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2009年8月5日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。 1960年度作品。 脚本:井手俊郎、松山善三 出演:原節子、高峰秀子、三益愛子、森雅之、草笛光子、宝田明、団令子、淡路恵子、仲代達矢、
上原謙、杉村春子、加東大介、笠智衆、小泉博
解説・あらすじによると・・・東京山の手の中流家庭・坂西家は、60歳になる母(三益愛子)と同居する長男夫婦(森雅之・高峰秀子)、その子供、夫と死別して出戻った長女(原節子)と三女(団令子)のほかに、それぞれ結婚して家庭を持つ次男夫婦(宝田明・淡路恵子)・次女夫婦(草笛光子・小泉博)がいる大家族。ある日、長男が高峰秀子の叔父(加東大介)への多額の融資に失敗したことから家庭内のかっとうが表面化するが…。長女の再婚、嫁と義母の同居、遺産分配。各世代のそれぞれの立場に生きる女性の姿を豪華キャストで描いた作品。 タイトルどおり、大家族の親と子供、そして夫婦の話。 オールスターキャスト。 母親の還暦のお祝いで家族の幸せ溢れるシーンのあと、一転、融資失敗で家を売ることになったら、子供たちみんなバラバラで自分勝手な言いぐさ、母親を誰が面倒見るかで大揉めする。 新しい時代、世代間の考え方の違いを親と子供の対比になぞらえて映し出す。 どこかのんびりしているお嬢様っぽい原節子が、ラストは結婚して母親と一緒に住もうと子供たちの中で一人だけ言う。 親の年代に近い成瀬監督は、親子の映画でありながら親の目線で描いている。 子供に頼らず、硬い言葉になるが親の自立を言っているようにも思える。 成瀬映画で原節子と高峰秀子が共演するのは初めて。
三益愛子の娘である原節子の方にストーリーの比重は高い。 大女優二人の火花散るシーンを想像していたが、あまり、二人で登場するシーンは少なく、高峰秀子があえて原節子の雰囲気を壊さないようにしていたように感じたことは考えすぎだろうか。 オールキャストであり、原節子、高峰秀子両方への描き方も中途半端で、母親である三益愛子への視点も踏み込み方が緩いように感じた。 カラー映画でのチンドン屋が登場しました。 |
成瀬巳喜男監督
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鶴八鶴次郎 2009年8月4日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。 1938年度作品。 監督:成瀬巳喜男 脚本:成瀬巳喜男 出演:長谷川一夫、山田五十鈴、藤原釜足、大川平八郎、三島雅夫、柳谷寛、伊藤智子 新内の鶴八鶴次郎は、亡き師匠の娘鶴八と一番弟子の鶴次郎のコンビで若いながらも名をあげて、名人会に呼ばれるほどになった。しかし、鶴八と鶴次郎はことあるごとに喧嘩してばかり、お互いに惹かれているようなのに、芸となると意見が対立してばかりいた。しかし名人会が終わってのんびりと温泉場に出かけると、ふたりもゆったりとして打ち解ける… 鶴次郎(長谷川一夫)、鶴八(山田五十鈴)の二人のやりとりが面白い。 芸で褒め合っていたかと思うと、いきなり大ゲンカする。 でも二人は好きあっていた。 結婚することがきまり、自分たちの店も持とうと夢を語り合っていた矢先に、あることでまた大喧嘩。 二人は別れる。 山田五十鈴は結婚する。 長谷川一夫は自分で三味線を弾きながら、一人で新内をやっていく。 鶴八鶴次郎の絶大なる人気も、一人になると次第に人気に翳りが見えてくる。 酒に溺れ、ドサ回りをするようになる。 自分のポスターを子供が引きちぎり、舟にして川に流す。 そんなおり、マネージャーだった藤原釜足が鶴次郎の凋落ぶりを見かねて、鶴八鶴次郎を名人会に出そうと画策する。 鶴八鶴次郎は大人気、次は帝国劇場出演の誘いがある。 山田五十鈴は、芸人の血が騒ぎ、自分は離婚して芸人として生きていくことを決心する。 長谷川一夫は山田五十鈴にダメ出しをする。 勝気な山田五十鈴は、長谷川一夫とはやって行けないと怒って立ち去る。 飲み屋で長谷川一夫は藤原釜足に、わざと山田五十鈴にダメ出しをしたことを告げる。 自分が落ちぶれて浮き沈みの激しい商売はよくわかったので、山田五十鈴にそんな思いをさせたくないと。 だから、わざとダメ出しをしたと。 言いはなしーサーのように思えるし、美談のようにも思えるが、なんか府に落ちない。 はたして長谷川一夫のしたことはよかったんだろうか。 あまりに自分勝手な思いだけで山田五十鈴の芸をつぶしているのではないのだろうか。 不思議な疑問を感じながら、いまだにどこか気になる。 それにしても長谷川一夫と山田五十鈴には、やっぱり華があるよなあ。
輝いている。スターですね。 藤原釜足も二人のクッション的な役割をあまり目立たないようにさりげなく演技している。 |
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2009年8月3日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。 1960年度作品。 脚本:井手俊郎、松山善三 出演:山田五十鈴、司葉子、三橋達也、宝田明、草笛光子、白川由美、水谷八重子、志村喬、
越路吹雪、 三益愛子、北村和夫、岡田眞澄、中丸忠雄
解説によると・・・成瀬巳喜男と川島雄三の共同監督という珍しいスタッフで製作された女性ドラマ。花柳界の料亭の女将とその娘との確執を描いた女性映画。古い世代の人物が登場する場面を成瀬巳喜男、若い世代の場面を川島雄三が担当するというかつてない共同監督が試みられた。築地の料亭の女将である綾(山田五十鈴)は、板前の五十嵐(三橋達也)と長い関係。しかし、娘の美也子(司葉子)も五十嵐に密かな恋心を抱いている。白川由美、水谷良重、草笛光子など豪華絢爛の女性キャストも見どころ。 成瀬巳喜男と川島雄三の共同監督作品。1本の映画を二人で監督とはなんと大胆な。 面白かった。 成瀬監督と川島監督の違いが明確にあったり、どちらが撮っているんだろうかと映画を楽しみながら観ることができた。 画面の構図であったり、人物描写の方法であったり、それぞれの個性を垣間見れることは楽しいなあ。 山田五十鈴のシーンはしっとりとした「静」の成瀬のドラマ。それでいて、緊張感がみなぎっている。 山田五十鈴はすごい。 その存在感に圧倒される。申し訳ないが、高峰秀子の比ではない。 ラストも、母親ではなく、歳がかなり上にもかかわらず、三橋達也を追いかけて大阪に旅立つ後姿は、まさに女。 水谷八重子をメインにした若者組のドタバタ、バイタリティ溢れる「動」の人物描写は、川島のドラマ。 酒に酔っ払ってやられちゃった芸者水谷八重子が、その男たちの宴席でビールをかけまくり、ざまあみろと言って立ち去るシーンは川島監督らしいところ。 草笛光子の元旦那である北村和夫がお金をせびる。ネチネチと草笛光子によりを戻そうと何回となく言い寄る。 宝田明と結婚することになった草笛光子は、駅のプラットホームで北村和夫に無理心中させられ死んでしまう。 北村和夫は実はお金ではなく、草笛光子と別れることが我慢できないその性を感じて強烈な印象が残る。 チンドン屋が登場するが、実は川島監督が撮ったらしい。ニヤっとしてしまう。
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2009年8月2日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。 1935年度作品。 脚本:成瀬巳喜男 出演:千葉早智子、伊藤智子、丸山定夫、英百合子、堀越節子、藤原釜足、細川ちか子、大川平八郎 砂金探しに出たまま家を捨てた男(丸山定夫)、男に逃げられた女流歌人の妻(伊藤智子)、献身的な愛を与える妾(英百合子)という三者三様の立場を、娘(千葉早智子)の目を通して描く家族劇。 家を出て行った夫を思い、妻が歌を詠む。そんな母親を見かねて娘が父親を連れ戻しに長野県の妾の家に行く。 砂金で一旗揚げようと思っている旦那に、妾は髪結をして献身的に世話をする。 お金も旦那に内緒で本家の家に10年間も送金し続けている。 まさに、妻の鏡のような女性。 そんな妾をみながら、娘はお父さんはこの家にいる方がいいと理解を示す。 一時的に東京に帰ってきたお父さんに本妻は、夫への愛着もなく、自分のことしか考えない行動をする。 娘は言う「おかあさんの負けだわ」 お父さんは、妾のいる長野に戻っていった。 妻は夫の幻影だけを思い歌を詠んでいたにすぎず、実際には愛情を感じてはいなかった。
見方によっては、妻は悲しい女性だ。 妻と妾の性格の対比が明確でわかりやすい。 主人公の娘の千葉早智子が、モダンで元気がよく、明るく、利発な女性を演じている。 ちなみに1937年に成瀬監督はこの女性と結婚するが、その後、離婚している。 |
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2009年7月29日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。 1953年度作品。 原作: 林芙美子 脚本:井手俊郎 出演:高峰三枝子、上原謙、丹阿弥谷津子、中北千枝子、伊豆肇、 三国連太郎、高杉早苗、 新珠三千代、谷晃 「めし」「夫婦」とあわせて夫婦もの3部作と呼ばれている。 「杏っ子」も入れてほしいな。 高峰三枝子と上原謙は倦怠期の夫婦。 冒頭、夫婦の何気ない朝の始まり。 しかし、高峰三枝子と上原謙には会話がなく、上原謙は黙々とご飯を食べ、何も言わずに出かけて行く。 高峰三枝子が、爪楊枝のかわりに箸で歯に挟まった食べかすをとる。お茶を飲んでクチュクチュする。夜、せんべいをバリバリ食べる。さすがに、女優だけあってオナラはしなかったですが。 そんな生活くささに疲れた上原謙は、職場で音楽や美術が好きな未亡人の丹阿弥谷津子と恋愛関係になる。 上原謙は本気になってしまった。 高峰三枝子の冗談っぽいイヤミの言葉も上原謙は真剣に回答するのだった。 高峰三枝子が単身丹阿弥谷津子の家に乗り込み、身を引くように問い詰める。 びびった丹阿弥谷津子は、あっさり上原謙と別れる。 ラスト、冒頭とまったく同じシーンが繰り返される。 しかし、元に戻ったとは思えない。 さらに、悪い方向に向かうかもしれない。 もし元に戻ったところで、冷めきった夫婦にすぎないけど。 この映画でもチンドン屋は登場した。 三国連太郎がオカマチックで気楽な美大の学生がおかしく、険悪な雰囲気を和ませてくれる。 新珠三千代が若い。 「うまくいかないから、人間なのよ。だから家庭裁判所も警察も必要になる。」てなことを言う。 夫婦3部作に出ている上原謙は、この映画でもさえないとらえどころのない夫を朴訥とやっている。
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