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成瀬巳喜男監督

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成瀬巳喜男「流れる」

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流れる
2009年11月24日、フィルムセンター「生誕百年 映画女優 田中絹代」にて2回目鑑賞。

1956年度作品。
監督:成瀬巳喜男
原作:幸田文
脚本:田中澄江、井手俊郎
出演:田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子、岡田茉莉子、杉村春子、栗島すみ子、中北千枝子、
賀原夏子、 宮口精二、加東大介、仲谷昇、中村伸郎

この映画の良さをことばで書きつくすのは難しい。
まさに、それぞれの人の生きざまを淡々とさりげなく描く。
別に声高に何かを叫ぶわけでもなく、それぞれの生活を描くことだけに徹している。
だから、観る人によっては何をいいたいのか、何がテーマなのかを考えると、たぶん困ってしまうではと思う。
当時「ことば」を映画の中で発して観客に伝えることは簡単で、その手法をあえて使わない成瀬監督は、かっこよく、粋なんです。
普遍性を感じます。
あえて何も言わせないことで、映画のレベルの高さを感じます。

そして豪華な俳優陣。
これだけ個性豊かな俳優たちを観ているだけでも、ほんとに楽しい。

栗島すみ子は優しそうで、実は商売にはドライで冷淡さを持ち合わせている。
杉村春子もすごい。
杉村春子が酔っ払って、給料の不払いに対して、山田五十鈴に文句を言い、大ゲンカになる。
あくる朝、手土産を持って、「昨日はどうも」と豪快な愛想笑いをする変わり身の早さに大笑い。「赤ひげ」でも同じようなシーンがあった。
杉村春子はこういう役をやらせたら天下一品ですね。
花街の置屋の娘高峰秀子は、気が強く、この生活を抜け出そうと、もがいている。
山田五十鈴は、過去の見栄もあり、時代に取り残されていることが見えないことが哀しい。
田中絹代は、変な言い方だが、お手伝いさんがよく似合う。ピッタリ。
この家の住人を客観的に見る案内人のよう。
中北千枝子は、だらしない生活をしていそうな雰囲気がとてもいい。
岡田茉莉子はかわいく、日本人ばなれした顔立ち。この当時の若者らしい割り切った性格。
賀原夏子は当時35歳でありながら、山田五十鈴の姉という大役をこなした。
2009年8月10日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。

1966年度作品。
脚本:松山善三
出演:高峰秀子、司葉子、小沢栄太郎、黒沢年男、賀原夏子、中北千枝子、加東大介 、佐田豊、
小川安三、浦辺粂子、柳谷寛

この映画が「没後40年成瀬巳喜男の世界」特集で自分が観たラスト映画。
この特集では23本目の映画を観ることができました。
成瀬監督に興味を持って、ちょうどタイミングよく特集を組んでくれた映画館に感謝です。

実は、もう一本、8月9日に2回目の「流れる」を観ようと神保町シアターに1時間半前に行ったのに、99席の座席はすべて売り切れ。ショックでした。
成瀬監督?、高峰秀子?、山田五十鈴?、どの人がお目当てなのか、神保町シアターは日増しにすごいことになっています。
ちょうど神保町という古書の街が年配の人が立ち寄りやすい雰囲気なのかもしれない。
映画館の座席も段差になっていて、前の人の頭が邪魔になったことがない。
非常に見やすいのも人気の一つかも。
この神保町シアターにくると、日本映画ファンがこんなにいたんだとあまりの多さに驚きを覚える。
活気に溢れています。
自分も日本映画が好きなので、まるで自分のことのようにうれしくなってしまう。
もうちょっと料金を安くしてくれたら、さらにもっとうれしいんだけどね。

さてさて前置きはこれぐらいにして。
この映画が、成瀬監督特集のラスト鑑賞映画とは、ちと寂しいかな。

解説によると・・・
交通事故で子供を殺された女の復讐劇。主演の高峰秀子の夫である、松山善三のオリジナル脚本を成瀬巳喜男が演出。交通戦争という社会問題を告発した物語展開には、松山の道徳観が色濃く反映している。良心の呵責にさいなまれ自滅する加害者役の司葉子が好演。

・・・らしい。
松山善三の貧富の差は「乱れる」でも、強=スーパーマーケットVS弱=商店街の形で表れている。
この映画でも、貧しい高峰秀子と黒沢年男VS金持ち司葉子と小沢栄太郎の対比がはっきりしている。
さらに、復讐の行動が、サスペンス風のようでもあるが、稚拙な行動のため、あまり面白くなく、どこか中途半端な印象がする。
それでも息子を殺された母親(高峰秀子)の狂おしいほどの熱演でこの映画は持っているように思う。
司葉子親子が自殺したため、二人を殺そうとしていた高峰秀子が、逆に殺人者に疑われる。
気が狂った高峰秀子。
ラストは交通事故者の表示。
なんとも味気ない終わり方。

貧富の差、交通事故といった松山善三のテーマ性と子供を殺された母親の復讐劇は、自殺、狂うという刺激的な形で終止符をうった。
・・・だけでそれ以上のものが湧いてこない。

成瀬監督はテーマ性と人の性を取り込んだ新しい映画を模索していたのだろうか。

佐田豊は黒澤監督の映画「天国と地獄」では運転手だったが、この映画でも運転手。
運転手がよく似合う俳優さんです。

成瀬巳喜男「乱れる」

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乱れる
2009年7月28日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて2回目鑑賞。

1964年度作品。
監督:成瀬巳喜男
脚本:松山善三
出演:高峰秀子、加山雄三、草笛光子、白川由美、三益愛子、中北千枝子、北村和夫、佐田豊、柳谷寛
浦辺粂子
解説によると・・・
戦争で夫を亡くし、嫁ぎ先の酒屋を独りで切り盛りしている未亡人・礼子(高峰秀子)は、ぐうたらな義弟・幸司(加山雄三)から想いを告白されたことから、やがて自分の居場所を失い、家を出て行くことになり……。松山善三・脚本のテレビドラマ『しぐれ』を松山自身が映画用に改稿し、名匠・成瀬巳喜男監督が演出を手がけたメロドラマの秀作。高度経済成長期、スーパーマーケットの出現で商店街が次第に先細りしていくシビアな社会的状況の中、愛とモラル、そして世代の狭間に苦しむヒロインの繊細な心理が、成瀬演出ならではの抑制の効いたタッチと効果的なモノクロ映像でリアルにつづられており、ラストの衝撃とともに成瀬映画後年のフィルモグラフィを代表する1作となっている。(増當竜也)

1回目の鑑賞は衝撃的なラストに、その印象が強すぎた。
今回は少し冷静な目で。

冗談っぽいセリフとは裏腹で一途な性格を加山雄三は柄で演じている。
ワンパターンであることでより自然な感じがぴったりのはまり役だ。
その加山雄三の告白で、内に秘める情念のような気持の昂りを徐々に表していく高峰秀子の表情、しぐさ、セリフ回し。
やっぱりすごい女優さんです。

途中、スーパーマーケットの出現で、将来の不安を感じ食料品店の主人(柳谷寛)が首をくくり自殺する。
この映画のエンドを予兆させる暗い影のようなシーン。
戦争で夫を亡くし、戦後は酒屋を切り盛りして家を守ってきた高峰秀子が、スーパーマーケットという新しい時代に押しやられる一人の妻の姿を、成瀬監督は本当は描きたかったんではないかと思う。
しかし、加山雄三の告白により妻から女を呼び醒ますことになり、ラストの衝撃的な終わり方へとなだれ込む。

不思議なもので、刺激的な出来事があると何故か余計に成瀬監督の魅力が薄れるような気がする。
「浮雲」は別格として「あにいもうと」「稲妻」「杏っ子」といった映画ではドロドロの人生でありながら、その中で日常の生活に戻る姿に心が揺さぶられた。

勝手な想像だが、ラストの加山雄三については、脚本家の松山善三と成瀬監督の間で紛糾したのではと思う。
そして最後の高峰秀子の不安で苦しげな表情から納得したかのような表情へのアップの変化は、元にはもう戻れないという諦めの表情にも見える。
私は高峰秀子の変化する表情のシーンに成瀬監督らしさを感じることができた。

刺激的な内容を取り入れることで成瀬監督も商店街のように時代に取り残されないように、その時代を意識したラスト、でも最後は自分らしさを表すことができたんではないかと思った。

成瀬巳喜男「舞姫」

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2009年8月7日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。

1951年度作品。
原作:川端康成
脚本:新藤兼人
出演:高峰三枝子、山村聡、岡田茉莉子、片山明彦、木村功、二本柳寛

バレー教室の先生高峰三枝子と老古学者の山村聡には、二人の子供(岡田茉莉子、片山明彦)がいる。
高峰三枝子は、昔の恋人二本柳寛と別れることができず、今も逢引している。

今まで成瀬特集の映画を20本ほど観てきて、全体の水準は高く、面白くない映画はなかったんですが、この映画はどうも面白くなかった。

山村聡にも高峰三枝子にも納得できるような部分がないため、それぞれの気持ちを思いやることができなかった。
1ヵ所だけ、家族4人で食事をするシーン、山村聡が二本柳寛のことで高峰三枝子をいやらしく罵倒し、子供らが母親をかばうシーンが印象に残る。
父親である山村聡の冷たさが高峰三枝子をこんな形にしたんだと子供たちは言う。
子供は得てして母親に味方する。
もし冷たさが原因であっても、昔の恋人と離れられない妻を許せるのか。

ラスト、高峰三枝子は山村聡のもとの戻り、ハッピーエンド。
山村聡はもう一度やり直すつもりなのだろうか。
二人の気持ちの突っ込みかたが、何とも中途半端な印象です。

高峰三枝子は「妻」の庶民的な奥さんの方が断然よかった。
女の歴史
2009年8月6日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。

1963年度作品。
監督:成瀬巳喜男
脚本:笠原良三
出演:高峰秀子、賀原夏子、宝田明、星由里子、山崎努、仲代達矢、淡路恵子、草笛光子、藤原釜足、
菅井きん、中北千枝子、加東大介 、佐田豊、織田政雄、多々良純

日中戦争の時代に嫁ぎ、義父の倒産や夫の戦死、一人息子の事故死など、波乱の半生を綴った女(高峰)の一代記。横溢するエピソードの群れをさばき、太い一本の流れを形作った成瀬の手腕が光る。脚本の笠原良三は、モーパッサン原作の映画『女の一生』にヒントを得たという。

一代記ものには滅法弱いです。

いい映画でした。

その人の人生、波乱万丈であってもなかっても、その時々の行動や気持ちに感情移入してしまう。
この映画でも、現在と過去の回想を交えながら、夫の戦死、夫の浮気発覚による裏切り、息子の事故死、孫の誕生と一人の女の歴史を綴っていく。
喜びもあり、悲しみあり、絶望もあり、それでも前向きに生きていく。
女の人はたくましい。気持ちが強い。
生きることに関しては男など足元にも及ばない。

高峰秀子は実直で生真面目でストレートな女性。
その義理の母である賀原夏子は、おおらかでのんびりした女性。
高峰秀子の厳しい言葉に、賀原夏子のとぼけたセリフがなんともおかしい。

高峰秀子の息子が交通事故で亡くなって、息子の恋人の星由里子が子供を宿していることがわかるが、高峰秀子が星由里子を罵倒する。
その横で賀原夏子が「子供ができているなら、おしいんじゃないかい」とぼそっと言う。
ラストは、高峰秀子、賀原夏子、星由里子、そして孫の4人が生活している。
なんともたくましいですね〜。

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