最近気になること

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成瀬巳喜男「晩菊」

晩菊
2014年9月15日、新文芸坐にて。

1954年度作品
監督:成瀬巳喜男
原作:林芙美子
脚本:田中澄江、井手俊郎
撮影:玉井正夫
美術:中古智
出演:杉村春子、細川ちか子、望月優子、沢村貞子、上原謙、小泉博、有馬稲子、見明凡太郎、沢村宗之助、加東大介、鏑木ハルナ、坪内美子、出雲八枝子

林芙美子の短編小説『晩菊』『水仙』『白鷺』を、田中澄江と井手俊郎が共同で脚色し、成瀬巳喜男が監督した女性映画。盛りを過ぎた四人の元芸者たちの人生を、ユーモラスかつシニカルに描く。
 かつて芸者だった倉橋きんは、今や金を貸したり土地を売買したりと金儲けに生きていた。金の借り手の中には、かつての芸者仲間であるたまえ、とみ、のぶの三人もいた。もはや色恋には興味を示さないきんだったが、かつて恋人だった田部からの手紙には心を躍らせ、化粧をして待ち合わせ場所に赴いた。しかし田部の目的は金を借りることであり、きんは落胆するのだった。<allcinema>

2回目鑑賞。
若い時に観た時には、この映画の評価が何故高いのか、まったくわからなかった。
何か、大きな出来ごとが起きるわけでもなく、起承転結もはっきりしない。
この映画のどこがいいんだろうかと思っていましたね。

今改めて観るとね〜、なかなか味わい深いのですよね。
グダグダの中年女たちの愚痴がまるで聞こえてくるようです。

昔は情熱的な恋をしたのかもしれないし、若い頃は男性に持てたかもしれない。
でも、今は、借金に追われ、日々の生活に追われる毎日。
子供がかまってくれない、お金がない、病気がち、ギャンブルに負ける、グダグダ。

金貸の主人公(杉村春子)は、今は金だけが信じられる守銭奴。
そんな彼女でも、昔、恋愛した男(上原謙)と再会し、黄色い声を出して、一瞬、女を見せる。
でもね、結局、会社が潰れそうなんでお金を貸してくれと頼む男に、昔の面影がなく、主人公は幻滅するのです。
若い時には見えなかったものが、歳を取ると見えすぎてしまう、情熱だけでは生きていけない、そんな主人公の声が聞こえてくるようです。

私たちも頑張らなくちゃね、と二人のおばさんたちが笑いながら去っていくラスト。
でも明日もあんまり変わっていないだろうな。

なんだかんだ言って、ごく普通の人たちの普通のお話を映画にしてしまう成瀬監督は、やっぱり凄いと思いますね。

人の人生って、映画みたいに、いつも刺激的なことは起きないし、ほとんどが、平たんな感じなんです。
そのことを知っているからこそ、こういう映画が作れる。

黒澤作品や、木下作品にはない、今の時代を先取りしていたんじゃないかと思うのです。
ようやく、この歳になって、成瀬作品の良さが分かってきた気がします。

歳を取るのも悪くない。

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山本幸久
失恋延長戦
2014.6.18

女子高生の米村真弓子は、放送部で一緒になった同級生・大河原くんに片思いの日々を送っていた。告白したいけどできない、そんな真弓子を見守っているのは犬らしくない犬・柴犬のベンジャミン。真弓子の大切な話し相手だ。そしてもう一人、真弓子を放っておかない存在が、なぜか彼女をライバル視する同級生のゲロサキこと藤枝美咲。自分の思いを口にできない真弓子に対して、我が道を突き進む、ちょっと?KYな女子だ。
高一、高二、高三、そして卒業後…一途に恋心を抱きつづける真弓子。その思いにまったく気づかない大河原くん。寄り添うベンジャミン。騒ぎを持ち込むゲロサキ。やがて大河原くんには年下の彼女ができて……。
海と山に囲まれた地方の町に暮らす、まじめで奥手の女の子の、不器用で切ない日々をかろやかに描く、なんだかとっても素敵な青春ラブストーリー!!(amazon解説)


山本幸久の書く小説は、いつも可笑しくて、悲しくて、爽やかで、ほろ苦い。
いつも、同じ手法なんだけど、まんまと騙されるのです、それも気持ちよくね。
それに、ちょっと元気にしてくれます。

和風顔の柴犬なのに、洋風のネーミング、ベンジャミン。
ベンジャミンの木には、苦い思い出があり、若い頃、妻はベンジャミンを育てていました。
そんな時、妻が入院して、自分が水をやらなかったので、枯れてしまった痛い記憶を思い出しました。

まあ、そんなことはどうでもよく、高校生の放送部の主人公はベンジャミンがことばをしゃべると思っていて、同級生の男の子が好きなのに、言い出せないでいたことをいつも相談相手にしていた。

そんなことをしている間に、甘えるのがうまい女の子らしい後輩と男の子が付き合ってしまい、今度は後輩から色々相談をされるハメになります。
昔の高校生のような、主人公。

それに、クラスでノケモノ扱いされているフジサキという女の子は、主人公を何故か友だち扱いして、事あるごとに絡んでくる。

この小説の素晴らしいのは、嫌われているフジサキをちゃんと扱い、才能がなくても頑張る彼女に主人公が付き合い、しだいに本当の友人に仕立てあげることです。

高校、大学のエピソードから、さらに10年後まで繋げ、現在の頑張る女性の姿まで見せる。
その時の青春から、現在の「生」まで広げることで、それぞれの人生が垣間見えるのです。
時間が過ぎていった過去を懐かしむだけではなく、今を生きる人たちの「普通」の人たちへの応援歌です。
お試しあれ。

山本幸久さん、なかなか知名度が上がらないのですが、もっと読んでほしい作家さんの一人です。
どちらかというとTV向きだと思うのですけどね。

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