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凶悪 2014年2月9日、早稲田松竹にて。 2013年度作品 監督:白石和彌 脚本:高橋泉、白石和彌 出演:山田孝之、リリー・フランキー、ピエール瀧、池脇千鶴、 白川和子、吉村実子、小林且弥、斉藤悠、米村亮太朗、松岡依都美、ジジ・ぶぅ、廣末哲万 死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。(映画com解説) なるほどね、面白いですよ。 この映画の評価が高いのが分かります。 ちょっとした感想です。 ネタバレあります。 先生(リリー・フランキー)が、最初に人を殺した時に、慄き動揺してピエール瀧に電話します。 その時、ピエール瀧は、「先生、大丈夫ですよ、人なんて、ちょっとしたことで死ぬんですよ、しょうがないです」と言う。 怖いですね、人を殺しておいて、しょうがないと言う男がいることを、そして、先生(リリー・フランキー)も自信がついたのか、それから、人を殺すことに、弄ぶかのように、自分の興味だけで行動します。 人がどんどん麻痺していくことが怖いですね。 理性であったり、良心であったりが、しだいに無くなると、それは、もう人間ではない。 人が人として、生とか死とかを意識しなくなる、人を「もの」として扱う時の怖さを、まざまざと感じるのです。 リリー・フランキーとピエール瀧のコンビは、確かに「悪」ということはわかるのです。 リリー・フランキーは、年寄りを殺して、死んだ土地を動かして、土地を生かし、経済効果を出すとか大義名分を垂れる悪人。 でも、それ以上に、自分の生活を守るために、父親を殺してくれと頼む電気屋の家族は、ごく普通の家庭のはずなのに、父親を見捨てる。 まるで、おば捨て山じゃないですか。 自分が生きるために、自分で手を下さないけれど、肉親を見捨てること、色んな事情があっても、嫌っていても、恐ろしくもあり悲しい話でもあります。 けれど、この映画の主人公も共犯ですね。 自分の母親は痴呆症で、妻にまかせっきり。 妻は、主人公に愚痴をいい、暴力をふるっていると告白する。 主人公は、それを聞きながら、人殺しの男たちは人殺しで、亡くなった人たちを救う必要があると大義名分をいう。 ラストのリリー・フランキーが、主人公に、「お前が誰よりも一番俺を殺したかったはずだ」と言うシーンが怖い。 リリー・フランキーは、主人公が母親に死んでほしかったことを見透かしているのです。 主人公は、老人を殺し続けたリリー・フランキーを刑務所にぶち込むことで、老人である母親に死んでほしかった自分の心の闇を、正当化しようとしていたはずです。 人の心に潜む「悪」です。 リリー・フランキーの軽やかな言い回しから繰り出されるセリフの怖さは、やはり表彰ものですね。 山田孝之も、とてもよかったと思います。 池脇千鶴の、旦那に何気に冷静に愚痴る言い回しも、怖いです。
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