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侍 2015年3月6日、シネマヴェーラ渋谷「岡本喜八監督特集」にて 1965年度作品 監督:岡本喜八 脚本:橋本忍 撮影:村井博 美術:阿久根厳 音楽:佐藤勝 出演:三船敏郎、小林桂樹、新珠三千代、伊藤雄之助、松本幸四郎、東野英治郎、八千草薫、江原達怡、大辻伺郎、田村奈巳、稲葉義男、平田昭彦、中丸忠雄、天本英世、黒沢年雄、杉村春子、長谷川弘 岡本喜八監督が、群司次郎正の原作を三船敏郎主演で映画化した痛快時代劇。示現一流の奥義を極めた剣豪・新納鶴千代。自らの出生の秘密を知らぬまま浪々の日々を送っていた鶴千代は、侍になるため大老・井伊直弼暗殺計画の一味に加わるのだが…。(amazon解説) 2回目の鑑賞。 井伊直弼が暗殺された桜田門外の変。 その暗殺に至るまでを、クールに描いた時代劇。 ネタバレあります。 暗殺シーンの集団殺陣は見応えありましたね。 大がかりな桜田門のセット、降りしきる人工雪も素晴らしく、日本映画の美術の技術の高さを再認識させられましたね。 さらに、斬り込む男、護る男たち、生死をかけた男たちの真剣勝負、腕を斬られた男のうめく声、刀が合わさる金属音、短いカット割りのモノクロ映像とリアルな音の組合せに、緊迫感はただものではないです。 いつもユーモアを交えて変化球が多い岡本喜八監督が、この映画では、ストレート一本の直球勝負でした。 主役が三船敏郎なので、ちょっとユーモアっぽいところはありましたが、流れの中で出ているだけで誇張した感じはしません。 それにしても、新納鶴千代(三船敏郎)は、なんとも憐れな男なのです。 浪人の身、なんとか一旗あげて、死んだ母のためにも就職にこぎつけ侍になりたいという志を持っています。 最初は明らかになっていませんでしたが、次第に井伊直弼の隠し子であることが明らかになります。 そして、主人公は、知らずして井伊直弼暗殺集団に加わるのです。 暗殺集団は、計画が漏れることに警戒し、スパイがいることを突き止めます。 そして、その男を殺すことを新納鶴千代(三船敏郎)に命令します。 実行しないと、組織から脱退してもらうと。 殺す相手は、新納鶴千代の友人なので、主人公は悩みます。 しかし、手柄をたて、侍になるため、井伊直弼を殺す集団に入っていないと、自分の夢は叶えられない。 主人公は、友人を殺します。 その後、スパイが友人ではなかったことが分かります。 このあたりから、歯車が狂ってきます。 暗殺集団のボス(伊藤雄之助)が、実に冷酷で打算的で、目的のためなら手段を選ばない男、かなり印象に残ります。 そして、暗殺前日に、主人公が井伊直弼の隠し子であることをボスが知り、仲間に主人公を殺させようとします。 逆に、主人公は相手を殺し、当日遅れて桜田門にやってきます。 そして、見事、井伊直弼のクビを掲げ、意気揚々と歩く主人公。 しかし、前日、主人公は今日の参加メンバーから抹消されていた。 友人を殺し、父親を殺し、井伊直弼のクビを取っても、記録から消されているため、侍に抱えてくれる藩はいないはず。 すべてが無意味で儚く、得たものはなく、友人や父親とか失くしたものの方が大きく、それも知らずに雪の中、井伊直弼のクビを取ったのは俺だと声高々に響きわたる声が、あまりに虚しく、憐れです。 悲しい男のものがたりです。 三船敏郎の父親が松本幸四郎、新納鶴千代役の三船敏郎が歳を取り過ぎている気がして、どうも違和感がありました。
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