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2009年12月23日、神保町シアター「女優・高峰秀子」にて。
1941年度作品。
脚本:山本嘉次郎
出演:高峰秀子、藤原鶏太(釜足)、竹久千恵子、二葉かほる、丸山定夫、小杉義男、柳谷寛
冒頭、東條英機閣下が軍馬が重要なので馬を大事に育てるようにみたいなテロップが流れる。
1941年、戦争激化のため、映画にも戦争の影を落としていた。
そんなテロップとは別に、東北の四季折々の風景を織り交ぜながら、ヒデリン(高峰秀子)と小僧(馬の名前)との触れ合いを素直に丁寧に描いた心温まる映画でした。
いい映画でした。
ヒデリンの父親(藤原鶏太)は生まれた子供をもらう約束で妊娠馬を預かった。
ヒデリンは元々馬が大好きで、うれしくて一生懸命に、妊娠馬の世話をする。
そんな時、父親があることで大怪我をして、お金がいることになる。
それでなくても、家は貧しい。
やがて、妊娠馬は仔馬を産んだ。
産み落とすシーンは映らなかったが、馬がよろよろと立っては転ぶシーンにヒデリン一家のやりとりもある。このシーンもそうですが、ドキュメンタリー風のカメラの長まわしが、観る人にじわじわと気持ちを乗せていく。
ヒデリンはお金を稼ぎに紡績工場に行く。お婆さんが「体を壊すから、やめとけ」と言うぐらいだから、この当時、作業環境も悪く、仕事も厳しかったのだろう。
盆にしか帰れない。
盆に帰った時、仔馬だった小僧(馬の名前)に気がつかず、大きくなった小僧がヒデリンの後をトコトコ歩く姿が微笑ましい。
そして、成長した小僧を馬市でせりにかけることに。
小僧は550円という馬鹿高い値段で政府に軍馬として買われた。
いかにも国家が偉いと言わんばかりの描き方。
そしてラスト前、政府に売られた大量の馬たちが日の丸の旗を掲げ、これでもかというぐらい延々と歩く姿を映す。
そして、最後尾にヒデリン親子がいた。
こんな長いカットはどう考えても不要で、軍部からの強要があったとしか思えない。
軍部はこんなに軍馬を購入しているんだと。
せっかく、少女と馬の愛情を描いたいい映画が・・・。
ただ山本嘉次郎監督の辛く残念な思いは、ラスト去っていく小僧を見ながらヒデリンの寂しげな顔のアップで、十分観客に伝わっていましたよ。安心してください。
高峰秀子17歳、この歳でなんてうまいんだろう。
また、高峰秀子が馬に乗って豪快に丘を駆けるシーンが実にかっこよく、スリリングでした。
ちなみにウィキペディアで調べると、この映画で高峰秀子と助監督だった黒澤明が恋に落ちたとのこと。母親の反対で強引に別れさせられたとか。
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