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トンボ

日本は昔「秋津島」と呼ばれていましたが、秋津とはトンボのことです。日本書紀に神武天皇が国土を一望して「蜻蛉(トンボ)の、となめせるがごとし」と言ったことに由来します。(トナメセル交接時の姿勢の事)
トンボは、どうも西洋では、いいイメージがないようです。トンボは基本的には不吉な虫と考えられ、ヤンマ科の英名は「Dragonfly」というが、ドラゴンは日本のような竜神信仰といったものではなく、不吉なものなんだそうです。また「空飛ぶヘビ」とか、「悪魔の使い」、「魔女の針」といった異名もあり、好かれていないようですね。
 
イメージ 1日本では、古くから人々に親しまれてきました。武士の世になると、「勝虫」と呼ばれ、縁起のよい虫とされました。前へ前へと進んで、決して後ろに下がらず、空中で獲物を捕まえることから勇猛果敢で強い虫とされました。 そのために、武士に愛され、兜の前立てをはじめ、着物や箙(えびら=矢を収める武具)の装飾にもよく使われていたようです。
とんぼの前立の兜 (高知県歴史民族資料館)
 
 トンボの語源は、諸説あるんですが、羽根が透明で、棒が飛んでいるように見えるので、飛ぶ棒が、トブボウ→トンボになったというものが有力です。
 「赤とんぼ」という唄があります。日本人なら誰でも口ずさむことができるよく知られた童謡ですね。
夕焼け小焼けの赤とんぼ 負われて見たのはいつ の日か
山の畑の桑の実を 小籠に摘んだはまぼろし
十五でねえやは嫁に行き お里のたよりも絶え果 てた

 三木露風の詩に、昭和2年(1927)に山田耕筰が曲をつけたものです。秋の夕暮れの郷愁の風景(龍野)を、抒情感あふれるメロディーで奏でてます。
「負われて」というのを、中には「追われて」と捉えている人もいるようです。露風にとっては、幻かと思うほど素敵な思い出だったようです。それに、幼児の露風を背負っているのは姉ではなく、子守で雇われた少女の「ねえや」と思われます。露風は、 幼い頃に両親が離婚し たため、祖父母に育てられました。調べてみましたが、弟は母に引き取られ、姉はいないようです。
この曲の中でアカトンボのアにアクセントがありますね、これは江戸時代から東京ではこのように発音されていたのだそうです。田舎者は赤トンボが群れているのを知っていますが、都会育ちは知らない。ですから、赤トンボの唄も1匹〜2匹を想像すらしいですね。
 
 「極楽トンボ」という言葉があります。楽天的で、うわついた態度ののんきな人を見下げていいますが、江戸時代から使われている古い言葉です。調べてみたのですが、「とんぼ」は「鈍坊」のなまりで、昆虫のトンボではないようです。「楽天坊や」、という程度の意味と思えばいいでしょう。世をケセラセラと過ごすのが一番幸せなんでしょうが、そんなわけにはまいりませんね。

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