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「炬燵」

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『絵本四季花 下』 喜多川歌麿画

   「炬燵」(こたつ)
 寒い時期は、欠かせないのが炬燵ですね。畳の部屋ではたとえ暖房があっても、炬燵がないと、どうも落ち着きませんな。室町時代には「火闥」、江戸時代には「火燵」と表記されたといいます。「火闥」「火燵」「炬燵」といった小難しい字は、禅宗の僧がこしらえたようです。
「読書良し海より山より炬燵良し」という句があるが、私にとって炬燵に入っての休日の読書は、無上の喜びです。今の時期は炬燵に入ってのオリンピック観戦という人も多かろう。

 半島を通じて多くの文化を輸入した日本でしたが、オンドルは根付きませんでしたね。煮炊きした排煙を床に通して暖房するのは良いシステムだと思うんですが、その代わりに日本の冬は炬燵がかかせません。 
 炬燵と一体化して生活することを、「かたつむり」をもじって俗に「こたつむり」と呼ぶことがあるようで、寒がりの北斎は、冬になると炬燵に入りっぱなしで絵を描き、眠くなるとそのまま寝たそうで、まるで「こたつむり」ですな。炬燵を考案した人は、よほどの寒がりか、無精者ですね。炬燵に一旦入りますと、なかなか出にくいこともあって、ますます無精者になってしまいますね。

 炬燵は自分の家で足を伸ばすのがいいようで、
 「しいられて あたるこたつは かしこまり」と、江戸川柳にあるが、他家を訪問したさい、幾度もすすめられ恐縮しながら炬燵に入る堅苦しさは、誰しも経験があると思います。
「こたつの屁 惣店立(そうたなだて)でふるってる」 店立とは、家主が借家人に家の明け渡しを要求して追い立てること。誰かが一発放ったので、全員を店立の如く追い出し、悪臭を追放しようと布団をふるう光景だが、これはどこの家庭にでもみられますね。
こたつから 猫もあきれて 首を出し」という川柳もある。むろん、おならを放ったからです。
「こたつの手明るい方は猫をなで」 川柳はその先を想像させる奥行きの深さがあるのが秀逸な句ですな。見えない手は何をなでている。まあ若い男女が二人だけで炬燵に入っていれば・・・言うだけ野暮ですな。

 炬燵に関する江戸時代の小噺を二題。
 雪の降る晩、一人の浪人が、友人の浪人の長屋へ出かけた。訪ねた先の浪人も、尾羽打ちからし、炬燵とてありません。友人の浪人は、黒からもう茶色く色あせている羽織を子犬にかぶせ、そこに自分の足を突っ込んでいる。
「いやぁ、犬の腹が炬燵がわりで何とも暖かい。さ、そこもとも、ここに足を入れなされ」
「ほう、これはよい思いつきでござる。しからばごめん」
と足を入れますと、羽織の中の子犬にとって知らない足が、ぬっと入ってきたもんですから、驚いてワンとひと鳴き、その足に食いついた。足を入れた浪人、思わず、
「おう、熱ッ、あつ、あつ」

 もう一題。暑くってしようのないところに、ザァーと夕立。暑さがスーと消えちゃった。そこに何か動いているものがあるけど、何だろうな?
「おう、一体何だい、おめえは、見たことがねえもんだな」
「私はタツでございます。いま雨降らしたのは、あたしでございます」
「どうしてこんなところにウロウロしてんだい?」
「いやね、足ふみはずして、雲からおっこっちゃたんです。今、雲が迎えに来てくれますから、それまでここへ置いてください」
「ああ、いいともさ。涼しい思いをさせてくれたんだから、ゆっくりしてきな」
「あたしゃ、ふんづかまって、見世物へでも連れていかれると思ってたんですが、助けていただいてありがとうございます。暑いときはいつでも言ってください。雨降らせますから」
「そうか、暑いときにゃ恩は返せるが、寒い時には無理だろう」
「いえ、寒いときにだって、恩は返せます」
「どうする?」
「せがれのコタツをよこします」
 
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