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渋谷に里帰り
2012.2.26

今度こそ、この街に負けるものか。元気がない、夢がない? いえいえ、若者は、今日も、仕事に恋に向かって歩いています! オシゴト系青春小説。書き下ろし短編収録。
峰崎稔は、大学卒業後、食品会社に就職、営業マンとしての野心もなく10年が過ぎた。寿退社する先輩から引き継ぐことになったエリアは、子供時代を過ごした渋谷。そこは、親の事業失敗で転居して以来、遠ざけていた場所だ。だが、顧客から信頼される先輩の手腕を目の当たりにするうち、仕事の面白さに気づき始めていく稔。そして、新しい恋が始まる予感も──オシゴト系青春小説!(解説より)

久しぶりに小説の感想を、ちょっとだけしますね。
渋谷が出てきたんで、今回はちょっとトレンディドラマ風かなと思っていたら、やっぱり山本幸久さんらしいお仕事小説でした。

キャリアウーマンの先輩が結婚退職するため、引継ぎで30歳を過ぎた主人公は渋谷エリアを担当することに。
主人公は、子供の頃に、渋谷に住んでいて、あることで、渋谷はトラウマになっていた。

相変わらずユニークなメンバーが登場します。
キャリアウーマンの先輩のバイタリティ溢れる言動とツッコミの切れの良さ。
いつも「はあ」という元気のない返事をしている主人公は、女性先輩から覇気がないと怒られる。
得意先のニーズを大事にする先輩女子だから、どこの得意先に行っても、人気もの。
得意先との会話が可笑しい。

主人公の上司はどこか飄々としている。
まるで友だちのやりとり。
二人で屋上で煙草を吸う。
向かいの屋上で女性がバットを振っている。
8時半の女と呼んでいる。

先輩女子の送別会が、またいいんですよね。
笑い泣きしちゃいました。
山本幸久さんに、またやられましたよ。

何だかんだと喧嘩しながらも、人と人とのつながりがさりげなく描かれます。
相変わらず、山本幸久さんの語り口はうまいですね。
ベタなストーリーかもしれないけど、ほっと安心できるお話です。
ああ、カーネーションが終わってしまった。

朝ドラをこんなに一生懸命見たのも久しぶり。

おもろうて、可笑しゅうて、熱くて、元気で、逞しくて、人恋しくて、人の世話を焼いて。
洋服に魅せられ、大正、昭和、平成の時代を駆け抜けていった女性の一代記もの。

家族のものがたり。
人のものがたり。

奇麗ごとで見せていない。
頭で考えるより、体でずっしりと感じるドラマでした。

人生おもろないとあかん。
これからや(90歳を越えて)。

元気にしてくれる素敵なセリフがいっぱいで、感動もいっぱいもらって。

最終回も爽やかなエンディングでした。

尾野 真千子さん、夏木マリさん、に感謝です。

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永遠と一日
2012年3月14日、新文芸坐「巨匠テオ・アンゲロプロス」にて。

1998年度作品
監督:テオ・アンゲロプロス
脚本:テオ・アンゲロプロス
音楽:エレニ・カラインドロウ
出演:ブルーノ・ガンツ、イザベル・ルノー、アキレアス・スケヴィス、 デスピナ・ベベデリ、イリス・ハチャントニオ、ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ 

「霧の中の風景」「ユリシーズの瞳」のテオ・アンゲロプロス監督が、死を強く意識した老作家と難民の子供との1日間の交流を詩情豊かに描いた人間ドラマ。98年のカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した。北ギリシアの港町テサロニキ。不治の病を自覚している老作家アレクサンドレは、親友たちと海辺の家から島まで泳いでいった少年時代の夢から覚める。彼は今日、すべてのものに別れを告げ、明日病院へ行こうと決意していた。そして娘の家へ向かう途中で難民の少年と出会った……。(allcinema解説より)

しばらく、アンゲロプロス作品が続きます。

哀愁を帯びた抒情的なメロディに乗せて、少年時代の思い出、亡くなった妻の思い出、死が近い詩人の主人公が、過去を振り返る物語。
同時上映だった20年前の映画「狩人」とは映画の内容がまったく異なる。
ギリシャの過去の内乱を描いた政治の歴史は、この映画にはない。
あくまでも、先がない主人公の心の過去を描いた内省的なストーリー。

そこに、アルバニア難民のストリートチルドレンと出会う。
お婆さんがいるというアルバニアに返すために、国境まで辿りついた二人は、アルバニア側の国境の柵にへばり付いた人の群れを見て、帰っていった。
このシーンは、何故か怖いです。死の匂いが漂っている感じで、たぶん二人も同じ怖さを見たので、そそくさと帰っていったと思います。

この監督がテーマにしてきた「国境」。
島国に住んでいる自分にとって、「国境」の意味合いが、いまいち響いてこないんですね。
外国に暮らしたこともないし、国境のイメージは海を渡ることイコールみたいなところがあって、国境を意識したことがないのです。
ですから、国と国の境目が、命の境目になっている現実も客観的に見てしまいます。

死期が近い老詩人と難民のストリートチルドレンが、心を通わせます。
少年はどこかに旅立とうとします。
その前に、最後に二人はバスに乗り、町を一周します。
旅です。
昔の詩人ソロモスと出会います。
幻想です。
詩人は永遠だと。
ことばを残すから。
やがて、少年は船に乗って旅立ちました。

一人になった主人公は、また幻想に浸ります。
主人公は妻に質問します。
「明日の時の長さは?」
「永遠と一日」

主人公のモノローグ。
愛し方を教えてください。
詩的な映画です。
正直、難しいです。

作曲家エレニ・カラインドロウの美しいメロディが頭から離れません。
是非聴いてみてください。
Eternity and a Day"

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