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2009年7月21日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。 1950年度作品。 原作:石坂洋次郎 脚本:八木隆一郎 音楽:服部正 石坂洋次郎原作ということで爽やかで牧歌的な青春映画。 くせのないシンプルな成瀬監督の作品も味わい深い。 ◆「隠退蔵物資の巻」
出演:堀雄二、木匠久美子、渡辺篤、進藤英太郎、宮田重雄
◆「仲たがいの巻」
出演:杉葉子、池部良、藤原釜足、中村是好、宮田重雄
杉葉子は両手を広げてこれぐらいという。杉葉子と池部良と言えば「青い山脈」。 裸芝居(今で言うストリップ)が町にやってきて、藤原釜足と中村是好がその芝居を見に行く。 その子供たちの杉葉子、池部良が親を非難するが、どちらの親が先に誘ったと子供たちの間で喧嘩が おきる。石中先生が間に入り、杉葉子に池部良のことがどれだけ好きか言ってごらんという。 今度は池部良に杉葉子のことがどれだけ好きかと尋ねる。 杉葉子が広げた以上に両手をいっぱい広げてこれぐらいという。 それで仲直り。 なんとも言えず、ほのぼのとした古き良き時代の一遍。 杉葉子は不思議な女優さんだ。 しゃべり方が俳優然としていない。とても新鮮な感じがする。 ◆「千草ぐるまの巻」 出演:若山セツ子、三船敏郎、小島洋々、飯田蝶子、中北千枝子、柳谷寛、宮田重雄 若山セツ子がかわいくて、明るい笑い声がとてもさわやか。
映画館で「青い山脈」の自分が出ているシーンを観るなんてシャレてる。 さらに三船敏郎がすごい。 強面なのに、シャイでうぶな農家の青年役が面白い。 それに、「青い山脈」まで歌ってくれる。 三船敏郎が「青い山脈」を歌うなんて、信じられなかった。 ええ!って言う感じ、びっくりです。 |
成瀬巳喜男監督
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2009年7月20日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。 1951年度作品。 脚本:岸松雄 出演:田中絹代、香川京子、西久保好汎、花井蘭子、小杉義男、田中 春男、東野 英治郎、堀 雄二、
三島 雅夫、柳永二郎
ウィキペディアによると・・・銀座で女給をしている雪子(田中絹代)は5歳になる息子の春雄(西久保好汎)と暮らしているが、昔の愛人安蔵(三島 雅夫)(春雄の父)は今でも金の無心に来る。ある日雪子は昔の仲間静江(花井蘭子)から上京してきた資産家の息子石川(堀 雄二)の案内役を頼まれる。相手をしているうちに雪子は石川との結婚を夢見るが、春雄の行方が突然わからなくなってしまい、石川の相手を妹分の京子(香川京子)に頼んで自分は帰宅する。春雄は見つかったがその一夜の間に京子と石川は婚約してしまっていた。あきらめた雪子は今日も銀座で働くのだった。 銀座のバーで働く田中絹代も二号さんの花井蘭子も強い女性で、現実主義。 そんな2人が、星の話や藤村の詩が好きな文化人堀 雄二に淡い恋をしてしまうのが、かわいくもあり面白い。 昔は羽振りがよかった三島雅夫が、しょぼくれて日々の生活にも困り、田中絹代の家にやってくる。 お金のことを言いにくそうに、でもせびる。あまり登場しないが、うらぶれた感じがすばらしい。三島雅夫のセリフ回しは独特だよな。 田中絹代も香川京子も、銀座のバーの女給にはあまり見えなかった。
田中絹代はどこか硬い感じがしてしまう。 田中絹代の硬さがどうもこの映画のバランスを悪くしているように感じた。 それに引き換え、花井蘭子はいかにも2号さんらしくて軟らかい印象を持った。 長唄を習いに来る田中春男があまりに下手で笑わせてくれます。 予想どおりこの映画でもチンドン屋は登場した。 |
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杏っ子 2009年7月16日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。 1958年度作品。 脚本:田中澄江、成瀬巳喜男 出演:香川京子、木村功、山村聡、夏川静江、太刀川洋一、中村伸郎、中北千枝子、小林桂樹、
千秋実
映画の解説によると・・・高名な作家の娘が文学青年と結婚するが、夫が自分の才能を信じて売れない小説を書き続けるため生活が困窮し、夫婦仲も冷めていくという物語を成瀬独特の淡々とした作風で描いている。暗く起伏に乏しい内容でありながら、その映画的展開は圧倒的に素晴らしい。名声は天地の開きがありながら、同じ志を抱く作家としてのライバル意識を燃やす杏子の父と夫が、庭に隔てた障子越しに執筆中の互いの姿を気にし合うシーンなど、さりげないドラマの肌合いを捉える成瀬演出の白眉である。物語とは直接関係のない細部の卓抜な描写も印象的。 タイトルからさわやかな映画をイメージしていたら、とんでもないドロドロの夫婦の映画でした。 すごい映画です。 あまりにダメ男。 最初は電気関連の仕事をしていたが、会社が潰れ、小説で一旗揚げようと仕事につかず、売れない小説を書き続ける。 妻・香川京子の父親・山村聡は有名な小説家。 酒に溺れ、義父への嫉妬のため、父親へ悪態を吐く。 どんどん生活は貧窮していく。 それでも、仕事に就こうとせず、毎日酒浸り。 父親の家に住むことになったが、一緒に住むことでさらに父親への嫌悪感が増していく。 酒に酔い、庭の灯篭を倒し、植木を抜いて、唾まで吐く。 「父親は偉そうだ。人をばかにしている」と。 挙句の果てに、人の金まで使い込み、酒を飲む。 そんな夫に言いたいことを言いながらも内職をしながら生活費を稼ぐ。 じっと我慢するわけでもなく、悪口を言われたら切り返す。 映画を見ながら、「もうあかんで、こんな男とは別れた方がいい」とずっと思っていた。 しかし、香川京子は別れない。 最後も香川京子が木村功のもとに帰るために坂を下って行くシーンで終わる。 もうこれ以上どうしようもないのに。 香川京子はこれからどうするつもりなんだろうかとつくづく考えてしまう。 木村功は、前半以外はほとんど酒を飲んでいる役。 こういう役も大変だろうなあ。 それにネチネチと香川京子に向かって父親を罵倒する。 なんとも、嫌なやつで気分が悪い。 成瀬監督は、こんな気持が沈むような重たい映画をよく撮るものだ。 父親の山村聡は、別れろとも言わない。夫婦のことは自分たちで決めろと。 母親も何も言わない。 子供の自立心に委ねているようだが。 またしてもこの映画でもチンドン屋は登場した。
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2009年7月14日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。 1962年度作品。 脚本: 井手俊郎、松山善三 出演:高峰秀子、笠智衆、杉村春子、司葉子、小林桂樹、三橋達也、星由里子、淡路恵子、草笛光子、 加東大介、宝田明、三益愛子、丹阿弥谷津子、団令子、北あけみ、夏木陽介 大家族の人間模様ドラマ。 この時代はこんなにも子供が多かったんだよなあ。 だから、こういう大家族の映画が当たり前のように作られていた。 40年の間に核家族となり、家族の状況も変わってしまった。 笠智衆と杉村春子が親で、杉村春子は後妻で、高峰秀子は長男の妻で未亡人。 この三人がメインとなり子供たち夫婦の色んなエピソードが繰りひろげられる。 三橋達也、小林桂樹が笑い担当。 司葉子、星由里子、団令子、北あけみ、夏木陽介が若者グループ。 これだけの登場人物をちゃんとまとめあげることに感心する。 高峰秀子が自分の子供が亡くなり、あまりに厳しくしすぎたことを後悔する。 号泣する高峰秀子に胸が痛む。 ラストは笠智衆と杉村春子が、自分たちの子供は自分のことしか考えていないから高峰秀子と3人で住もうと提案する。 「東京物語」に似ているかも。 成瀬監督作品のマニアックになりつつあり、成瀬監督のお気に入りのチンドン屋が登場するか毎回楽しみになってきた。
この映画でもチンドン屋は登場しました。 |
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2009年7月13日、神保町シアター「没後40年成瀬巳喜男の世界」にて。 1956年度作品。 脚本: 井手俊郎 出演:高峰秀子、小林桂樹、三船敏郎、三好栄子、根岸明美、中北千枝子、千秋実、田中春男、杉葉子、
花井蘭子、加東大介
桐生で古い薬問屋を営む若夫婦(高峰秀子・小林桂樹)。妻の喜代子は家業を建て直すため、副業として喫茶店を経営しようと、友人の兄で銀行勤めの健吉(三船敏郎)に仲介してもらい資金を借り受ける。しかし、夫の兄夫婦(千秋実・中北千枝子)が失業し、東京から一家が戻ってきてから、夫婦の間に徐々に不協和音が生じていくが・・・。高峰秀子の周りでどんどん悪いことがおきる。 喫茶店を始めようとした矢先に兄夫婦が居座り、義母が兄夫婦が商売をするのにお金を貸してやってくれという。 喫茶店を始めるための資金なのに。 自己資金では足りずに銀行から借入もしているのに。 旦那の小林桂樹はふてくされて、芸者と一泊旅行にいく。 そのことが高峰秀子にバレ喧嘩になり、夫婦の関係はギクシャクする。 その芸者が自殺をする。 旦那と愛人関係にあると疑いさらに夫婦関係は悪化する。 高峰秀子が困りはてていく。 そんな状況の中で銀行員の三船敏郎と親しくなっていく。 三船敏郎は昔から高峰秀子が好きだったのだ。 最後は元の鞘におさまることになるが、夫婦の関係が少しずつギクシャクして、どんどん悪化していくにつれ、高峰秀子の困った顔が印象的だ。
変な言い方だが、高峰秀子は笑った表情より困ったいやな表情の方が何故か魅力的だ。 三船敏郎はどう見てもまともな銀行員には見えないが、高峰秀子に告白しようかどうか悩んでいる姿がいじらしい。 |



