|
2010.3.16 内容(「BOOK」データベースより) 牧村伸郎、43歳。元銀行員にして現在、タクシー運転手。あるきっかけで銀行を辞めてしまった伸郎は、仕方なくタクシー運転手になるが、営業成績は上がらず、希望する転職もままならない。そんな折り、偶然、青春を過ごした街を通りかかる。もう一度、人生をやり直すことができたら。伸郎は自分が送るはずだった、もう一つの人生に思いを巡らせ始めるのだが…。 なんか、荻原浩も面白くなくなってきた。 サラリーマンの悲哀、「たら」「れば」の妄想、予想通りのエンディング、さくっと読むにはいいかもしれないが。 過去にこだわっていても、仕方ない。 ・・・と言い切りたい。 過去の妄想に次ぐ妄想。 脇役は面白い。 運転手の年齢不詳だけどマイペースの80歳を越えてる隊長、元競輪選手でギャンブル好きで人生もギャンブルの一発勝負の山ちゃん。 お互い傷を舐めている気がして。 この程度の小説で終わらせるのは、読み手を甘く見ているのではと思ってしまう。 好きだったからこそ、厳しい記事になってしまった。
しばらく荻原浩を読むのはよそうかな。 どうも今の自分の気分では、相性悪いです。 |
読書
[ リスト | 詳細 ]
|
2010.2.27 2001年1月刊行。 「――また、会えたね」。昭和二十年五月、神戸。疎開を前に夢中で訪ねたわたしを、あの人は黄金色の入り日のなかで、穏やかに見つめてこういいました。六年半前、あの人が選んだ言葉で通った心。以来、遠く近く求めあってきた魂。だけど、その翌日こそ二人の苛酷な運命の始まりの日だった→←流れる二つの《時》は巡り合い、もつれ合って、個の哀しみを超え、生命と生命を繋ぎ、奇跡を、呼ぶ。 物語の起伏は少なく、その分作者の思いが深く込められているよう。(本の解説より) 「時と人シリーズ」の第三弾。 「スキップ」「ターン」とは違って、淡々と描かれる。 ネタバレあるかも。 第一部は戦前から戦争に突入し戦争末期までの一人の少女の物語。その少女はその中で一人の少年と出会い恋をする。 第二部は、病院に入院している男性が過去の日記を読み、昔を思い出しながらテープに録音している。 小学生の頃に出会った私設図書館のおばさん。 第三部は、出会いの物語。 めくるめく時間の軸が流れ、二人は繋がれているかのように過去と未来の時間を飛び越えて出会う。 同じ人ではないところがユニーク。 物語の起伏が少ないけど、それだけ作者の思いが込められているように感じる。 巻末の宮部みゆきと北村薫の対談を読んでしまったので、どうもその影響を受けて書きにくい。 人から人へ受け継がれていくもの。人の豊かさみたいなものを、また人は引き継いでいく。 落ち着いた大人の時を紡ぐドラマ、感動的でした。素敵です。 3作ともお薦めです。 写真は小説に登場する「啄木かるた」です。発売しているようです。 |
|
2010.3.5 この小説は、面白かったです。 お薦めです。 「三人目の幽霊」は落語のネタということで、形にこだわりすぎた気がした。 この小説は、大倉崇裕がこよなく愛したTV「刑事コロンボ」の倒叙形式がとられていて、気合いの入れ方が違う。 最初から犯人は殺人を起こす。だから読者は犯人はわかっています。 そこで、福家(ふくいえ)警部補が登場。 私は福家警部補は男だとばかり思っていた。 だからいつもの刑事ものだと思い、この本を読むタイミングが遅れてしまった。後悔しています。 小柄な女性、どうみても刑事には見えず、現場の警官には軽くあしらわれる。 それが、どうしてどうして、できるんです。 切れ味抜群の福家警部補が、犯人のちょっとした過ち(犯人自身が気が付いていないものもある)を見逃さず、証拠を突きつけて追い詰めていく様が見事です。 人ってどこかに変な癖があるんですね。それに予期せぬ行動をするものなんですね。 改めて人間って面白いなと見直しました。変な見直しですが。 さらに犯人の動機もちゃんと押さえます。 犯人も逃げません。 犯人の潔さも、尊厳を感じます。 犯人はそれぞれの愛することのために殺人を起こしてしまいます。 読者はその行動に納得します。 ただ「オッカムの剃刀」だけは、違います。 犯行の理由は、あくまでも自分の個人的な理由です。 プロ(福家警部補)とプロ(元科警科学捜査部主任)の対決です。 これも読み応えあります。 第2集「福家警部補の再訪」、早く文庫本にならないかな〜。 本への愛を貫く私設図書館長、退職後大学講師に転じた科警研の名主任、長年のライバルを葬った女優、良い酒を造り続けるために水火を踏む酒造会社社長――冒頭で犯人側の視点から犯行の首尾を語り、その後捜査担当の福家警部補がいかにして事件の真相を手繰り寄せていくかを描く倒叙形式の本格ミステリ。刑事コロンボ、古畑任三郎の手法で畳みかける、4編収録のシリーズ第1集。(本の解説)
|
|
2010.2.19 蘭学塾・思々斎塾で勉学の日々を送っていた緒方章(後の洪庵)は、師匠の依頼により禁制の蘭学書を購入するため、禁書売りとの取引きを始めた。ところが、その男が殺され、困惑する章の前に、大坂の町を陰で支え守り続けてきた「在天」の一族で左近と名乗る男装の娘が現れる。若き日の洪庵と左近が大坂の町で起こる難事件に挑む、新シリーズ第一弾。(内容(「BOOK」データベースより)) あまり時代ものの小説は読まないので、たまには読んでみようかな。 ということで、特にこだわりなく何げなく読みました。 大阪生まれなので、適塾を開いた緒方洪庵の話もいいかなっと。 それに、ちらっとTVで見た男装の麗人左近が面白そうだったことも。 TVでは栗山千明がよく似合っていた。 小説でもやはり一番目立っていたのは「在天」の一族の左近でした。 「在天」とは四天王寺に属する楽人の集団「在天楽所(ざいてんがくそ)」のことで、その楽人で、裏では大坂の町を守る闇の守護神「在天別流」の中心人物だった。 表稼業と裏稼業の二つの顔を持っている。 この女性がまたかっこいいのだ。 腕は立つ、頭は切れる、度胸もある、それに美人だから、言うことなし。 それにひきかえ、緒方章はまだ若く坊っちゃんで武道はだめ、喧嘩は弱い、いつも大阪の商人に騙されてしまう。 そんな二人が事件を解決(ほとんど左近が解決するが)していく。 緒方章の師匠の中天游も飄々として大阪人らしいええかげんさ。
事件帳と言いながら、話自体がそんなに面白いと思えないのが残念。 四天王寺、住吉大社、天神さん、長堀、難波と大阪らしい名前が出てくるのがうれしい。 |
|
2010.2.3 膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか?不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。(集英社文庫の解説より) いかにも恩田陸らしい世界です。 と言いながら実際のところ、正直あまり内容が理解できていない。 それでも、その不思議な世界に浸ることそのものが楽しい。 これはなんだろうと疑問に感じることから、次第にそんなに考えなくてもいいかなと思えてしまう。 多分、恩田陸にマヒしているのだ。 10の連作短編からなる。
「しまう」「虫干し」「響く」「裏返す」といった常野一族の専門用語。 民話、時代もの、幻想、戦争の暗闇、時間、シュール、郷愁と色んな手法を使って読み手に語りかけてくる。 人が失くしたもの、大事なものを、ふと思い出させてくれる。 ラスト「国道を降りて・・・」で、「光の帝国」で亡くなったミサキが帰ってきた。 常野一族って、いったい何者? |





