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英霊たちの応援歌 最後の早慶戦
2015年2月14日、シネマヴェーラ渋谷「岡本喜八監督特集」にて。

1979年度作品
監督:岡本喜八
脚本:山田信夫、岡本喜八
音楽:佐藤勝
出演:永島敏行、勝野洋、本田博太郎、中村秀和、大谷直子、竹下景子、山田隆夫、東野英治郎、伊藤敏孝、水野久美、田中邦衛、岸田森、八千草薫、中谷一郎、山本麟一、殿山泰司、寺田農、今福將雄、大木正司、草野大悟、役所広司

第二次世界大戦下の日本を舞台に、昭和18年10月16日に行われた徴兵前の最後の早慶戦と、出陣学徒として散華していった若者たちの姿を描いた青春ドラマ(amazon解説)

シネマヴェーラ渋谷で「岡本喜八監督特集」が始まりました。

2回目の鑑賞。
1回目を見た時も思ったんですが、タイトルの早慶戦はほとんどでてきません。
ちょっと騙された気分です。

戦争で日本の状況は次第に悪くなり、兵隊不足から、大学の野球部員たちは、学徒出陣を強いられます。

ですから、野球が大好きな大学の野球部員が、軍隊に入って、実践もなくいきなり少尉となり、特攻隊となって、敵の軍艦に突っ込んでいくまでを、ニュース映像を挿入しながら、淡々と描いていきます。

それぞれの学生が、特攻隊として死んでいくための、「踏ん切り」を見つけます。
怪我をした母親との最後の面会でくぎりをつける男(中村秀和)であったり、恋人を東京大空襲で亡くした男(本田博太郎)は形見のスカーフを巻いて軍艦に突っ込んでいったり。

また東京大空襲で両親と妹を亡くした主人公(永島敏行)は、赴任地にいつもついてくるお手伝いの女性(大谷直子)と最後は、結婚してくれと抱きつく。
一人死ぬには寂しすぎるんだと。

特攻隊で死んだ男たちが廃家となった小学校に泊まるが、黒板に銀座の通りの店の名前が書かれていた。
新しくきた兵隊二人が、それを見つけ、埋まっていない店の名前を埋めていく。
しかし、どうしても1か所どうしても思い出せない。
そして、召集され集合時間間ぎわにようやく店を思い出し、思い残すことなく旅立っていくのです。
ユニークです。

このように死んでいく男たちでも、ちょっと面白いエピソードを交えながら死の恐怖を和らげるくだりをもってくるあたりは、喜八流といえるのではないかと思います。

この映画、学生たちが特攻隊として死んでいった話で、深刻で辛いストーリーなんですが、ちょっとしたユーモアであったりペーソスが漂います。

最後まで、等身大の若者の目線で描かれます。
そこが、凄いと思うのです。
政府に対してありきたりの批判はしないし、最後まで自分たちが置かれている役割を全うしようとするのです。
その姿が余計に悲しい。
見る側が、手を合わせたい気持ちになります。
そういう意味では、学生目線でありながら、同時代を生きた監督目線ともいえる鎮魂歌といえるのです。


ただ、死ぬのにこんなに潔くていいのかと思ったりします。
ぶざまでも、もっと生きることを選んでほしいと思ったりします。
当時の現実は、そんなことを選ぶことはありえなかったでしょうが。
今の人が、変に勘違いしなければと思ったりします。

いつの日か野球ができるように、白球を買って地面に埋めた野球顧問(東野英治郎)の願いが、現代まで繋がっているんです。

本田博太郎は、この映画から喜八組となって最後の映画まで出演します。

佐藤勝さんのボレロ風の音楽が素晴らしいです。

「肉弾」で死んでいったウサギ役だった大谷直子が、最後は娼婦となって、登場します。
またもや、主人公のための女神として、生き返るのです。

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