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二十四の瞳 2011年3月13日、新文芸坐「追悼 高峰秀子」にて。 1954年度作品 監督:木下恵介 原作:壺井栄 脚本:木下恵介 音楽:木下忠司 出演:高峰秀子、夏川静江、清川虹子、浪花千栄子、天本英世、明石潮、笠智衆、浦辺粂子、月丘夢路、井川邦子、小林トシ子、田村高廣、子役24人 名匠・木下惠介監督が、美しい小豆島を舞台に高峰秀子の主演で描いた永遠の名作。瀬戸内海に浮かぶ小豆島で12人の生徒たちを教えることになった大石先生。しかし、貧しい村の子供たちは希望通りに進学できず、やがて戦争の嵐に飲み込まれていく…。(amazon解説より) 昔から観たかった映画です。 「二十四の瞳」が1954年度キネ旬1位、同じ年の3位が「七人の侍」。 ともに日本映画を代表する素晴らしい映画です。 「二十四の瞳」は自然の風景の中で戦争に巻き込まれて行く人の心の傷とそれでも生きぬく静かな力に、「七人の侍」は人が生きていくために自ら戦う力強さに、感動しました。 静と動、守りと攻撃、全く趣の違う映画ですが、自分自身の中では、両作とも強い気持ちを感じて好きな映画です。 ネタバレあります。 昭和3年、スーツを着て自転車に乗って颯爽と走る若い大石先生が岬の分校に赴任する。 大石先生が受け持つのは小学1年生。 生徒たちは、大石先生の体が小さいから「小石先生」と呼ぶ。 あだ名で呼ぶ先生、楽しい歌を歌ってくれる先生になつく生徒たち。 そんな時、イタズラな男の子が作った落とし穴に落ちて足に怪我をしてしまい、先生は長い間、学校を休みます。 心配した小学1年生の12人の生徒たちは、そんなに遠くはないよという男の子の言葉に、それならみんなで先生の家にお見舞いに行こうと歩きだします。 でも実は先生の家は学校から自転車で50分もかかる場所にあります。 道の途中で疲れ果てていた時に、病院から帰って来た大石先生と出会います。 泣き出す生徒たち。 生徒たちとの微笑ましい交流。 海辺で記念撮影をします。 この写真が唯一楽しい頃の写真となってしまいます。(写真) 昭和8年(5年後)、子供たちは小学6年生になりました。 小学6年生の子供たちは、大人の生きる辛さを味わいます。 ある少女の母親は子供を産んでから体調が思わしくありません。 前に約束していた花柄の弁当箱をせがむ少女。 父親の仕事は少なくなっていました。 学校を帰ろうとした時、舟に誰かを乗せて漕ぐ姿を見かける。 急病人じゃと友達が言う。 ふと気になって走り出す少女。 次のシーンは、少女が赤ん坊を抱いて、父親と先生が話している。 母親の死を見せない省略の見事さ。その見せない分だけ、観客は現実の辛さを知ります。 赤ん坊は死に、少女は学校を辞め、四国琴平の食堂の仕事に就きます。 歌手になりたいが親に反対される別の少女。 貧しいため家族で村を出ていく少女。 男の子たちは軍人になって兵隊に行きたいと。 先生は「漁師や米屋の方がいいわ」。教え子たちが戦争で死ぬかもしれないことが辛いからだ。 自由に教えられないその時代の風土に嫌気がさして、先生は教師を辞めます。 さらに8年後(昭和16年)。 戦争は激しさを増します。 5人の男子は出征します。 先生の夫も、子供3人を残して出征しました。 さらに4年の歳月流れ、日本は厳しい戦いに。 兵隊になりたいと言う長男に、大石先生は「そんなに戦死したいんか」と。 大石先生の母親が倒れて医者を呼びにいく。母親は襖の向こうで姿は見えない。 次のシーンが、田んぼ道で棺桶を運ぶシーン。 さらに次のシーンが遺骨を抱いて歩くシーン。 母親の遺骨だと思っていたら、数人の遺骨を抱いての行列。 戦死した人たちの遺骨を抱いて行列しているのだ。 大石先生の夫も戦死した。 一番下の女の子も柿を取ろうと木から落ちて亡くなった。 「食べるものがないから柿を取ろうとしたお前は全然悪くない」と泣く。 人が亡くなる深い悲しさを流れるように静かに描きます。 それでも人は静かに生きぬきます。 先生はまた教師に戻ります。 小学1年生の担任になり、昔の教え子の関係のある子がいると泣いてしまいます。 あだ名は「泣きみそ先生」。 昔の教え子たちが歓迎会を開いてくれ、自転車を贈ってくれます。 一人は戦争のせいで目が見えません。 12人が7人になってしまいましたが、先生と子供たちの深い絆は消えません。 霧雨の中、生徒たちが贈ってくれた新しい自転車に乗り、大石先生が学校へと走る姿に、新しい平和な日本の希望を託した監督の願いを見ることができます。
小豆島の山や海の変わらぬ自然の景色の中で、人の営みの悲しさと喜びと希望。 堂々たる日本映画です。 |

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SL-Maniaさん
今でも時々上映されているんですが、何故かいつも機会がなく今回も地震の後だったんですが、思い切って観ました。途中で余震があり、びくびくしながら観ていました。なんとか観れてよかったです。忘れられない映画になるでしょう。
2011/3/27(日) 午後 7:09
ポニーさん
是非観てほしい日本映画の1本です。王道の日本映画です。
2011/3/27(日) 午後 7:12
koukouさん
木下監督らしいヒュ−マン映画です。怒りや激昂もしない静かな日本人のたたずまいに深い悲しみを味わい崇高な感動をします。
2011/3/27(日) 午後 7:17
alfmomさん
自分は単純な人間なので、思い入れが強くていつもスト−リーを長々と書いてしまい、後で読み直して反省しています。高峰秀子の大石先生は若い頃より子供が出来てからの方が、強い彼女らしくて好きです。
2011/3/27(日) 午後 7:30
ようやく”ご覧”なられたんですね。
ぜんぜん、成瀬監督と違う高峰秀子。大和撫子そのもの。「カルメン…」と違い、彼女の演技幅引き出せるのは、木下監督の方が”個人的に”上手かったと思っています。
全国から顔かたち数年違う兄弟集めて、一代記ものを組み立てた木下監督。”骨折させた”子供たちに「うどん」でもてなして、わだかまりを消した脚本、見事。バスから大石先生を子供たちが向かえたシーン、本音の演技でした。子供動かすの、黒澤以上だったでしょう。
大石先生は、自分の信条に忠実で、テコでも動かない。アカとか言われても”戦争反対”を屈折審理で描いてる。
最後、田村高広(めくら)がみなで写真の位置を指で押さえる、ブレてしまっているんだけれど、僕は泣けました。
次は「女の園」見てやー。
2011/3/28(月) 午前 0:20 [ moemumu ]
新文芸坐になってからは、看板だけはみていましたが、まだ見ていません。劇場で見られたのはよかったですね。名作で長い間見たかった作品で、昨年見ました。高峰秀子の女優としての凄さを改めて感じました。
戦争に行くといっていた子供が、次の対面では、墓前だったというのが、静かな反戦を訴えて泣かせました。
色あせない名作ですね。TBさせてください。
2011/3/28(月) 午前 7:34
moe*u*uさん
子供たちに優しく、一緒に泣いてやり、励ます大石先生は高峰秀子そのものに見えました。成瀬作品の行き場のない役と違い、まさにミューズの姿でした。あまり木下作品は観ていないので何ともいえませんが。自分は一代記ものには滅法弱いんですよね。夫も戦死し子供も亡くし、残った子供たちの歓迎会、仰げば尊しの歌、自転車で走るラストシーンも好きなシーンです。木下監督の作品はもっと観たいですね。「女の園」、絶対見るで〜。
2011/3/28(月) 午後 10:11
fpdさん
いい映画は時代が変わってもやっぱりいいのだと改めて実感しました。普遍的な作品です。自分は反戦映画というより人が生きていく中で戦争があったと、先生と子供たちの繋がりと信頼関係を静かに描いた木下監督の上質な映画だと感じました。
2011/3/28(月) 午後 10:30
思い出しました。木下監督は、「陸軍」で陸軍から”戦意高揚映画を作れ”て言われ、田中絹代に出征を嫌がる”戦意低下映画”に換骨堕胎したくらいの監督です。その集大成かも知れないです。
ただ、「戦地へ赴いて、給料もらえる…」也の考えしかない愛弟子に「そんなんやるより、百姓やりな…」重いセリフもデコちゃんに言わせる。
ラストでは、墓場のシーンにアカペラ的バックミュージックで応えた木下監督の弟さんのセンス(流石)、墓場のシーンに僕は弱くて、「七人の侍」「幕末太陽傳」「二十四の瞳」はやっぱ別格。
多様な年齢層の感情移入出来やすくして、結構乾いてべトしてない。木下監督らしい。
2011/3/31(木) 午後 11:00 [ moemumu ]
moe*u*uさん
「陸軍」は未見です。この映画での木下監督の上品でセンスのいい描き方は好きです。そうですね、ベタつく前で止めている感じですね。乾いた感動とでも言うのでしょうか。
2011/3/31(木) 午後 11:09
こんばんは!私のところにコメントありがとうございました。
私は、たまたま映画館で高峰秀子追悼という企画で上映して
くれていたので観にいったのですが、彼女の美しさもさることながら、
当時の時代背景を見事に描き出したこの作品に心を奪われるようでした。
初めて見たと思っていたのですが、ラストシーン何故か覚えていて、
あの目が見えなくても、一人一人が見える・・・って言うシーン。
子どものころTVで放送されたのを見たことがあったのですね。
涙なくしては見れないなぁ〜と思いました。
TBありがとうございます。お返しいたします♪
2011/4/13(水) 午後 11:31
エルザさん
コメントありがとうございます。
先生と生徒の絆に私は感動しました。その時代に戦争が横たわっていたという私の感想です。人の死を見せない木下監督の省略に、余計にその人の辛さに泣いてしまいました。
2011/4/14(木) 午後 11:09
見ました〜♪いや〜今見てほんと良かったです。
前しか見てなかった若い頃の自分には見えなかったものが
今なら懐かしい記憶と音楽とともに心に沁みました。
反戦色をあまりきつく出さずにその時代を乗り越えて行くのが
自然体で良かったと思います。最高ですこの映画
TB&ぽちさ
2011/8/22(月) 午後 10:08
ポニーさん
最高です、の一言が私にとっても最高のことばです。
年をとるのも、また違う目線になって、そんなに悪くないなと思います、です。静かな生活の自然体の映画。いや〜よかったですね。
2011/8/22(月) 午後 11:36
僕は、中学生のとき、体育館で、お仕着せという感じで、拝見しました。
”からす、なぜ泣くの…”唱歌を映画に取り入れた感覚、見事。
白黒なのに、カラーと思わせる木下テクニック。
反戦という感覚を、ラストの”墓場”シーンで取り上げる。
世界には、そういう感覚は、ないと思う。
3人兄弟の人選で、素人に学校生徒を演技させた。体当たり演技である。ウソがない。
高峰秀子と「墓場のラスト」。成瀬作品ではありえないものだが、成功した監督は、過去取り上げた黒澤、川島、そして木下だ。
日本映画で、墓場の出てこない作品は、やはり日本映画として、格落ちだと思う。
「くどい演技」ではなく、「地道に訴える」墓場シーン。教え子の墓場に花を添えてやる高峰秀子、地力ある演技です。
子供の演技指導は、木下監督、今でも世界トップクラスだと思う。
2012/10/20(土) 午前 1:40 [ moemumu ]
moemumuさん
若い時は、お仕着せのようで、知らずに観たかもしれませんが、積極的にこの映画を観ようとはしませんでした。この歳になって、ようやく観ることができました。時代が移り変わっても、いい映画は普遍なのだと実感しました。どうも最近評価の低い木下監督は、もっと高く評価されてもいい監督だと思います。
2012/10/21(日) 午後 8:18
泣きながら見ましたね。
教え子に限らず、身近な人間の死とか、境遇への同情や哀しさにはどうしても共感してしまいます。
TBさせてください。
2013/4/27(土) 午前 8:14
ギャラさん
この映画は日本人にとって、宝ですね。七人の侍と双璧です。この二つの映画を持って、生きていくことでしょうね。
2013/4/28(日) 午後 8:04
「七人の侍」と同じ年の作品なんですね。
両作とも、日本映画史に残る名作となりました。
仰る通り、正に静と動、両極端な傑作ですね。
地方ではなかなか昔の映画を劇場で観ることができないのですが、本作はこちらで最も大きなスクリーンで観られて良かったです。
2013/4/29(月) 午前 6:15
のびたさん
日本映画の絶頂期かもしれません。こんな映画が同じ年に2本も作られるとは、ただただ凄いの一言です。双璧ですね。
2013/4/29(月) 午後 11:17