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海街diary 2016年4月10日、新文芸坐にて。 2015年度作品 監督:是枝裕和 脚本:是枝裕和 出演:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、大竹しのぶ、樹木希林、風吹ジュン、リリー・フランキー、堤真一、加瀬亮 湘南を舞台に、異母妹を迎えて4人となった姉妹の共同生活を通し、家族の絆を描く。鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面。父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。その申し出を受けたすずは、香田家の四女として、鎌倉で新たな生活を始める。(映画com解説) 茨城県で震度5弱の地震がありました。 東京都江戸川区でも結構揺れましたよ、怖いですね。 奇麗で静かな映画でした。 しみじみとしたいい映画でした。 ネタバレあります。 鎌倉で暮らす三姉妹、両親は父親の女性問題で離婚、母親は札幌へ、父親は女性と暮らし子供も出来、さらに別の女性と暮らし、そこで死んで、葬式に訪れた三姉妹は腹違いの妹を引きとる。 なんともややこしいお話です。 複雑な家庭環境だからこそ、それぞれの立ち位置の人間関係の微妙な機微が丁寧に描かれていて、観るものを感動させてくれるのです。 喧嘩もあり、行き違いもあり、確執もあり、言葉では罵倒してても、時間が過ぎ、大人になり、親子、姉妹はいずれどこかで戻ってくる、分かり合える、と思いたいのです。 三女は幼すぎて別れた父親の顔を覚えていない。 別の女性との間に生まれた中学生すずに、生きていた時の父親の話を聞かせてほしいと言うセリフが妙に気に入っているのです。 すずは、みんなに気を使って、自分の母親のことは言わない。 三姉妹が女にだらしない父親をダメおやじと言うと、ごめんなさいと母親の代わりになって謝ってしまう。 唯一同級生の男の子にだけ、自分のこと家族のことを話すことができる。 満開の桜が咲くトンネルを自転車で走る二人の美しいこと、色んな感情が一気に解き放される。 三姉妹を捨てて出て行った母親を長女は決して許さない。 古いこの家を売ってどこかに引っ越せばと言う母親に、自分が妹たちを育てたんだから、あんたに文句は言わせない、ここは自分たちの家だと。 微妙な関係を保ちながら、それぞれが思いやりながらも、すずの存在が次第に家族の中で大きくなっていくさまがいい感じです。 末期がんを患っている近所の食堂のおばさんは、お父さんはダメな人かもしれないが、こんな素敵なすずちゃんを残してくれたんだから、お父さんはいい人だったんだよ。 すずちゃんの話とか、食堂のおばちゃんとか父親の話とか見ていると、急に大袈裟な話になりますが、人が死んで、また誰かが生まれる、輪廻みたいな大きなものを、この映画を見ながら、ふと思いましたね。 ダメおやじだと思われていた男が、やさしい人だったかもしれないという人たち。 誰かにどこかで思い出となっている、それでいいのかも。 あと気になるのが、長年不倫をしていた男が海外にいくので一緒にきてほしいと言われたが、長女が自分のやりたいことがあると、さらりと別れるシーンはどうかなと思いましたね。 もっと、ドロドロになると思うのですが、そこまでの愛情がなかったのか、どうみても恋愛関係にも見えないし、敢えてそれをしないのか、最後まで自分を押さえてしまう悲しい人と見るのか、奇麗すぎる気もします。 最初にも書きましたが、とても素直でいい映画だと思います。 こういう無理のない人の感情に触れる描き方は好きです。 生きること、死ぬことは、一体なんだろうと考えられます。 でも敢えて気になるところを言いますが。 最後の一線を越えないところで、すべて収めている気がするのです。 長女の話とか、母親との話とか、泥沼状態になってからどうするのかという選択もあっただろうと思うのですが、そういう深みにはまることはしない。 性格設定がパターンに嵌めていて、話も予定調和的で無理をしない。 どこか懐かしく古い日本映画を思い出させる。 ということで、どう見ても小津作品をリスペクトしている節が多分に見られますね。
鎌倉、家族、姉妹、生、死、葬式、煙突、父親の姿を見せない、母親が家出。 多数のピースを見ると、小津作品に出てきた色んなシーンを思い出します。 気がついていないところがもっとあるんでしょうね。 |

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小津は家族の崩壊を描きましたが、是枝は崩壊した家族をなんとか纏めようとしています。また、小津は家の中を丹念に描きましたが、是枝は景色や風物を描きます。食事のシーンや喪服など小津を意識していることは間違いないですね。
TBさせてください。
2016/5/17(火) 午前 8:18
これ、私も思ったんですが、予告編で樹木希林扮する伯母が、けっこう際どいことを言うんですよね。でも、それがあまりドロドロしないのが意外でした。
だからかえってリアルで自然の流れを感じました。
良い作品でしたし、監督らしい作品でした。
TBお願いします。
2016/5/17(火) 午前 10:43
> alf's momさん
是枝裕和作品はいつも家族を見つめる映画が多いですね。自分にはいい面と綺麗ごと過ぎる面と、自分の中で葛藤している感じです、でも好きですこの映画。
2016/5/17(火) 午後 11:09
> alf's momさん
わざわざありがとうございます。震度3の表示でしたが、4に近いんじゃないかと思うんです。日本列島なんかやばいですね。熊本はまだ余震が頻繁にあって気が休まらないでしょうね、大変でしょうけど、できるだけ疲れがでないようにしてください。
2016/5/17(火) 午後 11:23
昨年、自分が劇場で見た邦画の中では断トツで一位でした。
是枝流の演出にはいつも惚れ惚れしますね。
最新作も劇場で見たいんですが、近場じゃ上映が無くて、残念です…。
2016/5/18(水) 午後 9:18
> ギャラさんさん
そうですね、小津監督は家族の崩壊を醒めた目で見ていてしかたがないといった感じで、是枝監督は家族の再生を願っている感じでしょうか。形だけは意識して作っている気はします。父親を見せないのは「晩春」で戦争で死んだ兄を見せないことと、「小早川家の秋」の死を意識した描き方だったり、「東京暮色」の母親にもイメージがダブりました。
2016/5/18(水) 午後 11:49
> atts1964さん
裏ではもっとドロドロなんでしょうが、画面ではあえて見せない、そこは日本映画の上品さを意識してるのか監督の個性なのかよくわかりません。
2016/5/18(水) 午後 11:52
> WANTED222さん
そうでしたか、とてもいい映画でした。何とか人との繋がりを大事にすること、今失いかけている気がします。
2016/5/19(木) 午後 11:00
人間に様々あっても季節は毎年繰り返されて、良く言えば浄化され厳しく言えば流されていくのだなぁと。
本作を見て昨年は「梅酒」を漬けました。単細胞です
TBさせてくださいね。
2016/5/20(金) 午後 3:16
こんばんは〜☆彡
コメント&TB下さり、ありがとうございました^^
そうなんですよ〜、記事読ませていただいて、良いんだけど何だかな?
って思っていた事を解説して下さってる、と!!
私、無印良品みたいな映画って思っちゃいました(^-^;
あの桜のトンネルのシーンは感動に震えましたが…長女の恋愛には?で。
母親との事もスッキリしなくて…でもいい映画なんです(笑)
小津作品へのリスペクト、、そんな感じしますね。。
是枝監督だから成立してる作品とも言えますし…
こちらからもTBお願い致します<m(__)m>
2016/5/20(金) 午後 10:59
> アンダンテさん
人との確執はなかなか元には戻れないのも現実で、でもお互い歩み寄りも叶えられるならとも思うし正直難しいです。昔母親が梅酒漬けていたのを思い出します。
2016/5/22(日) 午後 3:12
> ふぇいさん
女性が中心の映画なんで女性からの見方はよりシビアなものがあるのかもしれません。敢えてドロドロにしないことでどこまで説得力のある映画を見せることができるのか、でしょうね。
2016/5/22(日) 午後 3:29
是枝監督作品は、問題のある家族が再生していく、あるいは、未来が見えてくるというストーリーが多いですね。
TBお返しします。
2016/6/9(木) 午前 0:01
> fpdさん
家族を見守ってなんとかもう一度再生してあげようとする優しい監督目線がありますね。
2016/6/9(木) 午後 9:53
ご無沙汰です!
ちょっとブログを離れていましたが、こうしてやりとりさせていただけるのはやっぱりいいですね!
「海街〜」は原作ファンで速攻見に行きました。
映画はとっても原作に忠実に作られていました。
あ〜、幸姉の決断はそんなふうに見えましたか!
あの二人は原作ではドロドロが長すぎたように見えました。
男の後ろに常にある病んだ奥さんの影。
そんな年月にいつしか気持ちが覚めたのだと思いました。
私が好きなのは、あんなに母親に楯突いた幸姉が、母親を追いかけて一緒に墓参りに行くシーンです。
2016/6/20(月) 午後 7:52
> ちいずさん
お久しぶりです♪
またお暇な時に立ち寄ってみてやってください。「海街〜」、人に薦められて今2巻を読んだところです。映画に収まりきらなかったそれぞれの人のエピソードが深く描かれていて、この後も楽しみです。母も祖母の娘だったんだというところですよね。覚悟、生きざま、2冊ですが感動しています。
2016/6/21(火) 午後 11:47
どろどろした部分はあえて封印した物語にしようとしたのでしょうね。
それによって弱くなる部分ができることは、監督も覚悟の上だったような気もします。
TBさせてください。
2018/5/22(火) 午後 9:58 [ あきりん ]
> あきりんさん
昔の日本映画のいい部分で勝負したかったのでしょうか。でももしかしたら、単純に監督は恋愛ものは苦手かも(笑)。
2018/5/23(水) 午後 10:39
日本映画もまだこういう作品がつくれる、そして観客を呼べるというのがうれしくなりますね。セリフではない部分、顔の表情とか小道具の使い方が上手ですね。昨晩はさっそく梅酒をのみましたよ(笑)
2018/8/1(水) 午前 8:05
> 瀧野川日録さん
あっさり描いているから、よけいに想像しちゃう、小津映画にも通じる作り方ですね。色んな小道具は印象深い。自分の家でも昔は梅酒を作っていましたね、郷愁もありますね。
2018/8/2(木) 午後 7:23