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2011年6月1日、丸の内TOUEIにて。

2011年度作品
監督:山下敦弘
原作:川本三郎
脚本:向井康介
美術:佐藤崇
出演:妻夫木聡、松山ケンイチ、忽那汐里、石橋杏奈、韓英恵、中村蒼、長塚圭史、山内圭哉、古舘寛治、あがた森魚、三浦友和

元・朝日新聞社記者の川本三郎によるノンフィクションを、妻夫木聡、松山ケンイチの若手演技派初共演で映画化した社会派青春ドラマ。1960年代後半の学生運動を舞台に、理想に燃える若手ジャーナリスト・沢田(妻夫木聡)と、革命を目指す学生活動家・梅山(松山ケンイチ)との出会い、立場の異なる2人がそれぞれの理想を追い求めて葛藤(かっとう)し、激動する時代を駆け抜けていく姿を描く。(映画com解説より)

勝手な感想なので、ご了承を。

ネタバレあります。
社会派映画のように見えますが、青春映画です。
1969年から1979年に至る10年間の物語。

学生の梅山(松山ケンイチ)は、本物の過激派になりたいと。
学生とのディベートで「君はいったい何がやりたいんだ」と言われ、言葉に詰まり「お前は敵か」と開き直るだけ。
「社会を変えるんだ」というその響きに梅山(松山ケンイチ)は酔いしれているだけで、実は何の目標もなかったのだ。
薄っぺらなニセモノがホンモノへの憧れ。
自ら過激派と名乗り、ウソだらけ、口から出まかせを吐きまくる。

沢田(妻夫木聡)に、「俺をホンモノにさせてくれ」と哀願する。
「真夜中のカーボーイ」の泣いているダスティン・ホフマンは俺なんだと。
フロリダのバスに乗り、死ぬ間際のダスティン・ホフマンはおしっこを漏らし、情けなくて泣いてしまうのだ。
梅山(松山ケンイチ)のホンネが一瞬垣間見える。
ジョン・ボイトはダスティン・ホフマンの肩を抱く。
ジョン・ボイトは沢田(妻夫木聡)か。沢田(妻夫木聡)は彼を信じる。
違うのは、ダスティン・ホフマンとジョン・ボイトには本物の熱い友情があったこと。
梅山(松山ケンイチ)は、マスコミ宣伝として、沢田(妻夫木聡)を利用した。

梅山(松山ケンイチ)は自衛隊から武器を強奪する計画を実行。
実行は他人任せ、仲間に自衛隊員を殺させ、過激派の犯行ビラ、ヘルメットを残す。
人を殺すことも、ホンモノになるための手段に過ぎない。
刺された自衛隊員が地面を這い、息絶え大量の血を流すシーンを延々と写す。
人の死は、こんなに辛く悲しいことだと監督は言っているようで。
その姿を梅山(松山ケンイチ)は見ていない。

捕まっても「主犯は俺じゃない。仲間の誰それだ」と。
情けないヤツ、エゴイスト、欺瞞、自信過剰、高慢、挫折、冷酷非情、自己陶酔。
若い時に、誰もが味わう感情を梅山(松山ケンイチ)という人物に凝縮させている。
とても感情移入できないし、嫌悪感を抱きますが、この人物造形に、そそられます。
梅山(松山ケンイチ)という人物の謎解きに固執せず、それよりもその人物の破綻から青春を描こうとするアプローチが気に入っています。

正反対に、いい人すぎる沢田(妻夫木聡)。
梅山(松山ケンイチ)に翻弄され、警察でも自供しない。
ダスティン・ホフマンの言葉に惑わされた。
ただ、思想犯だから守り、殺人犯なら守らないという考え方は、この時代の空気感なのかも。
沢田(妻夫木聡)も殺された人物のことには感心がなかった。

ラスト、1979年に沢田(妻夫木聡)は飲み屋のオヤジで、昔ヤクザだった友人マモルに出会う。
若い頃にウソをついて、編集者としてマモルに近づいたことがある。
昔からマモルはいいヤツで、沢田(妻夫木聡)のことを懐かしみ、親しみを込めて思いやる。
沢田(妻夫木聡)のワンシーンワンカット。
沢田(妻夫木聡)が、ただ感傷的になっているとは思いたくない。
10年という時間が過ぎて、彼はマモルから殺された自衛官のことをようやく感じ得たと勝手に思っている。人を信じることを思い出した素直な涙だと思いたい。

山下敦弘監督の画面の切り取り方は好きです。
回りに人物のセリフが流れる中で、沢田(妻夫木聡)だけをとらえる映像。
山下敦弘監督の作り方は面白くて、まだまだ伸びしろは広がりそうです。

オープンセットが素晴らしい。
セットによっては美しすぎてわざとらしく白々しく見えたりする。
この映画は、見事に作られたセットのお陰で、その時代の空気感みたいなものが十分伝わってきて、映画の中にすんなりと入り込める。
自分にとっては、いい映画を観たと思っています。


歌詞が素晴らしいです。
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閉じる コメント(26)

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社会派映画だと思っていました。
数年間の物語だと思っていました。そうではなかったのですね。

"My back pages" ボブ・ディランの歌なのですね。
いい曲ですね…
予告編を見てそれ程惹かれなかったのですが(松山ケンイチが余り好きではないので)、
シーラカンスさんのレビューを読んで、とても見たくなりました。

レンタルできるようになったら、必ず見ようと思います。

2011/6/8(水) 午後 11:48 alf's mom 返信する

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気になる映画ですね、チャンスがあれば、必ずみますよ。

2011/6/9(木) 午前 0:10 [ koukou ] 返信する

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alfmomさん
自分は青春映画だと思いました。ラスト見ている映画が10年後の映画でした。ボブ・ディランらしい歌です。訳詞が素晴らしいと思います。とても好きにはなれない松山ケンイチの役でしたが、ある意味映画的な強烈な役がらでした。

2011/6/9(木) 午後 10:57 シーラカンス 返信する

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koukouさん
この時代の匂いが感じ取れる人は面白いと思うのではないかと思います。是非機会があれば。

2011/6/9(木) 午後 10:59 シーラカンス 返信する

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そうですね。社会派でありながら確かにこれは青春運営がでした。
そうそう。山下監督の映像の切りとり方がとてもいいですよね。
ただ地味な部分もあるので人によってはどうかなと思うけれど
私は好きです。
TBさせてくださいね。

2011/6/10(金) 午前 9:19 car*ou*he*ak 返信する

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カルさん
山下監督の間のとり方、自分との相性はいいです。暗い時代の話なので、一般受けは難しいでしょうね。

2011/6/11(土) 午前 11:31 シーラカンス 返信する

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シーラカンスさん、
TBさせてもらいました。
山下敦弘監督は撮るたびにどんどんうまくなっていますね。
私は、恥ずかしながら、下記の初期作品をみていません。
『どんてん生活』(1999)、『ばかのハコ船』(2002)、『リアリズムの宿』(2003)、『くりいむレモン』(2004)。
これらを特集上映の時は、ぜひ見ようと思ってます。

2011/6/15(水) 午前 8:59 ぴくちゃあ 返信する

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ロケ地の建築物のいくつかが、関西の有名どころの近代建築という話で、ますます気になりました。

2011/6/15(水) 午後 1:00 [ koukou ] 返信する

あの役を演じた松ケン、素晴らしい熱演でした。
山下監督は好きな監督さんなので、安心して観ていられました☆
トラバお返しさせて下さいね^^

2011/6/15(水) 午後 5:53 くるみ 返信する

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ぴくちゃあさん
わざわざコメントありがとうございます♪ 山下敦弘監督の映画はいつも惹かれます。「ばかのハコ船」、「リアリズムの宿」も面白かったです。特に「リアリズムの宿」の間のとり方のうまさについ笑ってしまいます。是非、お薦めです。

2011/6/15(水) 午後 11:38 シーラカンス 返信する

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koukouさん
オープンセットではなかったです、すいません。さすがkoukouさんらしい視点ですね。古い建物だなとしかわからなくて、でも時代にうまくマッチしていました。

2011/6/15(水) 午後 11:41 シーラカンス 返信する

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くるみさん
どうみても好きになれない松ケンの役どころ、見事でした。最後まで感情移入させない演出も好きですね。

2011/6/15(水) 午後 11:47 シーラカンス 返信する

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松山ケンイチのカリスマ性ある演技も、妻夫木聡のジャーナリストの演技も、
ともに素晴らしかったと思います。
ご指摘の通り、時代の空気感もしっかりと伝わってきましたね♪。

2011/6/18(土) 午前 0:13 ffa**77 返信する

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ふぁろうさん
この時代の暗い青春映画が漂っていました。もしかしたら本質の部分で山下敦弘監督に近いのかもしれません。

2011/6/18(土) 午後 9:35 シーラカンス 返信する

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確かに、挫折を描いた青春映画でしたね。
松山ケンイチ演じる梅山が、本当に人として嫌な奴でした。
対する、主人公の沢田は、良い人過ぎるほどだけど、自分の未熟さから人の命を奪ってしまうことへ、本意ではなくても、結果的に加担してしまいましたね。
ラストの涙は、人の命の尊さを感じさせてくれました。
TBお願いします。

2011/6/19(日) 午後 6:43 やっくるママ 返信する

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やっけるママさん
その時代がそうさせたと書くと安易すぎるのですが、なんか熱い時代だったのでしょうね。10年後に何かを感じた涙でしょうか。

2011/6/20(月) 午後 9:05 シーラカンス 返信する

この時代の学生同士の繋がりの希薄さと言いますかそういうのが特に
伝わる映画だったです。松山ケンイチだけでなく妻夫木君にも感じます。自分が熱い!そんな時代の青春像が良く出ていたと思います。
久しぶりに記憶に残る邦画を見た気がしました。TB&ぽち

2012/1/7(土) 午後 10:32 pony 返信する

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ポニーさん
若さゆえの熱さに酔い、自分に惚れる、そんな青春像、二人の俳優の気持ちが伝わる映画でした。

2012/1/8(日) 午前 11:59 シーラカンス 返信する

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同感です、全共闘映画ではなく、関わった人間の悩み・苦悩・成長を描く人間ドラマが良いのですね。
山下監督の変革ぶりにも注目ですね。
TBします。

2012/6/30(土) 午後 9:03 [ ひろちゃん2001 ] 返信する

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ひろちゃんさん
日本映画界の中で、山下監督をいつも注目しています。面白い視点と独特な人の描き方、次回作「苦役列車」も楽しみです。

2012/7/1(日) 午前 11:16 シーラカンス 返信する

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