|
ぼくたちの家族 2014年6月1日、市川コルトンシネマにて。 2014年度作品 監督:石井裕也 脚本:石井裕也 出演:妻夫木聡、原田美枝子、池松壮亮、長塚京三、黒川芽以、ユースケ・サンタマリア、鶴見辰吾、板谷由夏、市川実日子 「舟を編む」が数々の映画賞を受賞し、アカデミー外国語映画賞日本代表作品にも選出された石井裕也監督が、母親の病気をきっかけに、さまざまな問題に直面した家族が、再びひとつになっていく姿を描いた。ごく平凡な一家の母・玲子は物忘れがひどくなり、病院で検査を受けると、末期の脳腫瘍で余命1週間と宣告される。玲子は家族がバラバラになることを恐れながらも認知症のようになり、家族にひた隠しにしてきた本音を吐露。突然訪れた事態に父は取り乱し、社会人の長男は言葉をなくし、大学生の次男は平静を装おうとする。残された男3人はさまざまな問題と向き合いながら、最後の「悪あがき」を決意する。(映画com解説) あまり、評判にはなっていないけど、この映画は、いいですよ、お薦めです。 「舟を編む」の時は、先に原作を読んでいて、映画が越えられるかという視点で観ていたため、自分の中では、饒舌すぎる映画にちょっと戸惑いを覚えていた。 この映画は、原作は読んでいない。 だから素直に映画に向きあえたのかもしれない。 いきなり、母親(原田美枝子)のとまどう顔のアップから始まる。 友だちとの会話が聞こえてきて、母親はサボテンの名前を口走る。 何かが崩れていく予感がするファーストシーン。 長男(妻夫木聡)の妻(黒川芽以)に、違う名前を呼ぶ。 えも知れぬ怖さを見る。 ごく普通に見えた平凡な家庭が、母親の病気によって、すべてが明らかになる。 父親(長塚京三)は、新しい車を買おうとパンフレットを見ている。 社長をやっているが、虚栄心が強く、小心もの。 大学生の次男(池松壮亮)は、母親に小遣いをせびる。 母親がカードローンのカードを選んでいるシーンがある。 不思議だなと思っていたら、実は、この「家」は、借金だらけであることが分かる。 昔、父親の連帯保証人になった長男は、ひきこもりになったことがある。 今回、父親が自己破産しても、連帯保証人である長男に借金が残る最悪の状況。 父親は病院の支払も長男に頼る。 しかし、長男の妻は、何故お金を出さないといけないか明確に説明をしてくれと言う。 今まで無駄使いをしてきたあなたの家族が悪いのよ。 真面目で、計画的な長男でなくても、自分なら落ち込む。 この映画は、じっと我慢する長男のための映画かもしれない。 そんな長男は、昔と違うぞ、「悪あがき」するぞと開き直りを次男に宣言する。 どこか「川の底からこんにちは」を思い出す。 母親の存在が凄い。 病気になって、母親も開き直ったようにも見える。 異様に明るいのだ。 母親は、次男が可愛い。 しかし、母親は長男に「家族の中で、あなたしか頼りにならない」と告げる。 このシーンを俯瞰ショットワンシーンで撮った監督のセンスに脱帽です。 長男は、自分の存在を母親が認めてくれたことで、長男である心意気を感じる。 どん底から、ようやく光が見えてくる。 ありきたりな言い方ですが、家族の崩壊と再生でしょうか。 ラスト、初めて長男が見せた屈託のない笑顔に救われる。 色んなシーンでドラマチックなセリフを極力さけて、登場人物は素人が言うような戸惑いのセリフを言う。 このあたりもやっぱり監督のセンスを感じます。 見せ方のうまさ、老獪な監督のような演出に、これからも目が離せない監督のひとりになった。 妻夫木聡、原田美枝子、池松壮亮、長塚京三が素晴らしい。 その中でも、原田美枝子の存在感は見事です。
今年の主演もしくは助演女優賞ものだと思います。 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 映画
- >
- 映画レビュー






WANTEDさん
「川の底からこんにちは」が一番好きです。棘があるかどうかは別にして、ユニークな発想の脚本は素晴らしかったと思います。この映画も優等生の映画ですが、どう見せると効果的か、その見せ方を知っていますね。自分はお薦めです。
2014/6/16(月) 午後 10:53
alfmomさん
『舟を編む』の原作、ダメでしたか、サラリーマンの地味な仕事ぶりとオーバーラップして自分は好きなんですけどね。『川の底からこんにちは』はよかったですね。ある意味日常の狂気の原田美枝子の「笑おうよ」は名セリフです。
2014/6/16(月) 午後 11:00
のびたさん
あらゆる賞を総なめした監督の次回作なのに、まったく評判になっていない、日本映画のマスメディアの偏りが、気になりますね。できれば、オリジナル作品で勝負してほしいです。期待できる監督ですね。
2014/6/16(月) 午後 11:03
boyattoさん
そうでしたか、御贔屓の妻夫木聡は、長男役を耐えながら我慢強く演じていて、とてもよかったですよ。重苦しい展開でしたが、感動作です。自分も長男なんで。
2014/6/16(月) 午後 11:07
映画「舟を編む」の記事を探したのですが、見つからず・・・この記事へと導かれるように来たのですが。
これ、観たくなりました!面白そう。
家族にとって、母親って偉大ですよね。
うん、観たいです!!
ところで、失礼な質問になってしまいますが・・・
映画「舟を編む」ってどこの書庫に入ってますか?シーラカンスさんの感想も読んでみたいのですが・・・
2014/6/19(木) 午後 1:57
わぐまさん
家庭は母親でまわっているといっても過言ではないでしょう。わざわざありがとうございます、大した記事ではないですが、これからゲストブックに入れておきますね。
2014/6/19(木) 午後 11:21
「舟を編む」は、原作が面白くて一日で読んだ作品だったので、映画が素晴らしいと感じにくかったです。
この作品も、もう少し複雑になるのかと思い込んでいたので、少々拍子抜けした感がありましたが、ラストの長男の微妙な変化が良かったと思います。
2014/6/26(木) 午後 11:29
やっくるママさん
まあストレートなお話で、ありきたりな家族の再生、綺麗ごとであっても、監督の描き方で、いい映画にもなりえるのかと思ってみていました。
2014/6/28(土) 午後 7:17
池松壮亮が家族のムードメーカーでよかったですね。
TB、お返しさせてもらいます。
2014/7/3(木) 午前 7:39
ぴくちゃあさん
飄々とした弟の池松壮亮に生真面目な兄貴は救われましたね。
2014/7/5(土) 午前 11:54
こういう家族がテーマなものって自分に置き換えて見るので凄く感情移入ができました。
いろんな困難が立ちはだかっても結局家族がいるから踏ん張れる、そう思えるような内容だったし、そうありたいですね。
TBお願いします!
2014/8/26(火) 午後 11:35
かずさん
自分も長男なので、感情移入しまくりでした。家族って不思議なものですね、といっても親がちゃんと意識してまとめないといけないと思うこの頃です。
2014/8/27(水) 午後 11:42
何故か、予告編の見せ方のせいかちょっとありきたりな家族の物語で
ダメ発覚、家族内で足掻く、ダメかと思われるが、頑張ったら、
何とかなった!奇跡的に。みたいなかんじかと思ったのですよね。
でも違った印象です。もっともっと深かったです。
観ながら涙溢れる思いがしました。もっと話題になってもよいような
作品だと思います。ちょっと暗いとか厳しいというイメージが
先行して一般的にあまり鑑賞までの話題性が低かったのでしょうかね?
私も?観てから、もっと早く観るべきだった!と思った次第です。
(最終週くらいで再鑑賞はできない日程だった記憶があります)
遅くなりましたがTBお返しします。
2014/10/29(水) 午前 8:43
エルザさん
この映画は今年の日本映画でベスト3に入るぐらい好きです。家族の崩壊と再生であっても、見せ方のうまさで、新しい家族のありかたを見た気がします。
2014/10/31(金) 午後 6:35
原田の名演技にはうなりましたが、どうしても後半の展開(話)は感動出来ないで作為過ぎる面を感じました。これまでの、石井監督のコミカルベースの映画であれば許されるのですが、リアルテイストであるので。
また池松や黒川の二面だけの人間性も単純すぎる感じを受けてしまいました。
TBします。
2014/12/5(金) 午前 11:31 [ ひろちゃん2001 ]
ひろちゃんさん
ストレートすぎるきらいはありますが、真面目な描き方は、舟を編むから王道日本映画のリーダー的存在になりましたね。原作はあったのかな。
2014/12/7(日) 午前 9:42
細かい心の動きを良くとらえていますね。
結末はありきたりかもしれませんが、余韻を感じさせます。
TBさせてください。
2015/3/8(日) 午前 9:45
ギャラさん
監督のそれぞれの人物のセリフや表情のとらえ方に、センスを感じます。そうですね、できすぎかもしれませんが、自分はこれでよかったんじゃないかと、希望を見せてくれるしか長男は救えないからです。
2015/3/9(月) 午後 11:04
これは家族に絆を基本画いた作品に見えますが、セカンドオピニオンや、医療体制の問題もさらりと触れていますね。
結末はちょっと甘さを感じますが、キャスティングがよく、役者さんたちに見応えはありました。
こちらからもTBお願いします。
2015/7/24(金) 午後 3:41
attsさん
まあどこに視点をおいての映画なのか、謎のような家族から次第に現実が見えてくる描き方はうまいと思いますね。素晴らしい俳優陣の中でも、原田美枝子が凄かったと思います。
2015/7/25(土) 午後 7:54