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東野圭吾 レイクサイド 2010.12.27 妻は言った。「あたしが殺したのよ」―湖畔の別荘には、夫の愛人の死体が横たわっていた。四組の親子が参加する中学受験の勉強合宿で起きた事件。親たちは子供を守るため自らの手で犯行を隠蔽しようとする。が、事件の周囲には不自然な影が。真相はどこに?そして事件は思わぬ方向に動き出す。傑作ミステリー。(本の解説より) 四組の親子が、死体を隠ぺいすることにあまりに協力的であることの不自然さ 主人公は、やがて妻が犯人とは思えず、探偵のように調べ始めます。 やがて、恐ろしい事実が浮き彫りになります。 犯人の謎解きはある程度予想されたものでした。 そのことより、その後の主人公の行動が面白いのです。 犯人を見つけて、警察に行こうとした時に彼は止めます。 ある理由で、覚悟を決めるのです。 「死体が湖の底から消え去るには何十年もかかるだろう。その間ずっとびくびくしていなければならない。たとえ死体がなくなったとしても、俺たちの魂はこの湖畔から離れられないんだ」 「白夜行」「幻夜」「容疑者Xの献身」「秘密」の主人公たちは、誰かを守るために命がけの「覚悟」をします。
この小説も、上記の小説と同じように(覚悟のレベルは違いますが)、主人公は犯人と同罪と考え、犯人を守るため、やはり覚悟します。 そういう視点で読むと、東野圭吾さんらしく、なかなか興味深いものでした。 |
読書
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2011.1.4 隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。(本の解説より) 阪急電車というタイトルは、どこへ行くにもこの電車を使っていた大阪人の私には、愛着のある響きです。 惜しいなあ〜。 この小説に登場するのは今津線で、私は京都線だったのですね〜。 って、何が惜しいのか、分からないですが。 それに大きな勘違いをしていました。 男性の作家なのに、なんでこんなに女性心を描くのがうまいんだろうと。 巻末の児玉清さんの解説を読んでいて、「素晴らしい感受性と智力を備えた女流作家です」 あれ、女性だったんだと。 有川浩の浩は「ひろし」ではなく、「ひろ」でした。ややこしい。 それなら、女性ならではの、色んな場面も理解できます。 登場する男性が草食系か、自己中心のバカな男だからです。 そのかわり、女性たちは、魅力的です。 おばあさん、その孫、結婚式に殴り込みをかける女、バカな男と別れられない女、いじめに会う女の子、いやなおばはん連中としかたなく付き合っている中年女性。 「下らない男ね。やめておけば?苦労するわよ。」、おばあさんの一言が切れ味抜群。男からするとドキっ。 ちょっとした触れ合いの中で、女性たちが、お互いを励まし合う。 女性への応援歌ですね。 女性が使う柔らかい関西弁は、いいですね〜。
この本のカバーイラスト(徒花スクモさん)が素敵です。 |
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2010.11.16 アヒルバス入社五年の観光バスガイド・高松秀子(通称デコ)はわがままツアー客に振り回されたり、いきなり新人研修の教育係にされたりと悩み多きお仕事の毎日。さらにある日、アヒルバスを揺るがす大事件も起きて…笑いあり、感動ありのバスガイドたちの姿を東京の車窓風景とともに生き生きと描くお仕事&青春小説の傑作。(本の解説より) 山本幸久さんの小説って、どこか懐かしい感じがするんですよね〜。 安心するというか、ほのぼのするというか、昭和の匂いがします。 「ある日、アヒルバス」というオヤジギャグ風のタイトルもいいです。 高松秀子は、女優の高峰秀子のモジリでしょうね。 そういえば、昔の映画で「秀子の車掌さん」というバスガイドを主人公にした映画があった。 山本幸久さんは、もしかしたら観ているのかも。 同期が中森亜紀、バス運転手が小田切といった名前遊びもしている。 高松秀子(デコちゃん)が、乗客につけるあだ名が面白い。 偽伯爵(紳士風の老男性)、老チャットモンチー(おばあちゃん3人組)、笑点(年寄りが多い男性7人組)、サザン(おじさん4人に1人の奥さん風)、オレンジレンジ(ラフな格好のおじさん5人)、オシドリと不倫(熟年男と女のカップル2組)。 アヒルバスのメンバーのあだ名もユニーク。 新人教育担当のバスガイドの年長のおばさんは鋼鉄母さん。鋼鉄の処女、鋼鉄の人妻、鋼鉄の妊婦と名前を変えて今に至る。 インスタントカメラを持っている新人はチェキッコ。 他の新人も、おすぎ、平和鳥、左門豊作。 鋼鉄母さんの息子のカオルくんも寮の主のモモさんもいい味だしてます。 楽しく可笑しいコメディ風お仕事小説であり、悩みも持った普通の女性の爽やかな青春小説です。 デコちゃんは、失敗もするし、悩みながらも、一生懸命生きている。 だからまわりの人もどこかで応援してくれている。 人とのつながりからくる温もりを感じます。 だから、読み手も「ガンバレ!」と応援したくなる。それは自分に対する応援に通じるものがあるかもね。 願いのピノが、いいですね。 ★のピノ食べてみたい。 そうそう、凹組が出てきます。 アヒルバスのグッズ化のためにアルヒくんのフィギュア製作をしたのが、凹組です。なんかうれしくなります。 「ハッピーフライト」の矢口史靖監督に是非映画化してほしいな♪
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2010.10.21 ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと――。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会、胸に刻印された死。青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた! 大藪春彦賞受賞作。 勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。それは、単なる事故のはずだった――。二転三転する〈真相〉、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動! 青春ミステリの逸品。(本の解説より) 「サクリファイス」とは犠牲のことらしい。 自転車ロードレースの不思議な世界。 自転車ロードレースを扱う小説は珍しいのでは。 一人のエースを勝たせるために、アシストと呼ばれる他のメンバーがサポートする。 先頭を走ってエースの風除けになったり、相手チームと駆け引きをして、飛び出して相手を引きつけたりして、結局はエースのため裏方の仕事をする。 主人公は、アシストの仕事が自分にあっていると考えている。 チーム・オッジのエース石尾は3年前にチームにいたメンバーに大怪我させて引退に追いやっているのだ。 海外遠征で、トラブルが発生。 エース石尾のエースたる思いとは、アシストが黒子のようにサポートしてくれた全てを負って走ること。 その思いを込めて、あることを実行した。 その熱い責任感ある気持ちは分かるが、死をかけてまでやる理由には、説得力が不足していると思う。
東野圭吾さんの人生をかけるとか死をかける覚悟の度合いが違う。 この小説を読んで、そこがどうしても無理があり、自分としては、入り込めなかったんだよな。 |
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秘密 2010.10.11 妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化。(本の解説より) 人生で覚悟を決めたことってそんなにないと思う。 この決断で自分の一生が変わるかもしれない。 そんな身震いするような怖くて眠れない決断は結局自分自身でしなければならない。 苦渋の決断という言葉には心がないと思う。 辛い重い覚悟を決めた直子に感動してしまう。 身体は藻奈美でも、心は直子であることの不幸。 藻奈美(直子)は自分の過去の悔しさから、もう一度やり直そうと思う。 このままの状態では平介は嫉妬をするだけで彼に未来はない。 多分、平介と直子はこのままでは潰れてしまう。 読者もそう思っていた矢先。 この前読んだ「容疑者Xの献身」と通じるものを感じた。 そこまでの覚悟を決めたことへの想いに心を揺さぶられる。 あまり深読みはしたくないと思っていたけど、自分だけではなく、二人のために決断をしたと思いたい。 今この感想を書きながら、そう願っている。 どちらにしても、東野圭吾の計算された知的な世界にまた騙されたことには間違いない。
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