、余貴美子、井川比佐志、塩見三省

土木作業員の清水祐一(妻夫木聡)と佐賀の紳士服量販店に勤める馬込光代(深津絵里)。
孤独な魂を抱えた2人は出会い系サイトで知り合い、刹那的な愛にその身を焦がす。
しかし、祐一はたったひとつ光代に話していない秘密があった。
彼は、連日ニュースを賑わせていた殺人事件の犯人だったー。
その事実を知り衝撃を受ける光代。祐一は警察に自首するという。
しかし、そんな祐一を引き止めたのは意外なことに光代だった。
生まれて初めて人を愛する喜びを知った光代は祐一と共に絶望的な逃避行へと向かう。
やがて、2人の逃避行が生んだ波紋は被害者の家族(柄本明、宮崎美子)、加害者の家族(樹木希林)、そして周囲の人間たちの人生をも飲み込んでいく。
なぜ祐一は人を殺したのか?
なぜ光代は殺人者を愛したのか?
被害者の家族、加害者の家族、それぞれの運命はどうなるのか?
そして、本当の“悪人”とは一体誰なのか?(TSUTAYA解説より)

原作を読んでいても、最後まで緊張感が途切れることなく映画を観ることができました。
それは、柄本明が日本アカデミー受賞の挨拶で「監督はしつこい」と言っていたように、監督の執念みたいなものが、出演者たちの表情や行動やセリフを通して観る側に深く伝わってきたからです。

「本当の“悪人”とは一体誰なのか?」
大学生(岡田将生)は、柄本明の娘(満島ひかり)を車に乗せたが、ウザイと感じて峠で降ろさせた。
彼は女が冬山で凍死するかもしれないと思わなかったのだろうか。
飲み会で、話のネタのように、死んだ被害者(満島ひかり)のメールを友人たちに回し見せる気持ちの悪さはどうだろうか。
加害者(妻夫木聡)の祖母(樹木希林)は、マスコミに追われ、執拗に質問攻めに合う。
登場人物は、人の気持ちを考えられないほどにマヒしてしまっている。
被害者(満島ひかり)の寡黙な父親・柄本明が、ぼそっと「今の世の中、大切な人がいない人間が多すぎる」と言う。愛する人がいないから、人に優しくできないのでしょうか。

子供の頃に母親に捨てられた清水祐一(妻夫木聡)は、誰も信じてくれない孤独感に苛まれます。
家と高校の距離から出ていない馬込光代(深津絵里)の閉塞感。
2人は、お互いの疎外感、誰かを求めて出会います。
そして、異常な環境の中で、燃えるように愛し合い逃避行をします。
人を愛することの喜びに満ちています。
世の中に愛する人がいない人たちへのメッセージでしょうか。

灯台から見える海は美しいのですが、彼らにとっては地の果ての行き止まりです。
もうこれ以上どこへも行けないのです。

ラスト、朝日を見る妻夫木聡の安堵に満ちた瞳が印象的です。

ネタバレあります。
原作の吉田修一が脚本に参加しているせいか、原作を忠実に映像化したように見えましたが。
「俺はあんたが考えているような人間じゃない」といい、光代の首を絞めます。
祐一(妻夫木聡)は、捨てられた母親に、金をせびりに行きます。
小説では、母親の負い目を和らげるために、対等な関係にするために、敢えて金をせびりに行くようなニュアンスのことがありましたが、映画では描かれていません。
光代の首を絞めたのも、自分が悪人であることを見せ、迷惑がかからないようにするための芝居だと思います。
だから、彼は本当は人の気持ちが分かる優しいヤツだったんです。
また、まとまりのない感想になってしまいました。

閉じる コメント(16)

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映画に登場する中で真の悪人は?というのがテーマのようですが、祐一が悪人かというとそうとも言い切れません。大学生も悪人だし、マスコミも悪人だし・・。

俳優を追い詰めた監督こそが悪人ということではいかがでしょうか(爆)(半分冗談ですが)。

TBさせてください。

2011/2/27(日) 午後 9:44 fpd

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これ、九州出身の俳優がけっこう出ているんですよ。深津絵里、光石研、満島ひかるなど。

2011/2/27(日) 午後 10:00 mossan

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↑↑fpdさんの「俳優を追い詰めた監督こそが悪人」と言うコメント、
含蓄がありますね〜!
原作を読んで、魅了された作品でしたので、敢えて観なくてもいいと思っていたのですが、
モントリオールで女優賞を取った深津絵里の受賞後の言葉を聞いたり、
原作者が脚本に参加していること、監督が「フラガール」の李さんであることを知り、
また絶対「祐一」には見えない(と私には思えた)、福岡出身の妻夫木君がどれ位頑張れるか、
見たいと思い鑑賞しました。
無駄な脚色のない、原作に忠実な素晴らしい映画だったと思います。

TBさせて下さい。

2011/2/27(日) 午後 10:18 alf's mom

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原作も好きでしたが、映画も素晴らしかったです。原作とキャストの良さを最大限に生かした映画ですね。
「本当の悪人は誰なのか?」というテーマは、私的にはさして重要ではなく、それよりも祐一が最後にとった行動がすべてでした。原作ではやるせなく、映画では切なかったです。

2011/2/27(日) 午後 11:02 ぼやっと

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fpdさん
座布団1枚!お見事です。そうかもしれませんね。何回もやらせる粘質系の監督のようです。樹木希林が現場にいて、この映画は何か賞を取ると言ったそうです。現場の力が伝わってきたいい映画です。

2011/2/27(日) 午後 11:42 シーラカンス

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この映画はいろんな賞を獲りましたが、やはりすべてのキャストかあら、
あそこまでの演技を引き出した監督の力は作品成功の大きな要因でしょうね♪。

2011/2/28(月) 午前 1:05 ffa**77

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もっさんさん
光石研は知っていましたが、深津絵里も満島ひかるもそうだったんですか。自然なわけですね。

2011/2/28(月) 午後 10:39 シーラカンス

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優しい奴であっても悪人足り得る怖さ。そんなところを原作者も監督も描きたかったんじゃないでしょうか。人間誰しも悪人も善人も紙一重。妻夫木聡も深津絵里もきちんと仕事をしていましたね。

2011/2/28(月) 午後 10:45 ヒッチさん

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alfmomさん
「監督こそが悪人」かもですね♪ ほぼ原作どおりでしたが、それでも俳優さんの力で圧倒されました。ラストの妻夫木君の表情は素晴らしかったです。深津絵里も柄本明も樹木希林も満島ひかりも岡田将生も松尾スズキもみんな素晴らしかったです。それを引き出した監督が悪人でないとこの映画は生まれなかったかもしれませんね^^。

2011/2/28(月) 午後 11:09 シーラカンス

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boyattoさん
そうですね、自分はこだわりすぎたのかもしれません。人を殺すことは決して許されるものではないと思いますが、祐一がどうも悪い奴に思えなく、同情したのか共感したのか混乱したようです

2011/2/28(月) 午後 11:33 シーラカンス

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ふぁろうさん
しつこい監督らしいですから(笑)。俳優さんの表情がとてもリアルで自然で、それだけでも素晴らしい映画だと思います。「フラガール」とはまた違った映画の作り方のように思いました。

2011/2/28(月) 午後 11:58 シーラカンス

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ヒッチさん
たぶんそうなんでしょうね。どうも祐一に同情したというか、共感してしまったのかもしれません。すべての俳優さんが素晴らしかったです。ワンシーンの余貴美子のいやらしさも。

2011/3/1(火) 午前 0:38 シーラカンス

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凄いTBの数です、みなさん、注目の映画ですね、チャンスがあれば観てみたい。

2011/3/1(火) 午後 9:52 [ koukou ]

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koukouさん
俳優さんを見ているだけで、この映画が素晴らしいことがわかります。是非お薦めです。

2011/3/2(水) 午後 10:47 シーラカンス

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遅ればせながら、記事を褒めてもらってありがとう御座います。
TBします。

2012/3/17(土) 午後 11:54 [ ひろちゃん2001 ]

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ひろちゃんさん
読みの深さに、尊敬の念を抱きます。経験不足なのか、観察力のなさなのか、乏しい筆致も含めてです。

2012/3/18(日) 午後 9:39 シーラカンス

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