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今井正「にごりえ」

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にごりえ
2016年4月5日、神保町シアターにて。

1953年度作品
監督:今井正
原作:樋口一葉
脚色:水木洋子、井手俊郎
出演:第一話「十三夜」:三津田健、田村秋子、丹阿弥谷津子、芥川比呂志、久門祐夫
 第二話「大つごもり」:久我美子、龍岡晋、長岡輝子、仲谷昇、中村伸郎、荒木道子
第三話「にごりえ」: 淡島千景、山村聡、宮口精二、杉村春子、北条まき子

〔第一話 十三夜〕何もわからぬ娘のまま奏任官原田勇の許に嫁いでいったおせきは、一子太郎を家に残して仲秋の名月の晩実家に帰ってきた。母もよは同情するが、父主計は娘の言い分をなだめ追返す。帰途、おせきが乗った人力車夫は、幼馴染みのおちぶれた録之助であった。二人は今の自分の身を振りかえり幼き日の恋心を打ち明けることもなく、東と南に別れた。 〔第二話 大つごもり〕資産家山村嘉兵衛の不人情な主婦あやの家に下女奉公している気だてのいいみねは、大恩ある伯父安兵衛に大晦日までに前借りを頼まれ、あやに頼むが断られた。止むなくせっぱつまった晦日に二円盗んだ。しかし、幸か不幸か当家の放蕩息子石之助が親の留守に金を盗み出したため、みねに疑いはかからなかった。 〔第三話 にごりえ〕本郷丸山下の新開地、小料理屋「菊之井」の酌婦お力は、今の苦界から逃れようともがいていた。お力の色香に迷い、落ちぶれ果てたもと蒲団屋の源七は今尚お力を忘れかね、「菊之井」の店の前に佇むが、お力は会おうともしなかった。彼女は気前の良い客結城朝之助に憧れるが、心の隅では源七を満更思いきれなかった。内職をして細々一家を支えている源七の妻お初は、お力に嫉妬して罵り、源七に離縁されてしまった。お盆も幾日かすぎた日、袈裟がげに斬られたお力と、割腹した源七の無惨な姿が近くの草叢に見出された。...(映画com解説)

貧しさから起きるできごと、それは明治という時代性もあるかもしれません。

「大つごもり」は大晦日という意味で、伯父さんの病気のため奉公している主人公は、主人の奥様に頼むが、忘れることが多くいい加減な主人はお金を貸してくれない。
追い詰められた主人公はしかたなく、掛け売りの回収したお金の一部を盗むのだ。
いつ見つかるのかハラハラドキドキしながらサスペンス調でもあるので面白く観ることができました。

ただたまたま息子が残りのお金を持ち去っていってくれたので、主人公は救われた。
観客は、やったと思った人が多かったのでは。
大晦日の神様のおくりもの、でしょうか。

でも果たしてこれでよかったのかなとも思うのです。
助かったとその時は感じたはずだが、真面目な主人公は、これからの心の傷として一生悔むのではないかと思う。
単純にラッキーとは思わない性格だから、主人公の今後の人生が気になる。

金持ち=意地悪、貧乏=正直の対比が明確すぎて、金持ちにギャフンと言わせた爽快感は味わえるのですが、あまりに単純すぎて、どうかなとも思うのです。

冬の季節、何度となく水を汲むシーンとかリアルな描写には説得感があります。
映画には大事なことですね。

タイトルにもなった「にごりえ」が一番いいな。
酌婦の主人公に入れあげていた妻子持ちの男が店に顔を見せても主人公は嫌がり逃げる。
男は酌婦が忘れられず、仕事もせず、妻からしつこく愚痴を言われる始末。

何故逃げるのか、貧乏な男にお金無くなったと思われたが、実は主人公の幼い頃の辛い過去が原因だった。
貧乏が悲しい結末となる。
憐れな主人公。

酌婦の淡島千景が素晴らしい。
「夜の鼓」でも有馬稲子の妖艶さに釘づけとなったが、今井正は女性の撮り方がうまい。
ただ綺麗に見せるだけでなく、休憩している女たちの汗だくのリアルな生活描写に唸ります。

追記
書き忘れていました。
三話「にごりえ」のラスト、主人公の死に顔を見せるシーン、可哀想な主人公を思えばそこまでしなくても死んでいることは判るはずですが、それでも見せるとは残酷な監督です、貧しさに容赦はない。

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どれも明治人の語り方が「よござんす」(笑)。とくに「おおつごもり」の冬の寒さ、そして久我美子の奉公人の初々しさ、「にごりえ」の淡島千影の酌婦の絶望とお大尽の山村聡の男の品、これには参りました。まさに「明治文学」ですね。

2016/5/15(日) 午前 9:48 瀧野川日録 返信する

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一葉の作品は、「たけくらべ」に代表される、どうしようもない、やるせない話が多いですね。「大つごもり」も別に若旦那が奉公人を助けたためではなく自分の遊ぶ金欲しさが、結果的に奉公人を助けることになった、いわばブラック・ユーモアなんでしょうね。
最初にこの映画を見たのは中学生の時で、ホッとしたものです。
TBさせてください。

2016/5/15(日) 午前 11:53 ギャラさん 返信する

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これは左翼系独立プロ作品の中では文芸の香がかなり高い作品ですね。今井監督の代表作の一つかと思います。ただ社会的な問題意識もかなり強いです。新婚時代に妻に見せたら、とても現実的で観るのが辛いというのが感想でした。TBさせてください。

2016/5/15(日) 午後 10:23 [ SL-Mania ] 返信する

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こんばんは。
この映画は面白かったですね。明治の雰囲気がたっぷりでした。どの話もそれぞれの
味わいがあっていいですよね。

2016/5/16(月) 午後 9:25 [ hisa24 ] 返信する

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> 瀧野川日録さん
日本人としての清楚さ、貧しさ、憐れさ、懐かしくもあり悲しくもあります。山村聡の旦那の佇まいは絶品でした。

2016/5/16(月) 午後 9:41 シーラカンス 返信する

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> ギャラさんさん
ブラック・ユーモアですか、金持ち、ざまあみろってところでしょうか笑。今なら放蕩息子が気を利かしてお金を盗んであげたってやさしさに溢れた話にするんでしょうね。

2016/5/16(月) 午後 9:51 シーラカンス 返信する

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> SL-Maniaさん
いまさらですが、今井正監督の凄さがわかった気がします。「夜の鼓」もこの映画も。

2016/5/16(月) 午後 9:55 シーラカンス 返信する

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私にとっては最初の「今井映画」でした。
素晴らしい日本情緒に深く深く感動しました。
大好きな映画です。芥川比呂志の演技に魅了されました。
三作、全て見事な日本映画の世界でした。
上のコメントに描かれている「夜の鼓」も見てみたいです。

TBさせて下さい。

2016/5/16(月) 午後 11:32 alf's mom 返信する

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> hisa24さん
それぞれのお話が面白く、なかなか興味深い映画でした。「にごりえ」というタイトル自体も意味深な趣があります。

2016/5/17(火) 午後 11:00 シーラカンス 返信する

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> alf's momさん
まさに日本の情緒ですね、貧しさに絡むお金から起こる事件、「にごりえ」はあまりにも哀れです。

2016/5/17(火) 午後 11:13 シーラカンス 返信する

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