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日の名残り 2019年1月28日、大阪ステーションシネマにて。 1993年度作品 監督:ジェームズ・アイヴォリー 原作:カズオ・イシグロ 脚本:ルース・プラバー・ジャブバーラ 出演:アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、ジェイムズ・フォックス、クリストファー・リーヴ、ヒュー・グラント 1958年、ダーリントン邸の執事スティーブンス(アンソニー・ホプキンス)に、かつて一緒に働いていたミス・ケントン(エマ・トンプソン)から手紙が届く。20年前、職務に忠実なスティーブンスと気の強いケントンは、互いに淡い恋心を抱くようになるが、スティーブンスは仕事に没頭するあまり自分の気持ちに気が付かずにいた。あるとき、ケントンに結婚話が舞い込み……。(シネマトゥディ解説) 長年にもわたる恋心を抱きながら、伯爵に仕え、第二次世界大戦も経験して、ほとんど屋敷で過ごしてきたに執事のお話。 ネタバレあります。 主人である伯爵に忠実に仕える主人公。 特に第二次世界大戦の前、伯爵は疲弊していたドイツの力になろうとイギリス政府との橋渡しをする。 会議でアメリカの議員は、伯爵たちをアマチュアと揶揄する。 素人は政治に手を出さない方がいいと。 屋敷に来る要人の会話で、ナチスが勢力を増し、イギリスの立場、伯爵が苦悩していく姿と重なりながら物語は進む。 案の定、伯爵はドイツが言う平和の言葉を信じるが見事に騙される。 その様子をすべて見ていた主人公。 一度不満を抱いた時がある。 雇った使用人がユダヤ人だった。 伯爵はクビにするように言った。 よく働きますと言っても聞いてくれない。 ハウスキーパーは憤慨して、伯爵に物申すと言う。 しかし、翌日、やっぱりやめた、自分にはそんな力はないと。 主人公は言う、得難い人だ(この日本語は素晴らしいと自分は思う)。 その後、伯爵が申し訳なかった、どこにいるか探し出してほしいと。 やっぱり、自分の主人は悪い人ではないと感じた主人公。 伯爵は弱っていたのだ。 こんなエピソードから、信頼できる人となり、次第にハウスキーパーへの恋心も増していく。 決して、自分の感情を出さないのは、職業病か。 ハウスキーパーも主人公が好きだったのに、ハウスキーパーは別の男性と結婚する。 戦後、伯爵はナチスに味方した裁判で負け汚されて、やがて亡くなる。 屋敷はアメリカ議員が買い取り、新しい主人にまた仕えることになる。 ファーストシーンは、このシーンから始まる。 人手不足で、昔のハウスキーパーにもう一度来てもらおうと手紙を書いて、いい返事をすでにもらっていた。 休暇を利用して、旅をしながらハウスキーパーに会いに出かける。 車の故障である村の人に助けられる。 伯爵のことを聞かれ、知らない人だ、私は別の人に仕えていましたとウソをつく。 伯爵はナチスに味方した悪人扱いされていたから。 最後に、助けてもらった人に、伯爵に仕えていたと本当のことを告げる。 立派な人でした、私は誇りに思うと初めて自己主張する。 遅かったのです。 ハウスキーパーは娘に子供ができたので、屋敷には行けないと。 もう二度と会うことはない最後の別れ。 過去には戻れない、後悔と孤独であることの寂しさ。 限られた屋敷の中、世間を知らず、仕事人間で生きてきた男の物語。 ラスト、屋敷に舞い込んだ鳥を逃がすと、鳥は勢いよく飛んでいく。 主人公は、たぶん一生この屋敷で生きていくのだ。 丁寧にどこか儚さや憂いを帯びたお話は、しみじみと味わい深い映画になっています。 イギリスの伯爵の様子、執事の仕事ぶりがきめ細かく描かれて、深い余韻の残る、まさにタイトルに相応しい映画だと思います。 また、伯爵の没落は、イギリスが、第二次世界大戦を契機に、衰退していく姿とダブって見えるのです。 アンソニー・ホプキンスは見事としかいいようがない。 エマ・トンプソンもよかった。
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