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舟を編む 2013年7月6日、ユーロスペースにて。 2013年度作品 監督:石井裕也 原作:三浦しをん 脚本:渡辺謙作 出演:松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、黒木華、加藤剛、小林薫、渡辺美佐子、池脇千鶴、鶴見辰吾、伊佐山ひろ子、八千草薫、宇野祥平、森岡龍、斎藤嘉樹、波岡一喜、又吉直樹、麻生久美子 出版社の辞書編集部を舞台に、新しい辞書づくりに取り組む人々の姿を描き、2012年本屋大賞で第1位を獲得した三浦しをんの同名小説を映画化。玄武書房の営業部に勤める馬締光也は、独特の視点で言葉を捉える能力を買われ、新しい辞書「大渡海(だいとかい)」を編纂する辞書編集部に迎えられる。個性的な編集部の面々に囲まれ、辞書づくりに没頭する馬締は、ある日、林香具矢という女性に出会い、心ひかれる。言葉を扱う仕事をしながらも、香具矢に気持ちを伝える言葉が見つからない馬締だったが……。(映画com解説より) 原作がよかったので、映画を観ようか止めようか正直迷っていました。 原作を先に読むか、映画を先に観るかって、いつも悩ましいところです。 結局、結構評判がいいという噂も入ってきて、やっぱり観ちゃいました。 この映画、原作の良さを失うことなく、いい雰囲気で、映画化されていましたね。 素直に、いい映画だったと思います。 ただ、どうしても、原作と比較しながら、観てしまうのですよね。 ほとんど原作に近いストーリーだったと思います。 原作を映像化したという印象で、仕方のないことですが、映画的な驚きはあまりなかったです。 ああ、こんな風に映像化しているんだみたいな。 辞書作りに何十年も費やすバカな男たち(褒めことばですよ)のものがたり。 小説には、原作の持つことばに対する愛情が、ことばが好きな読書の心に沁み込んでくるのです。 「右」の定義とは。 今まで考えたこともない。「左」と反対ちゃうの。 そして、何十年も仕事をしているサラリーマンへの応援歌だと思うのです。 ラスト、辞書の発表会で、すでにもう改訂版を出す話をしている。 発表会は一瞬の出来事で、彼らは、改訂版を作るために、また明日も同じように、辞書の仕事を続けていることでしょう。 彼らは別にそれを苦とは思わない。 当たり前の日常。 高揚もせず、愚直で静かな佇まいが、プロの仕事であり、自分のサラリーマン人生とダブって、感動を覚えるのです。 「まじめ」「かぐや」といった名前を使い、どこか寓話的なものがたりですが、辞書を編纂する色んなエピソードは、結構リアルです。 紙の薄さで業者にダメ出しするシーンは、自分が学生の頃に辞書をめくった記憶が蘇り、確かにひっかからずにスムーズにめくれたことを思い出しました。 ここから敢えて、映画を観ての我儘な感想です。 文字と映像の違い。 十何年も経って、同じ出演者が白髪まじりで登場。 まあよくある風景ですが、小説は自分のイメージだけで済むところを、映像にするとどうしても違和感が残るのです。 小説は、お仕事ものがたりで、映画も基本はそうなんですが、ただラストを夫婦の絆に持っていったことは果たしてどうなんだろうかと思って観ていました。 それまでのシーンで、十分夫婦の絆は伝わっていたと思うので、必要のないシーンに見えました。 それより、パーティの後、明日からまた改訂作業だなと二人の会話で静かに終わる方が、この映画の上品さが出ていたような気がします。 それと、馬締が西岡さんは辞書編集部に必要な人ですと言うと、西岡は大泣きするのですが、小説はこんなベタではなかったと思うのですが。 饒舌すぎる、安易に感情を表すのは、如何なものかと思います。 特に西岡の存在は、小説でも映画でも重要なので、もっと大事に描いてほしかったです。 とまあ、色々書きましたが、それでも、お仕事応援歌、夫婦の信頼感を感じさせる、いい映画だと思います。 西岡役のオダギリジョーは、よかったですね。 印刷業者役で宇野祥平、辞書編纂のアルバイト役で森岡龍が出ていましたね。 森岡龍は石井裕也監督の御贔屓のようで、NHKのあまちゃんにも出ていました。お父さんの若い頃の役です。 追記 しつこいようですが、いい映画なんで、敢えて書きますね。 この映画には、何か物足りないのです。 娯楽映画を作るなら、脇の人たちにも目を配って、それぞれのちょっとしたエピソードを用意してほしかったです。 宇野祥平も森岡龍も特に辞書編纂に関係するエピソードがないのです。
おばあさんの渡辺美佐子もいい人ですが、監督御贔屓の稲川実代子を使ってほしかったです。 癖があって頑固で、ことばはキツクても気持ちの熱い役にした方がよかったのでは。 伊佐山ひろ子の役も、もっととっつきにくい冷たい役で、でも辞書編纂に愛情を注いでいるようなエピソードがほしい。 八千草薫には、パーティ会場で、馬締の後ろ姿を観ながら「馬締さん、ありがとう」というセリフを吐くのですが、必要ないですね。 ことばを発してなくても、それまでの表情で十分相手に伝わっているはずです。 饒舌すぎるのですよね、この映画は。 もったいないです、今よりももっと面白い、いい映画になっているんじゃないかと思ってしますのです。 |

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たしかに、石井裕也監督がここまで原作を忠実に映像化するとは思いませんでしたね。
まあ、辞書作りをエンターテインメントにする、という原作の力技を逸脱するのは難しいですからね。
だからこそ、原作とのちょっとした乖離が気になってしまうわけで...。
chokoboさんがおっしゃっているように、
原作後半の端折り方が特に気になりましたね。
めちゃくちゃいい映画でしたけど。
2013/7/24(水) 午前 3:08 [ 鉄平ちゃん ]
やっくるさん
私も、いつも映画と原作をどっちを先にしようか悩みます。原作の流れとほぼ同じで、それはよかったのですが、いい意味の裏切りがなく、印象はちょっと薄いかな。無難にまとめている感じですね。
2013/7/24(水) 午後 9:57
ふぁろうさん
映画を先に観たら、たぶん、いい映画を観たなと思われるでしょうね。馬締と西岡のやりとりはデコボココンビですね。辞書編纂はどこかサラリーマン生活とダブってみえてきて、素直に感動します。いい映画だと思います。
2013/7/24(水) 午後 10:01
chokoboさん
原作は時代の移り変わりを新人も交えて丁寧に描けていますが、映画は時間の関係で、どこか微妙なところがあります。それぞれの登場人人物の印象に残るエピソードが足らない気がします。何かもの足らない感じは、それぞれの人生に踏み込んでいないせいかもしれません。
2013/7/24(水) 午後 10:08
鉄平ちゃんさん
お久しぶりです。確かに「辞書作りをエンターテインメントにする」ことが難しいとは思いますが、石井裕也監督の個性がまったく感じませんでした。これからたぶん色んな原作の映画を作ることになるでしょうが、自分の個性はどこかに出してほしいです。でないと、そのうち埋没して、普通の監督になってしまう気がしますね。でも、彼にはこの映画の鬱憤からさらなる素晴らしいオリジナルを作ることを期待したいです。
2013/7/24(水) 午後 10:14
コメント下さり、有難うございました<m(__)m>
原作も読んで、映画に備えました(笑)が期待通りの映画で大好きな作品になりました。
原作ありき、な作品では監督の個性があまり見えなかったですが…
地味でもキラリと光る、素敵な作品だと思います。
TBは何かの都合で、上手くいかなかったようですね?
こちらからもTBやってみますね。。
2013/7/29(月) 午前 7:13
ふぇいさん
原作を読まずにみたら、もっと感動できてた気がします。色々いちゃもんをつけましたが、地味な辞書作りに色んな人たちが情熱をかけるというだけで、涙が出そうになります。あれ、TBできてませんでしたか、失礼しました。もう一度チャレンジします。
2013/7/29(月) 午後 10:30
辞書が長い年月をかけて地道な作業を繰り返しながらようやくの思いで出来上がることを知っただけで勉強になりました。
日本の言葉は美しいですね。
TBお願いします!
2013/8/7(水) 午後 2:03
かずさん
辞書編纂がこれほどまでに時間をかけて作られているとは、驚きでした。ことばに対する作者の深い愛情も感じられましたね。
2013/8/8(木) 午後 10:39
原作が素晴らしいとなかなか満足の行くように映像化するのは難しいですよね。
本作も本当に本がよかっただけに、どうしても2時間に納めると物足りなさは出ますね。
でも、それなりに上手く纏まっていて期待は裏切らないような作りだったのでよかったです。
こちらからTBさせていただきますね。
2013/8/11(日) 午前 10:05
choroさん
コメントありがとうございます。原作映画は難しいです。原作読まずにみたらたぶん素直に感動できたと思います。丁寧に時間をかけて描く、辞書編纂と同じく時間の流れ、人物の造形はやはり小説の力でしょうか。
2013/8/11(日) 午後 8:58
飛行機の中で観ましたが、素直に感動しました。原作を先に読んでいたら、やはり比べてしまったでしょうから、先に映画を観てよかったかもしれません。
最初は見ていて痛々しかった馬締さんが、辞書の編纂という生涯の仕事に出会い、地味にながら人間として成長していく姿がじんわりと胸にきました。キャストも良かった。オダギリジョーは後半で長髪になるまで、オダギリジョーと気づきませんでした。
2013/8/22(木) 午後 10:42
boyattoさん
ロンドンに行っているんですね、いいなあ〜。ロンドンは日本より上にあるから涼しいでしょうね。映画もよかったのですが、小説とどうしても比較してしまって。男なんで自分の仕事とダブリ感慨深いものがありました。オダギリジョーはこの映画でとても重要な役でよかったです。
2013/8/24(土) 午後 9:36
ゲスブに、わざわざありがとうございます。本当に感謝です^^
私は、本が原作のを映画にしたりするのに反対!な人です。いっつも、本をぶち壊して イヤな感じになってるから^^;
でも、コレは良かったと思います。
映画って大体2時間くらいじゃないですか。その間に、まとめるって大変だと思います。その中で、これだけまとめられたんだから良いかな?と・・・
ただ、残念なところもありましたよね。シーラカンスさんも仰ってるけど、オダギリジョーの役 小説ではもっと重要なんですよね。彼はいろいろと苦悩するじゃないですか・・・それが、あまり描かれてなくって残念だった。(私はコレが一番残念だった)
あと、ラストも「ん?こんなのだったっけ??」と・・・^^;
チョイチョイ「残念」な所はあるけど、全体的には良かったのかな?という気がしました。
TBできるかな??TRYさせてください
2014/6/20(金) 午前 10:10
わぐまさん
こちらこそ、わざわざ拙い記事を教えてくださいなんて言われたことがなく、調子に乗ってゲスブにコメントさせてもらいました。そうなですね、原作を読んでなくて映画だけでよかったと思っているだけで
、ほんとは原作のほうがもっと素晴らしいことってあるでしょうね。俳優によってイメージを壊されたり、でも逆に映像で見せる映画の魅力もあったりして、難しいところですよね。オダギリジョーの役は原作はもっと深いですよね、残念です。
2014/6/22(日) 午前 9:49
わぐまさん
いえいえ、とんでもないです、なんかTBできないことがあるんですよね、何が理由なのかよくわかりません。自分のほうが原因かもしれないので気になさらないでくださいね♪
2014/6/22(日) 午前 9:53
コメントありがとうございました。
僕もシーラカンスさんとほとんど同じ感想を持ってしまい足した。
原作物が悪いわけじゃないけど、「言葉」をテーマとした作品を映像化するのはなかなか難しいようですね。
2014/7/23(水) 午前 5:45
ぴんじょんさん
映像の力はそれはそれで認めるのですが、小説の文字から伝わる奥深さはもしかしたら、映像の力も及ばないかもしれません。
2014/7/23(水) 午後 10:57
私も小説は読んでいなかったので、いい映画だと見ました。
資料室やゴミゴミした編集室の様子、仕事の様子、語釈カード、単語カード、ゲラの校正など臨場感もありました。
TBさせてください。
2014/8/31(日) 午後 6:09
ギャラさん
映画はよかったと思います。でも長い時代を経て描かれる原作の方がもっとよかったです、一度読んでみてくださいね。
2014/9/1(月) 午後 11:49